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6.ギルドに行きましょう

「おーっきー!!」



王都の巨大な門。

すっごい大きいです。

こんなに大きな門、初めて見ました。

開けるのだけでも一苦労しそうな大きさです。

むしろ、どうやって開けるの?

まぁ、私たちが入るときはこんな大きな門を開けることはないんだろうけど。

門番さんが立っている近くに、小さな扉があるし。

一般の人は、あそこから出入りするんだろうね。

大きい門を通ってみたい気持ちはあるんですけどね。

うん、無駄な夢は見ない。



「くぅん?」


「なんでもないよー」



王都の門が見えた途端に子犬サイズになったしぃちゃんは、ただいま抱っこ中です。

いきなり目の前で子犬サイズになった時はヤバかった。

思わず精神崩壊するかと思うぐらい可愛くて、モフモフしまくりました。

小犬万歳。

私は断然犬派です。

小動物全般大好きだけど!



「はあ……もう寝たい…」



なんか色々暗いオーラを漂わせているイケメンは、いつの間にかマントを取っていました。

なんでも、帝姿の場合は直接ギルドに転移するけど、今はその魔力もないから仕方ないんだって。

さっきの腕輪を取り出した時みたいに、別空間にマントを片づけているみたいです。

『ボックス』っていう魔法なんだって。

その人の魔力の量で収納量は変わるみたいだけど、中に入れたものは入れたばかりの状態で保存ができるから、冷蔵庫入らずで便利そうです。

覚えたい魔法、ダントツ第一位。

魔法とかについては、そのうちイケメンから教えてもらう予定だから、ちょっと楽しみかもしれない。



「ほら、早く中に入ろ」


「分かったから。ちょっと待ってろ」


「はーい」



すっごい疲れたオーラを漂わせているイケメンは、門番の人に話しかけるとすぐに門を開けてもらいました。

……巨大な門を。



「……予想外、です……」



目の前で大きな音を立てて開いた門。

え、たった二人と一匹通すために、こんだけ大きな門を開けるの?

どれだけ効率悪いの?

この国の人たち馬鹿なの?馬鹿だよね?馬鹿決定。

何のためにあっちの小さい扉があるんですか?



「何茫然としているんだ?さっさと行くぞ」



うん、理解できないことは気にしない。

とりあえずイケメンの後ろをついていく。

地面は綺麗に整えられた石畳。

石造りの2階建ての建物が、大通りに面して並んでいる。

ほとんどの建物が、一階はお店になっている。

たまに、馬車や馬が道を通っている。

車とかの文明の利器はなさそう。



「……中世のヨーロッパくらいの文化かなぁ」



文明の利器に慣れた私には、この世界で生活していくことにも不安を覚える。

ちょっとした移動も車とか電車だったからなぁ……。

馬鹿力と一緒に身体能力がかなり上がっていたから、走りまくっても疲れはしないだろうけど。



「お前のところは、どんなところだったんだ?」



あまりにも現代から離れた様子に思わず茫然としていたら、イケメンが不思議そうに聞いてきた。



「うん、ここと比べると、かなり発展してたんじゃないかなぁ」


「ほ~。そんな世界から来た勇者が、いったい何の役に立つんだか…」



後半は小さめの声でつぶやくイケメン。

龍雅のこと嫌いっぽい。

まあ、イケメンだって努力して全帝の地位についたんだろうし、ぽっと出にしゃしゃり出られちゃ腹立つか。

よし、主の分も龍雅を見つけ次第、再起不能の一歩前まで弄ってやろう。



「どこ行くの?」


「俺が所属しているギルド『清龍』だ。一応シリウスの報告と、お前のことをギルドマスターに説明しなきゃならないからな」



ギルドってのは、困っている人の依頼を受けてお金をもらう紹介所みたいな所らしいです。

このイケメンも、そこで依頼を受けて森に来たみたい。



「へ~。ギルドって何個かあるの?」


「そりゃな。まあ一番デカいのが、城近くにあるあの白い塔、国営のギルド『純白の騎士』だな。次にデカいのは民営最大規模のギルドで俺が所属している『清龍』。他にもあるが、まあこの二つを覚えていたら問題ないだろ」



イケメンが指さした方をみれば本当に白い塔が見える。

国営のギルド『純白の騎士』。

純白の騎士に純白の塔。



「……プッ」


「笑うな。一応アレがトップなんだから。あそこに入るのだって、結構大変なんだぞ。ギルドからの推薦をもらってから、あそこのマスターに腕を認めてもらわないとならないからな。だから、アレに入ったらそれなりに名誉なんだ」



軽く頷きながら、そこで目の前のイケメンの存在に首を傾げた。

彼はこの国最強らしい全帝。

なのに、所属は『清龍』。



「……なんで『清龍』のままなの?」


「……俺が『純白の騎士』に所属してたらどう思う?」



マント真っ黒、性格根暗が純白の騎士。



「え、爆笑するけど?」



つい、本音がそのまま口から出ました。



「……だからだよ」



すっごく嫌そうな顔している。

でもそれ以外にも理由がありそうな感じ。

うん、そのうち暴こ……教えてもらおう。

なにせ私の主だからね。



「ね、『清龍』はどこ?」


「この大通りの先だ」


「ふぅん……。ちょっと聞きたいんだけどね?今日召喚されたヘタレ勇者って、所属するのはやっぱり『純白の騎士』?」



勇者として召喚されたのは確実に龍雅だろうし、やっぱり幼馴染としてはあの子の居場所を把握しておきたい。

殴りたいし。



「……今、勇者の前になんか付属が付いていなかったか?」


「気のせいです」


「……はい」



ニコニコ笑って断言すると、顔を引きつらせるイケメン。

あの女の子を巻き込むヘタレ野郎に対して、とても優しい言い方のほうだと思うのだけど、おかしいな。



「で?純白の騎士に所属するの?」


「今日の召喚の儀はサボったから何とも言えないが、十中八九そうだろうな。王家は勇者を手元に置いて置きたいだろうし」


「ふ~ん……」



王家もなんかややこしそう……。

一応ヘタレでも幼馴染だし、ヤバそうだったら助けようかなぁ……?

巻き込んだ馬鹿だけど。

女の子の盾にもならないヘタレだけど。

……やっぱりムカついてきた。

その時の気分にしよう。

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