58.新技覚えました
今日も短めでーす。
◇◇◇◇
何か色々諦めた表情のカインを引っ張って、光を放っていた結界内にとうちゃーく。
さてさて、いったい何があったのかな?
わくわくドキドキです。
私たちも結界の中に入れるように設定して、と。
「ああ……」
光の中心から、まるで歓喜に震えているかのような声が聞こえる。
……誰?
龍雅かと思ったのに、声違うし。
「みなぎる……力が……これなら、勝てる!!」
「は?」
「へ?」
はい?
勝てるって……いったい誰に?
「あの……あの、恐ろしい奴に!!!」
その言葉と同時に強い光を放つ人物。
「あのお犬様に!!勝てる!!」
コス王が、腕を天に向かって上げていました。
いやいやいやいやいや。
「なんか楽しい事かと思ったのに……君、何してんの?」
「あぎゃっ!!!?」
「無駄に光らせてお前何がやりたいんだ?仮にも死神だろうが」
「ぶべっ!!?」
死神なのに光ってるコス王に楽しみがとられてイラってきたから、顔面に回し蹴りきめちゃいました。
まぁそのすぐ後に蹴り飛ばされたコス王の鳩尾を、主であるカインが殴ってたから問題なしかな。
……それよりも。
さっきの勝てる発言を聞き取ったらしいしぃちゃんが、ソル先生のお仕置きから一瞬で帰ってきて戦闘態勢に入りました。
しぃちゃんって、転移使えたんだっけ?というレベルの速さです。
そりゃフェンリルだから、赤ちゃんでも本気だせば音速のスピードは出るって育て方の本に書いていたけどさ。
今の速さは確実に音速を超えて光速だったと思います。
何かよく分からないけども、レベルアップしたコス王の発言がよっぽど気に食わなかったみたいだね。
さすが私と自分の悪口には敏感な子。
自発的にお仕置きを開始する様子です。
「しぃちゃん、おかえり。下剋上企む馬鹿がいるから現実分からせてあげておいで」
「わう!!」
よし、しぃちゃんガンバ!
「ぐるぅ……」
あら、珍しい。
いつもなら大きくなってすぐに噛み付くのに、しぃちゃんが小さい姿のままなにか力を溜めているように動かない。
けど、その姿が見えてないコス王は顔と鳩尾を抑えて呻いている。
「い、痛い……カインはともかく、お嬢の馬鹿力で顔面に回し蹴りはダメ。俺様のうっつくしー顔が歪んじまうじゃねーか……」
お顔を押さえたまま、くぐもった声で文句を言うコス王。
おーい、しぃちゃんが何かをしようとしてますよー。
……って、心の中で忠告しといてあげるね。
私ってば優しいー。
「う~……」
あ、そろそろしぃちゃんの溜めが終わりそう。
何が起こるか分からないから、カインと一緒に下がり下がり……。
「わう!!」
溜めに溜めていたしぃちゃんが吠えた瞬間、光線が走った。
「「は?」」
「え?……ぎゃぁぁぁあああああ!!!」
何かのブレスと思ったら、まさかの光線。
別名レーザービーム。
……あれ?
フェンリルってレーザービーム使えるんですか??
前にお父さんからもらったフェンリルの育て方の本を取り出して。
えーと……フェンリルの使える技一覧は……。
王「カ――――イ――――――ン!!!ヘルプ!!!!へ―――――ルプ!!!!!」
カ「悪い。俺には無理だ」
王「おじょぉぉおおおおおおおおおお!!!」(泣)
愛「……」(本をペラペラ)
カ「完全に聞いていないな……ってうわっ!!!?シリウス!!!?どさくさに紛れて俺にも攻撃するな!!!!しかも顔面!!!!」
し「わう?……わーう」(ニヤ)
王「うぎゃあああ!!俺様の大事なところにカスったぁぁぁああああ!!!!」
カ「おわっ!!?シリウス!!!待てって……ああ、奴か。いいぞ、もっとやれ」
王「俺様に攻撃しないならよし!!お犬様!!殺っちまえ!!!!」
し「わんっ!!!!」
?「ぎゃぁぁぁあああああああああ!!!!!」
以上、調べ物に忙しかったので音声のみでお送りしました。
というか、最後の絶叫上げたの誰?
すっごく聞き覚えはあるけど。
……まぁいいか。
フェンリルの育て方にちゃんとレーザービームも使えるって書いてたし。
生後1年からみたいだけど。
しぃちゃん、今まで使う様子なかったし、生後1年たったばかりかな?
ちなみに、生後1年で普通のワンコの1か月くらいみたいです。
帰ったらお祝いだね!




