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78.チームを決めましょう

試験勉強が進まないー……

◇◇◇◇


「ん……?」



ただいまホームルーム中なんですが……北の方角に、突然大きな魔力がこの世界に現れた。

魔力量は龍雅よりも多い。

人間が持つにしては多すぎるけど……どうしようかなぁ。

カインに言ったら、様子を見に行くとか言ってめんどそうなんだよねぇ。

よし、放置でいっか。

細かい事は気にしない気にしない。

あんまりよろしくない魔力の感じがするから、きっと邪神側が送りこんできた人だろうし。

この世界の住人の中ではダントツトップだけど、私やうっかりミスで世界の理から外れちゃったカインの敵じゃないし。

喧嘩売ってきたら、適当に遊んだあと龍雅に押しつけよう。

あ、それか龍雅に最初から押しつけといて、後からまとめて心折る方が楽しいか。私が。

よし、名前も顔も知らない人の対応方法はそれでいいね。



「愛良、人の話しを聞いているか?」



一人で考え込んでいたら、隣に座っていたカインが私の頭を鷲掴みにしながら、珍しくにっこりとほほ笑んでいました。

どうやらカインさんはお怒りのようです。



「全然聞いていません。何の話?」


「……お前、一応仮にも副会長だから聞いてくれ。2学期にやる予定の、学園内チーム対抗戦についてだ」



ここで豆知識。

この世界の学園内チーム対抗戦ってのは、体育祭の変わりみたいだね。

チーム対抗戦でバトルみたいだけど。

あー、そーいや夏休みが始まる前にチームを決めとかなきゃ行けないんだよねー。

ちなみに、この情報を知っているのはソル先生がホームルームで教えてくれた、なーんてことはもちろんなく、生徒会の仕事で知ったのだ。

ついでにいうと、明日からは長い夏休み。

先生はホームルームを放棄して教卓に顔を伏せてお休み中ですけど、言わなきゃダメ?



「黙ってた方が、2学期になってからのみんなの反応が面白そうじゃない?」


「いや、ダメだろ。2学期になってすぐにある行事だぞ?ギリギリでチームを決めたら、俺たち生徒会がめんどくさくなる」


「……」



面白さとめんどくささ……諦めるなら、面白いほうですね。

なんで生徒会なんてめんどくさいの引き受けちゃったんだろ……。



「ガンバレ会長」


「お前、副会長だから……」



頭痛を我慢するかのように頭を抑えたカインさん。

そのうち円形脱毛症が出てきても、私は驚かない。

驚かないけど彼の将来の髪が少し心配だから、晩御飯はわかめ料理を中心にしようかな。

……わかめって本当に髪の毛にいいのかは知らないけど。

ひとまずは、彼のストレスを少しでも軽減するべく動くとしますか。

何しろ大部分のストレスは私でしょうから!(ひらきなおり)



「はいはい、ちゃんとお仕事しまーす」



現在夏休み前の最後のホームルーム中ですが、気にせず教壇に向かう。

ホームルームって言ってもソル先生は教壇に突っ伏して寝ていますから、完璧自習状態でクラス中が騒がしいけどね。

とりあえず、パールを鉄ハリセンに変化、それを上に掲げてー。



「ソルせんせー。ちょっとだいぶ邪魔だからバイバーイ」


「ぶべっ!?」



先生の頭に思いっきし殴りつけた。

すんごい音立てて頭から血を流して沈む先生&静まり返るSクラス。



「あ……教卓壊しちゃった」


『気にするとこソコッ!!?』



ほぼ全員に突っ込まれたけど気にしない。



「はぁ……愛良、壊したのは自分で直せよ」



遅れて前にやってきたカインが、気絶しているソル先生の頭に紙をペタリと貼り付けて強制転移をかけながら話しかけてきた。

紙には『私は授業をせずに寝ていた怠慢教師です。どうぞ、叱ってください』と書かれていたように見えました。

さらに転移させたところは、ソル先生が苦手な学年主任のスージー先生の所。

ソル先生の死亡フラグが建ちました。

ま、怠慢教師の行く末なんてどーでもいいや。

壊れた教団の残骸はゴミ置き場に送って、新しい教壇をボックスから出すフリして創造。

よし、元通り。



「はい、じゃあ今から大事なお知らせあるから、大人しく聞いてね。ちなみに、挙手せずに発言した場合はソル先生とお揃いにしてあげるね」



鉄ハリセンを手の中で鳴らせば、背筋を伸ばして黙り込むクラスメイト達。

うん、いい子たちだね。

ビッチ達は不服そうに睨んでるけど、にっこり笑いかけたら青ざめて目を逸らしたよ。

なぜかしら?



「では、ソル先生が全く話をする様子がなかったため、代理で説明する。2学期には学園内チーム対抗戦があるのは全員知っていると思う。そのチーム決めだが、締め切りは今日中だ」


「トップレベルの生徒は、世界魔闘大会の学生の部に出場する権利がもらえるからねー。チーム決めも重要だよ。てことで、さっさとチーム作っちゃって。じゃないと夏休みは来ないよ~?」



はい、最後の言葉を聞いてみんな一斉に動き出した。

あ、大事なこと言い忘れてた。



「チームの人数は6人ずつね。このクラスは30人だから、余りの人もいないからねー?」



主にヘタレ君+王女たちに言っています。

なにせ、あそこは7人だからね。

前みたいに先生を脅して認めさせることは私相手に通じないけど、どうするのかな?



「どうする?」


「あ、僕が愛良の所に……」


「リョウガさんは黙ってここにいらしたらいいんです!」



7人集まって……というか、ビッチ王女が龍雅を捕まえて話し合ってる。

というか、怒鳴ってる。

さて、どうするのかしら?



「アイラ。私たちはどうします?」


「俺たち、5人だしなー」


「あと……ひと、り……」



教壇に立ったままの私とカインの所にやってくるラピス、グレイ、ルナ。

そういや私たちもあと1人入れなきゃいけないんだった。



「別に適当に一人入れたらいいじゃん」


「……愛良。その一人が、あいつらの誰かになる可能性が高い」



カインが指さす方には、誰が外れるかもめている龍雅たち。

というか、龍雅がさっきからこっちに来ようとしてビッチ王女が必死に止めているという。



「愛良、奴だけは嫌だぞ」


「知ってる。よし、先手をうつか」



妙な奴が来る前に、マシなのを引き込みましょう。

てなわけで。



「青色髪くーん。もとい、ルート・アクアくん。人数余ってんなら、私らと組もうよ」



茶色頭のリノ・アースさんと思った人、残念でした。

いい子っぽいんだけど、思い込んだら一直線の子はダルイんです。

カインにも惚れてるっぽいし、めんどくさそうなことになるのは回避です。



「な、なんで君たちと僕が組まなきゃいけないの?」



突然のことに焦っている青頭くん。

だけど、私は知っているんだよ?



「……私たちのチーム、ルナがいるけど……いいのかな?」



君が事あるごとにルナを目で追っていることを!



「ぜひ入れてください!」



私が差し出した手を、速攻で取る青頭君。

はい、6人目が上手に釣れましたー。

まぁ、あんまりルナに目をやり過ぎると、微妙にシスコン属性持っているカインに殺されるから気を付けてねー。

実際に口には出さないけど。



「ちょっと!あなた、勝手に何を決めていますの!?」



ルート君がうちのチームに入ることが決定するやいなや、私がやることに難癖つけたい王女様(笑)がでしゃばってきました。



「え?なに?ルートくん、連れて行っちゃだめ?あ、じゃあ龍雅にする?それだったら龍雅を私たちのチームに引き取ろうか?まぁ、カインと仲悪いからまとめるのが大変かもしれないけど、できないわけじゃないし?そんなに君がルートくんを連れていってほしくないなら、しょーがないね。龍雅、しょうがないから君を私たちのチームに入れて……」


「ルートを好きに連れていって構いませんわ」


「はい、どうもー」



めちゃくちゃ期待した目で私を見ていた龍雅の腕に抱きついて許可を出す王女。

その切り替えの早さ、いっそのこと清々しいと思います。



「え、僕は愛良のチームに入りたいんだけど……」


「リョウガさんはわたくしと同じチームなんです!」


「う、はい……」



久しぶりの登場でイラってくるヘタレ属性を発揮すんなや、龍雅よ。

まぁとにもかくにも、6人目は無事にゲットできました。



「ルートくん、よろしくね」


「あ、うん」



これで私たちのチームは決定だし、同時に龍雅のチームも6人になった。

ついでに言うと、私たちが最後だったから、これでクラス全員のチームが決まったね。



「はい、じゃあみんな決まったねー。チームの代表者は記入用紙取りに来てね。リーダーをさっさと決めて持ってきてよー」



リーダー決めとなると、同じチームでわちゃわちゃ話し出すクラスメイト達。

あ、ついでに私らのチームのリーダーはカインで即決しました。

決定したのは、ルナちゃまの「おにー、ちゃん……リーダー……」の一言。

私とラピスは基本ルナに甘いし、ルートくんはベタ惚れ、カインはシスコンだし。

グレイ君の「俺がリーダーやりたい!」という意見はラピスに瞬殺されたから問題なし。


ちなみに言っておくと、私に双子だって教えた次の日からルナちゃまは所お構いなしにカインのことを『お兄ちゃん』と呼んで付いて回ってる。

学園中、『カイン=ダーク家元長男』という図式が成り立っちゃってますから。

もうこの学園で元ダーク家の長男であり、成績関与の権限までもっている生徒会長のカインに逆らおうなんて奇特な生徒、王女くらいだ。

おかげで生徒会活動が楽になりましたよー。

そのことでルナにお礼を言ったら、ルナはキラキラした笑顔で言いました。


「おにー、ちゃんの……ため」


全部計算づくだったようです。



ルナちゃま、恐ろしい子……!

※個々から下は、作者のストレス発散という名の単なるお遊びです。


愛良「ストレスを軽減させることは無理だろうから、髪にいい料理を作ろうと思うんだよね。何がいいと思う?」


鬱帝「別に、何でもいいが……」


愛良「駄目だよ!君が将来円形脱毛症になったらどうするのさ!」


鬱帝「そうなる前にストレスを減らしてくれると助かるんだがなっ!?」


愛良「髪にいい料理かぁ……やっぱりわかめ尽くしかな」


鬱帝「頼むから、俺の話を聞いてくれ……!」



……こうして、鬱帝のストレスは蓄積していくのであった。

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