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7.ギルドにて

「ここだ」



イケメンが立ち止まったのは、さっき見た白い塔程じゃないけど大きな建物。

あっちが洋風の塔だとしたら、こっちは大きなお屋敷っぽい。

だけど、中は単なる酒場だね。

カウンターの近くに掲示板があるし、あそこが依頼の受付になるのか。

2階から先は何があるのかは分からないけど。

にしてもさすがに酒場。

まだ外は明るいのに酔っぱらっている人が多いです。

明るいうちは、真面目に働こうよ。

これで生活していけるの?



「入らないのか?」



あまりも酔っ払いが多くて入り口で固まっていたら、先を歩いていたイケメンが振り返った。

中学卒業したばっかの女子高生には、酔っ払いの群れの中に入るのって勇気がいるんですよ?

それに制服で酒場に入るのも抵抗があるし。

そんな平然と着いていけないです。

だけど、イケメンは何でついてこないのか理解できないって感じで首を傾げている。

……仕方ないよね。

未成年で酒場にいるのも、しょうがないことだよね。

しぃちゃんを抱っこしている腕にちょっと力を込めて、イケメンの後に着いていく。

それを確認して、イケメンはそのまま再度足を進めようと前を向いた。


……なのですが。



「……なんだ?」



なぜか酔っ払いのおじさん達がこちらを凝視して固まっているのに気づいて、再度足を止めたイケメン。

はっきり言おう。

筋肉マッチョのおじさん達が、一斉にこっち見てんのって怖い。

泣いてもいいですか?

怖いからイケメンの背中に隠れながら固まっているおじさん達を覗き見た瞬間、おじさん達が一斉に立ち上がった。





『か……カインが彼女連れてきたぞ――――!!!』





揃いも揃って野太い声の大合唱。

なんだろう。

この変に盛り上がって感動しているおじさん達は。

何でお互いの肩を叩きながら、泣いてるんですか?

何に感動しているんですか?

水でも被って頭を冷やした方がいいんじゃないですか?


内心でそう思っていたら、あら不思議。




ガゴン!!ビシャアアア!!!




突然目の前の筋肉マッチョなおじさん達の頭にタライが落ちて、そのまま中に入っていた水を被りました。

……あれ?



「は?なんだ、急に……魔力も感じなかったが……」



イケメンも驚いた様子で呆気にとられている。

……今、私が思ったこと、そのまま現実になっちゃった?

んー?

これって、何?

想像が現実になっちゃう能力とか?

身体能力が馬鹿みたいに跳ね上がっているし、他にも何かあっても不思議じゃないかもしれないけど……。

いや、でもそれはないって信じたい。

だって私は、巻き込まれただけのか弱い女の子だし。

そんな能力別にいらないし。

戦う気もさらさらないし。

きっと今のは偶々です。

偶々って思い込んどきます。



「気のせい気のせい気のせい気のせい……」


「何一人でぶつぶつ言っているんだ?怖いぞ」


「しぃちゃん、噛んじゃって」



失礼なことを言うイケメンには、しぃちゃんの制裁を。

子犬といっても元が強い子だから、噛まれたらかなり痛いはずです。



「わんっ!」



私の腕から飛び出したしぃちゃんは、そのままイケメンの足首にがぶり。



「や、やめいってぇええ!!」



うん、予想通り。

しぃちゃんは強い子よい子です。



「言葉遣いには気を付けようね?」


「はい……」


「じゃ、さっさと案内してくれる?」


「はい……」



イケメンをおど……丁寧にお願いしてギルドの階段を上っていく。

水浸しの筋肉おじさん達?

まだいろいろと精神ショックが抜け切れてないみたいだし、放置ですよ?

回復したら勝手に掃除とかすると思います。

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