62.変態は変態を呼ぶそうです
◇◇◇◇
うーん……。
Sクラスのめちゃくちゃ多い得点に貢献した人って、結局誰なんだろう?
元生徒会のルーザー先輩たちかもって思ったけど、違ったみたいだし。
他のグループは近くに宝箱があっても気づかずにトラップにばっか気をとられているから論外。
超強力な魔武器持ってるラピス達かと思ったけど、ドジっ子グレイの巻き添えで結構最初の方でリタイアしていたみたいだし。
モニターを見直したら、グレイがうっかり発動させちゃった泥沼トラップに、仲良く固まっていた二人はもろに巻き込まれた様子だった。
……その後は、お怒りのラピス様が同じように泥沼に沈んでいるグレイの顔面を押さえつけて氷漬けにしていました。
ルナちゃまがビクビクしながらその様子を見守っていました。
ルナ、助けに行けれなくてごめん。
ラピス様のお怒りが溶けるまで、私は近づかないのでガンバ!
残りはグループというより、単独に近いような二人組。
うー……なんか、関わりたくないような気がしてしょうがないんだけどなぁ……。
けど、もしもこの二人が貢献しているなら、トラップがあってもそれなりに冷静に対処できているってことだろうから、生徒会に勧誘しようとは思うんだけど。
ぶっちゃけ私たちにとって、この親睦会の重要ポイントって優秀な人達を発掘して生徒会に入れようっていうことだし。
だって、二人だけだと負担が大きいし。
まぁ、さっきの元生徒会の3人は強制的に入ってもらうけどね。
特に、マイク持った時のルーザー先輩の実況スキルはかなり欲しいし。
まぁ、先輩方には主に今までの行事とかの引き継ぎをしてもらわないといけないって意味も大きいけど。
生徒会長はカインで、副会長が私でしょー。
男子の副会長も欲しいし、会計と書記も最低2人は必要だよね。
つまり、元生徒会の3人+2人必要ってこと。
んで、ちょーどよく2人残っているわけだけど、私の第6感が嫌な予感をビシビシ感じているわけだ。
行きたくないなぁ……。
「おじょー!!たっだいまー!!」
……テンション高く転移で現れたコス王。
その後ろにはカインも一緒にいる。
悩んでいるうちにゴミ捨てに行っていた二人が帰って来たみたい。
無事にゴミに止めをさせたんだね。
「おかえりー」
「ああ、ただいま。で?お前、何一人でブツブツ言ってんだ?」
「……口に出してた?」
「「思いっきり」」
うわー……やだやだ。
自分でも独り言に気付かないって怖いわー。
思わず頭を左右にブンブン振ったら、苦笑交じりに頭を撫でてくるカイン。
「それで?一体どうしたんだ?」
「いやね?Sクラスのめっちゃくちゃ多い得点に貢献したのって誰かなーって思って。トラップ回避力&運も強そうだから生徒会に入ってもらおうと思うのだけど、どう思う?」
「別に愛良がいいなら、いいんじゃないか?」
どうでもよさそうに頷くカイン。
うん、こういう人事っぽいことは君、あまり口に出さないと思っていましたよ。
どうしよっかなー……。
「よし、とりあえず見に行くのだけはしておこうか。なんか嫌な予感がするから静かにね。特にコス王」
「イエッサー!」
ノリノリで敬礼をしながら返事をするコス王。
……不安。
「愛良、とりあえず行くぞ。残り時間も少ないからな」
「……うん」
「さー行くぜ!!同類の匂いがする場所へいざ!!」
そう言って片手を天に向けて突き出すコス王。
どうしよう……。
「急激に行きたくなくなった」
あ、やっぱりカインも同じこと思ったんですね。
やっぱりやめよう。
嫌な予感がしてしょうがないもん。
コス王の同類ってことは変態ってことでしょ?
ダメダメ無理無理。
面白そうだから見物するにはいいけど、自分から関わるのはイヤ。
……だけど、同類の匂いを嗅ぎつけた変態のテンションは止まらない。
「却下!さぁ行くぜ!同類のもとへと転移ー!」
さっさと私たちを巻き込んで転移魔法を発動させたコス王。
「「このボケがぁあ!!」」
「ぐるぅああああ!!!」
「いぎゃぁぁあああ!!」
勝手に暴走して私たちの鉄拳としぃちゃんのお怒りを買ったのは、しょうがない事だと思うの。




