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76.突然のカミングアウト

ちょっとリアルの方が忙しくて、こっちは半分放置していました……。

なので、今日はいつもよりもちょっと長めです!


ほのぼの小動物を眺めながらお弁当を食べていると、隣で大人しくご飯を食べていたルナが私のスカートの裾を握ってきました。

ん?

ルナちゃま、どったの?



「アイ、ラ……僕、よう……じょ?」



ウルウル涙目で私を見上げるルナちゃま。

あら、ルナってば変態の言葉を気にしていたの?



「ルナは子どもってほど童顔でもないでしょ。年相応ぐらいじゃない?むしろ、なんでルナを幼女として反応したのかが謎だわー」


「むぅ……背、低い……から?」



ぷくーっとホッペを膨らませるルナ。

……うん、仕草が子供っぽくて幼女に見えなくもないかもね。



「まぁまぁ。ルナ、そんなにむくれてないで、ご飯お食べ。いっぱいあるからね?はい、あーん」


「あむ……」



目の前でおかずをチラつかせれば、口を開けてパクリと食べるルナちゃま。

やっぱり可愛いです。



「おいし……食べ、る」



ごくりと呑み込んでから、ふにゃっと笑み崩れるルナちゃま、マジ天使。

よしよし。

ルナは食べることに集中してるし、後ろでカインが学園に報告している以外の属性使ってたり最上級連発しているのは気づいていないね。

さっき火属性使っていたのは、どう説明しようかなぁ……。

うーん……適当に使い魔の能力とでも言っていたらいいか。

……にしても、時間かかってるなぁ。



(カイン。早くしないと紅茶が冷めちゃうよ?)


(お嬢の心配事ってそっち!?普通は相手がそんぐらい強いのかって心配にならない!?)


(え、ならない)



コス王が私の念話に突っ込んできたけど、即行で否定。

だって、私たちと契約している時点でカインは人の範疇を超えていますからね。

心配するだけ無駄なのです。



「仕留めてきた」



ほら、カインも念話を聞くなりちゃんと帰ってきたし。

そんでもって、速攻で取り皿に自分の好きな物を取り分けていってる。

心配しなくても、オカズが全くなくなることはないから安心してくださいな。



「カイン。とりあえずはお帰りー」


「ああ、ただいま」


「ただいま!元幼女様と幼女様!!」


『……』



……んん?

口をモゴモゴと動かしているカインさんの後から、片手を上げた変態さんが顔を出したんですけど。

……なぜ変態が無傷でここにいる?



「幼女……違う、もん……」



幼女の一言に涙目になったルナを見た瞬間、カインが速攻で変態を縛り上げた。

相当キレている様子です。

それでもちゃんとお皿は中身をこぼさないように、レジャーシートの上に置かれています。

君、怒っていてもご飯に関しては被害が及ばないようにしてくれるから助かるけど、どこまで食い意地が張っているんですかねぇ。

そんな私の呆れた視線には気づかずに、視線を鋭くさせたまま変態を締め上げるカインさん。



「てめぇ、さっきから人の妹を泣かせまくりやがって死にたいのか?ああ゛?」


「ちょ……これ以上されたら復活するのに時間がかかるから止めて!」


「黙れ。そしていい加減くたばれ」


「いぎゃぁあああ!!!」



うん、ブチギレだね。

片手で締め上げているのはそのままで、もう片方の手に火属性の魔力を集めてジワジワと変態の腕を焼いていますよ。

しかもご丁寧に『私は変態です』って火傷の跡が浮かび上がっている。

その後はひたすら殴りまくっているし。

変態もドン引きだけど、その変態に対してそういうことを平然としちゃうカインさんにもちょっと引きます。

そして今さらっと重大な秘密を洩らしたよね、この人。

ルナが妹とか。



「まぁ、とりあえず変態が邪魔だよね。ちょいとコス王に時くんよ。変態さんをお家まで懇切丁寧に連れて帰ってあげてくれる?お礼にプリンアイスのクレープ包みをあげるから。あと、コス王は特盛プリンパフェも渡しておくね」


「イエッサー!!やる気満々!」


「きゅきゅきゅー!!」



餌につられて頷いた小動物たちに引きずられる肉の塊。

もうモザイクかけないと見てられない状態だけど、脈うってるのが生々しいねぇ。

よい子は見ないようにね。

あ、もちろんルナの目はちゃんと塞いでいますから、安心してください。

純粋で可愛い子は私の癒しですから。



「お嬢!いってきまーす!」


「きゅっきゅっきゅきゅー!」


「いってらっしゃーい」



元気に挨拶をして消えた小動物達+α。

これで平穏が戻りましたね。

変態が消えた後で目隠しを外すと、ルナがきょとんとした顔で私を見上げていた。



「アイ、ラ……驚かない……?」


「ん?何に?」


「俺とルナが実の兄妹ということにだ」


「双子、です……」


「うん、同い年だしそうだろうね」


「「……」」



あれ?

どうして二人して微妙な顔をして顔を見合わせてんのかな?



「それ、だけ……?」


「それだけって言われてもねー……ルナと双子ってとこには驚いたけど、カインがどっかの貴族の子どもだったのは予想していたし。魔力が多すぎたとか、逆になかったとか?」



カインさん、あのオカマスター率いるギルドで育ったくせに、仕草が洗礼されている感じで基本は丁寧なんだよね。

それに、極端に貴族と関わるのを嫌がる面があるし。



「……」


「アイラ……すごー、い……」



カインは絶句、ルナは拍手。

この二人、性格が似てないのは、小さい頃に離されたから?

見た目も似ているかって言われると微妙なんだけど。

口元が少し似てるかなってくらい?

髪と目の色も全く違うから、兄妹って言われるまで気づかなかったことですけどね。



「それで、カイン。お弁当はもう食べないの?」


「……俺、今結構大事な話をしていたよな?」



あれ、話はもう終わったかと思ってたわ。

カインは貴族の子どもで、ルナのお兄ちゃん。

つまりはダーク家の子だったってことでしょ?

他にもあるの?



「じゃあ食べながら話してくれるー?紅茶が冷めちゃうし、一息つこうよ」


「……俺にとっての大事な話は、お前にとって食事をしながら話せる内容なのか……」



……あれ?

なんか、お弁当つつきながら鬱帝になってる。

不思議な子だねー。

まぁ、鬱りながらでもご飯は食べているから気にしなくてもよさそうだけど。



「あのね……おにー、ちゃん……捨てられた……駄父に」


「……だふ?」



袖を引っ張ってきたルナちゃまの言葉に、思わず首を傾げた。

初めて聞いた単語なんですけど、だふって何ですか?



「駄目な……父……死ねばいいのに」


「……」



みなさま、聞きましたか?

今、ルナちゃまが最後だけ途絶えずにはっきりしゃべりましたよ?

はっきりと『死ねばいいのに』って言いましたよ?

私、ちょっぴり背中に冷たい汗が流れちゃいました。



「えーと……ルナさん?」


「……父、嫌い……」



私の引きつった笑いかけに、ルナはゆっくりと顔を背けてポツポツと説明を始めた。

元の話し方に戻ったから、要約すると。

カインとルナは双子としてダーク家に誕生して、長男長女だったから大事に育てられた。

ちなみに、1つ下の弟もいるらしい。

しかし3歳の誕生日、初めての魔力測定でカインが魔力を持たない魔盲だということが発覚。

同時に父親はカインを牢屋に監禁、母親やルナと弟から引き離した。

父親の目を盗んでルナと弟はカインに会いに行っていたらしいが、母親は父親と同じように魔力がない子供を産んだことを恥と考えたらしく、父親よりも酷い虐待を行っていたらしい。

そしてカインが7つの時に、私が最初にこの世界にたどり着いた森に捨てられてたみたいだね。

まぁ、その後はカインが鬱帝なってるから想像だけど、命の危険を感じて魔力封印が解けて暴発、当時全帝のマスターが見つけて養子になったってオチだろうね。

私がルナと一緒に行動するようになって話すことも多くなったから、私がいない時に兄妹として話をしたみたい。


うん、とりあえずは兄妹再開できてよかったね!

だから、もう重たい話はやめようね!(切実)



鬱帝「どうせ、俺のことなんか……」


愛良「シリアスっぽい話を聞いていると、背中がもぞもぞして、『わー!』って頭を掻きむしりながら叫びたくなるの。適当になってごめんね?」


鬱帝「……ぐす」

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