71.忘れてました
今日はいつも以上に短いなー……。
◇◇◇◇
「ただーいま」
カインと遊んでいるしぃちゃんを置いて特訓訓練から部屋に戻ったら、リビングのソファーの上でコス王とおまけ君が大量のマンガを読んでいました。
どっから持ち込んだの、その大量のマンガは。
この世界にマンガの概念はないですよー?
「お帰りー!お嬢、朝ご飯はー?」
たった今帰ってきたのは分かるはずなのに、さっそくご飯ですか。
そんなに早く食べたいなら、朝からこってり重いインスタントでも出してやろうか。
この間寝坊した時に出したら、苦しそうな表情していたのは見逃さなかったんだから。
やっぱり神様で見た目年齢20代後半でも、歳くってんだろうね。
いつも学校にまで着いてくるのに、その日は部屋に引きこもって倒れていたもん。
あれは朝から重たいのは食べれない中年の顔だった。
「腹減ったー!」
片手を上げながら訴えてくる少年。
いやもう本当に君が一番くつろいでいるよね。
我が家のリビングで過ごしているかのごとく。
ここはいつから君の家になったんですかね。
まぁいいんだけど。
「先に汗流してくるから、その後で。待てないならインスタントでも食べといて」
「お嬢!?おにーさん、ちゃんと待ってるから朝ごはんお願いします!」
おお、さすが中身中年のおっさん。
素早い切り替えですね。
「俺も待つー!だから早くねー!!」
いやもう本当にご自由な性根をしていらっしゃいますね、この少年。
待つというなら、急かさないでもらえますかね。
君、本当は待つ気が全然ないでしょ。
「……ん?お嬢、そーいやカインは?」
いつまでたっても空間の歪から出てくる様子がない主に気が付いたコス王。
空間の隙間を除きながら聞いてきた。
「カインなら、しぃちゃんと遊んでくれてるよ?それが終わったら帰ってくるんじゃないかな?」
「………お嬢、それ、きっと遊んでるんじゃない」
「へ?そりゃしぃちゃんは大きいバージョンだから、遊ぶのでも全力だろうけど。コス王も行きたい?」
「やめてください!?マジで俺様死にたくない!お犬様怖い!」
しぃちゃんが怖いとな?
失礼な。
しぃちゃんは私の言うことを理解できる、とってもいい子ですよ!
うちの子を馬鹿にしたら、怒りますよ!?
「おっじょぉおお!?そのお嬢の言うこと『だけ』理解しているって所に気がついてる!?お嬢の言うこと『しか!』聞かないんだぞ!?」
「……あ。」
そういや、コス王の言うとおりかも。
カインの言うことは、たまーにしか聞かないもんね。
さすがはカインの使い魔。
主の危機を、ちゃんと感じ取っていたとは。
顔色真っ青だわ。
「……まぁ、でも死にはしないから大丈夫だよ」
「……そーですね。俺様と契約しているから死なないよな」
そうそう。
コス王との契約効果で、カインさんは不老不死ですから。
カインさんや。
誰も助けに行かないけども、体張ってしぃちゃんと遊んであげてくださいな。
「えー。主を見捨てるのー?冥界神のくせに最低ー」
私はともかくコス王も動く気ない様子に、少年は指さして口を尖らせた。
まぁ、確かにコス王は助けに行けないこともない状況で、自分の身の安全を優先させていますけども。
「コス王、主助けに行けば?」
「いや、お嬢?覚えてる?お嬢も一応カインの使い魔ですよ?お嬢の主もカインですよ?立場逆転しているけど」
「……」
……そういえば私もカインと契約しているんでした。
完全に忘れていたわ、その設定。
「……まぁいいや。とりあえずシャワー。そのうちカインもしぃちゃん帰ってくるだろうし」
「ああ、うん。お嬢はそうですよね……」
「腹減ったから早くしてねー」
「お前は自重しようぜ」
カインたちもこの二人もほっといたらいいね。
早く準備しないと、学校に遅れちゃう。
生徒会として、遅刻はしちゃダメだもん。
さっさとシャワー浴びて、準備しますよー!
愛良「そういや変態さんがどうなったのか忘れてたや。ちゃんとゴミの分別できたのかな?」




