67.変態は生ごみで合ってますか?
◇◇◇◇
寝こけていたコス王とおまけ君を叩き起こして部屋の前に戻ってきたら、なんだかとっても不愉快な感じがしました。
思わず部屋の扉を蹴飛ばしちゃったけど、変態さんが目を覚ましていたみたいだし問題なしだね。
「おはようございます、変態さん。部屋に完全遮音と完全防壁の結界が張ったので、安心して悲鳴を上げながら死んでください」
とりあえず夜は眠くてしぃちゃんに任せたけど、人の安眠を妨害した変態さんにはお仕置きしないといけないよね。
人が気持ちよく寝ている時に突然部屋に侵入してきた人は死んじゃえばいいと思う。
だけどその前に、ブルブル震えながら恐る恐るこちらを見ていたコス王とおまけ君に視線を投げる。
「コス王とおまけ君?この人は誰なのかな?もしもお友達だったりするなら、招き入れた同罪で君たちまとめてお仕置きをしようかと思うのだけど……」
「全く知りません!」
「赤の他人ー!」
素早く返事をする二人。
赤の他人ね。
なら問題ない。
「じゃあ二人でこの人のお仕置きお願いしても問題ないよね?手を抜いたりしないよね?ガンガンお仕置きしちゃってくれるよね?」
「イエス!」
「やるやるー!」
予想以上にやる気になったコス王とおまけの少年。
うん、だいたい君たちの関係が把握できたよ。
「ねーねー。今張った結界って超強力ー?」
手をワキワキさせながら聞いてくる少年。
その表情は、とても楽しそう。
「俺の結界も付け足したから、恐らく神級魔法10発分は軽く防げるくらいだな」
そして変態さんを現在進行形で踏みつけているカインさん、いつの間に結界付け足してたんですかね。
やっぱりこの人の魔力コントロールレベルまで、まだまだ追いつけてないや。
「なら問題なし!!お嬢!こいつに重力魔法かけてくれ!重力100倍で!!」
「んー。りょうかーい」
ウキウキしているコス王にお願いされたし、重力魔法をかけるとしますか。
普通の人間ならすぐに圧死しちゃうだろうけども、この変態さんは人間じゃないみたいだし、遠慮なくやりますんで。
幼女幼女煩い変態は潰れちゃえ!
「ぐべしっ!」
変態さん、顔面から床に潰れたけどもやっぱり生きているねー。
というより、原型留めているのがすごい。
床にも強力な結界を張っていてよかった。
「この人、何なの?何でこんな変態なの?そしてなんで死なないの?」
「愛良、変態は簡単に死なない」
カインさんや、それは言われるまでもなく知っています。
小さい頃から変態(親馬鹿神なパパ)が傍にいたので。
「それで、お前らは重力魔法をかけてどうしたいんだ?」
「「ふっふっふー」」
ニヤニヤ笑うコス王とおまけ君。
その手には、どこからともなく大きな袋が掴まれている。
どうでもいいから、早く殺ってくれないかなー。
「はい、では変態のコレクション、フィギュアをたくさん用意します!」
「しまーす!」
「そして、壊れないように結界を施してー」
「してー?」
「変態の上に落とします!」
「いえーい!」
説明口調のコス王とノリノリのおまけ君は、大量のフィギュアを変態の上にばらまいた。
私の重力魔法は対象者に触れると、とばっちりを食らうようにしているので……。
「いぎゃぁあああ!!俺のコレクション――!!重い重い想いー!!」
フィギュアに大変な重みが加わって体に乗っかるわけね。
この変態、途中で発音がおかしくなってるんだけど気のせい?
「ま、魔法少女たちの愛が重い……誰か復活させて……」
「いやー、お前は復活しない方がいいよー」
「そうそう。その方が魔界のため魔族のため、何より俺様の平和な使い魔ライフのため!!てなわけで逝きやがれ!!!この引き籠りロリコン魔王!!!はっはっは!!」
フィギュアを追加しながら真面目な顔をして言う少年と、高笑いしながらさらにリビングにあったテーブルやイスにも結界を施して乗せるコス王。
……この変態さんが、魔王城で引き籠っている魔王なんですかい。
引きこもりなら大人しく引き籠っていなよ。
わざわざ変態を晒すために出てこなくてもいいじゃん。
……ま、いいや。
「コス王ー。変態ロリコン魔王の後始末なんてする気ないから、適当にお仕置きしててねー。ついでに散らかした分は片づけておいてね。朝練行ってくるから」
「うーっす!朝ごはんまでには片づけとくぜ!あ、ついでにお嬢の部屋のドアも片づけとくから、創造で扉出しといてー」
「きゃー!ありがとー!コス王、カインと大違い!」
「……自分の後始末くらし、自分でするのは当たり前じゃないのか?俺か?俺が悪いのか?もういやだ……」
余りにも男前なコス王の言葉に、拍手喝采。
変態だけども、面倒見のいいおにーさんです!
いじけている鬱帝さんなんて、放っておいていいですな!
「コス王、今日の朝ごはんは大盛りね!」
「よっしゃー!」
「俺も!俺も片づけするー!だから朝ごはんー!」
テンション上がったコス王の隣で、頬を膨らませた少年が片手を上げてお手伝い宣言。
いや、お泊りした時点で朝ごはん付けるの当然だから、そんなに必死にならなくてもいいんだけどね?
いちいち手を上げて言ってくるとか可愛いね、君。
「ご飯はちゃんとつけてあげるから。じゃあ片づけお願いね。ちゃんとゴミは分別するんだよ?」
「「はーい!」」
変態は生ごみにね!
愛良「……変態は生ごみって言ったけど、生ごみでいいのかな?」




