表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/208

73.可愛いは正義!

◇◇◇◇


遅刻せずにすんだ授業ですが、全く集中できません。

だって、目の前の光景が可愛い過ぎるから。



「わーうー」


「きゅう?きゅきゅきゅー」


「わぅ!」


「うぎゃあ!」



机の上でしぃちゃんと、小動物に擬態した時神の時くんが戯れている。

しかも、その擬態がキツネリスです。

ジ○リに出てくる空想上の生き物です。

しぃちゃん並にもふもふの毛並みです。

ふわふわです。

最初は普通に小動物姿でしゃべっていた時くんですが、お願いすると小動物の時は鳴き声を発してくれるようになりました。

言いたいことがあると、念話で言ってきてくれるし。

何これ、超可愛過ぎる。

ここは天国ですか?

もうモフモフの小さくて可愛い生き物が二匹も並んで目の前で戯れているんだから、授業を真面目に受けてなくてもしょうがないよね。

だって、可愛いんだもん。

可愛いは正義!

この子らに踏みつけられているコウモリなんて、気にならないぐらい可愛いです。



「……お前ら、煩い。特にコス王」


「まさかのカインからの理不尽!?ぐ、ぐれてやる――!!」



私の隣で真面目に教科書を広げていたカインからのクレームに、コス王が顔を机に伏せて大泣きした。

……いくら授業を受ける気がないにしても、この大泣きは煩さ過ぎるわね。



「お黙りコス王」


「きゅい!」


「わう!」



私の言葉に反応して時くんとしぃちゃんがコス王を黙らせるのが、本気で可愛いんですけど。

もうね、煩いコス王の口を閉じさせるために小動物な姿のままのしかかっていますから。

あまりにも可愛い光景に、さっきから特製カメラの連写です。

魔道具でカメラ作っててよかった!

後で額縁に入れてお部屋に飾ろうっと。

なんかクラスの子たちも写真を一緒になって撮りまくってます。

もう教壇の先生の目が遠くに飛びだっちゃってるくらい、みなさんしぃちゃんと時くんに夢中。



「アイラ……抱っこ……」



席離れてるはずのルナが、ちゃっかりカインの隣に陣取って眼福しているし。

そして私に向けて、両手を広げて上目遣い。



「抱っこ、するのぉ……」


「……」



おお?

涙目で抱っこしたいアピールしてルナちゃんを見て、カインが黙りました。

面白いから写真撮っておこう。



「愛良ぁ……」


「はいはい。しぃちゃん、時くん。ルナが抱っこしたいってさ」


「きゅい?きゅぅ~」


「わ~う~」



私が声をかければ、しぃちゃんと時くんはあっさりルナの腕に飛び込んだ。

そんな小動物たちを抱きしめて、嬉しそうに頬ずりするルナちゃま。



「かわ、い……」


「いや、可愛いのはあなたです」



もうマジで可愛いんですけど、この組み合わせ。

お持ち帰りしてもいいですか!?



「……愛良。可愛いのは分かったから、全部まとめて抱きしめるな」


「可愛いは正義。可愛いのは大好きです」



ルナごとしぃちゃんも時くんも抱きしめても問題はないのです!

そんな私を呆れた目で見ていたカインさん。

ちょ、何ですかね。

その深々としたため息は。


ピンポンパンポーン


授業崩壊を受けている中で聞こえてきた放送音。



『……これで声が聞こえるのかのぅ?1年Sクラスのカイン・ルディスとアイラ・シドウや。授業中でも構わんから、今すぐに食堂塔の裏に来るように。他の生徒が付いてきた場合は、問答無用で留年決定じゃからな』



あらー?

学園長のおじいちゃん、さっそく私が作った魔導具を使っていますね。

今までの呼び出し方法って、わざわざ念話で授業中の教師に連絡して伝えるってめんどくさそうなことしてたからね。

魔道具で放送室っぽいものを作ってみたんです。

さっそく使ってもらえると嬉しいよね。



『……んんー?どうやって止めるんじゃ?これかのぅ?』



ガチャガチャとスピーカーから聞こえる音。

……おじいちゃん、せっかく作った魔導具壊しそうで怖い。



「……放送室に転移」


「ふぇ……?」



あ、ルナ抱きしめてたから、一緒に転移しちゃった。

そしてカインを忘れてきた。

……まぁ、いいか。

今は放送魔道具の前で杖を構えているおじいちゃんです。



「おじいちゃん、放送止めるのはここ押したらいいからね?」


「おお、そうかそうか。すまんのぅ」


「うん、別にいいんだけどね。おじいちゃん、魔導具の使い方で分からないことがあったら念話してきたらいいからね?別に放送止めるのに杖は必要ないからね?」



どうして放送を止めるのに杖を構える必要があったのか、不思議でたまらないです。

学園長のおじいちゃんって、何気に変だよね。



「アイラ……食堂塔の、裏……行かない、の?」


「そうだった。おじいちゃん、食堂塔の裏に呼び出して何の用?裏にあるのって、ゴミ捨て場でしょ?」


「おお、そうじゃった。カインは……もう裏に行っているようじゃの。では、裏の後処理は任せたからのぅ」



あっさりそう言って私に強制転移の魔法を放つおじいちゃん。

おじいちゃん、強制転移ってことは自分が来る気さらさらないんですね?

あれ、ルナまで一緒でいいのかなぁ?

まぁ可愛いズ(しぃちゃん、時くん、ルナ)を抱きしめたままだから、しょうがないか。

可愛いズを離す気はないもん!

今最高潮に幸せです!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ