表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/208

74.変態は死なないです

さてさて。

とにもかくにも、食堂裏に強制転移されたけども。



「燃えて消え失せろぉおお!!!」



ゴミ捨て場の前で、カインさんが全力で火属性の最上級魔法を放っていました。

……カインさんや。

何でマジギレでゴミを燃やしているわけ?



「お嬢~」



パタパタ飛んできたコウモリ、もといコス王を発見。



「コス王、説明を求む」


「了解っす!」










◇◇◇◇


あれは一万年と二千年前のこと……。

俺様とカインは……げふっ!?

嘘ですごめんなさい、おねがいですからお犬様をこっちに向けないでください!!

はい、真面目に説明します!

お嬢がロリっ子ちゃんと転移してすぐ、カインも追いかけて転移をしようとしたんだけどさ。

なんかでしゃばりっ子のヘタレ勇者がしゃしゃり出てきたんだよ。



「ねえ、愛良はどこに行ったの?」


「……」


「ねぇねぇ、愛良はー?」


「……(ウザイ、普通に話しかけてくるな。消え失せろ)」



うん、その時のカインの殺気はヤバかったぞ。

とりあえず、ヘタレ勇者がカインに話しかけてきたんだが、カインは奴のこと嫌いだろ?

完璧無視って食堂塔の裏に転移したんだよ。

裏ってゴミ捨て場だったんだけど、俺様と時神が朝に捨てた生ごみがそこにいてさ。

カインはカインで、ヘタレ勇者に声かけられて苛立っていたわけでさ。

転移してすぐに目の前に生ごみが突然



「幼女様はいずこ――!!?お嬢ちゃん、可愛い幼女様を産んでくれ――!!!」



て叫ぶもんだから、苛立ちがピークに達したカインがキレたんだよ。



「燃やすべきだよな?もう燃やすしかないよな?生ゴミだし燃やして問題ないよな?」


「えーと、カインさーん?」


「燃えろ生ごみ!!フレア・エクスプロージョン!!!」


「それは学園自体が消し飛ぶぞ!!?」



いやー、カインが本気の最上級魔法を放った時は焦ったわ。

とっさに結界を5重張りしたからゴミ捨て場だけで済んだけどさぁ。

あいつ、絶対に自分の力がどんだけすごいのか忘れているよな。

俺様もお嬢たちについて行ってたら抑える奴がいないところだった。

つまり、俺様は偉いってことだ!











◇◇◇◇


「だからお嬢!俺様にもプリンつけてくれ!!」



説明が終わった途端、そう言ってくるコス王。

いや、別にプリンはつけてあげるけどね?



「学園消し飛びそうだったのを防いだ見返りがプリン一個って、少なくない?」


「少な、い……ね……」


「きゅい」


「わう」



私が首を傾げると、抱きしめていたルナとしぃちゃん、時くんも頷いた。

どう考えても、見返りとして少ないよね?

そう思っても、なぜかコウモリコス王はパタパタ飛びながらにかっと爽やかに笑みを浮かべた。



「問題ない!お嬢のプリンはそれだけの価値がある!」


「じゃあそれだけの価値があるショッピリンにする?」



材料も結構希少なのがいっぱいだから、普通のプリンより十分見返りにはなるよね!

よし、そうしよう!



「ごめんなさいすいません申し訳ありませんやめてください。普通のプリンでお願いします。俺様どこも怪我してないので普通のプリンでお願いします」



ボックスを開いて取り出そうとしたら、全力で私の袖を噛んで止めるコス王。

……そこまでショッピリン嫌?

体力も魔力も回復するし、怪我しても一瞬で治るからすごい回復アイテムだと思うんだけどなぁ。



「まぁ別にいいけど。じゃあ特盛プリンパフェにするね」


「ひゃっふぅううううう!!!時々しか作ってくれないプリンパフェ来たぁあああ!!しかも特盛ぃいいいいい!!」



テンション上がった様子のコス王、私の周りをパタパタ飛び回った。

……どうしよう。

ちょっとウザイ。

顔の回りにハエが飛び回ってる感じに似てる。

つい手で叩き落としたくなっちゃいます。



「きゅい!」


「わうっ!」


「げふっ!」


「すごー……い……」



小動物たちの動きに、拍手喝采なルナちゃま。

うん、確かにすごい。

時くんの回し蹴りとしぃちゃんの犬パンチの連携、さらに現在進行形で燃やされているゴミ捨て場にコウモリコス王が吹き飛んで行ったからね。

私も思わず拍手しちゃいましたよ。

よくぞ私の代わりに動いてくれた!



「あっぢぃいいいいい!!!俺様の羽が燃えちゃぅうううう!!」


「……あ?何でわざわざ自分から燃えに来たんだ?」



絶叫を上げるコス王に気づいたカインが、ようやく正気に戻りました。

燃えかけでプスプス音を立ててるコウモリを片手に、こっちに戻ってきたカイン。



「現実世界にお帰りー」


「おか、え……りー……」



私が片手を上げて言うと、真似をして同じように手を上げるルナ。

もうこの子癒しです!



「……愛良、お前いつまでルナ抱きしめているんだ?」



はい、いまだにルナ抱きしめたままです。

可愛いからしょうがないんです。



「だって可愛いし、ルナの頭ってちょうど顎乗せれるところにあるもん」


「アイラ、と……くっつくの、好き……ぎゅー」


「……まぁ、お互い気にしないならいいんだが」



そうそう。

本人たちが気にしてないことを気にするだけ時間の無駄ですよー。



「それで、カインは何を燃やしていたの?」


「生、ゴミ……?」


「ああ、生ゴミだ。変態という名の生ゴミだ」



無表情に言い切るカインさん。

……まだキレていらっしゃる?



「変態って……何だっけ?」


「きゅい?きゅきゅきゅぅ?(覚えてないの?嬢ちゃんに夜這いかけた変態だよ?)」



時くんの念話で、すっっっかり忘れていたことを思い出した。

そういえば、私が生ゴミで捨ててこいって言ったんですね。

完璧に忘れていたわ。

だって、変態のことなんていつまで覚えていたって意味ないし。



「とりあえず、これだけの火力でやったんだから、死にはしなくてもしばらくは動けないだろ」



そう言い切ったカインさん。

とっても誇らしげ。

……だけども。



「幼女様はっけぇえええん!!!」


「……ぼ、く?」



燃えカスからほぼ無傷の変態が、ルナを指さして復活したんですけど。

ちょいとカインさんや、どういうこと?



「幼女様ぁあああ!!お兄さんの所においでぇえええ!!」


「ひぅっ……」



両手を広げて走ってくる変態魔王。

その行動に、小さく悲鳴を上げて私にしがみつくルナ。



「ルナに近づくな変態っ!!」


「げふぅう!!!」



癒しのルナを怖がらせるとか、言語道断。

ルナを幼女とかぬかしやがる変態魔王には顔面回し蹴りをくらわしてやりますからね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ