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50.お嬢は女子返上した方がいい

◇◇◇◇


うっへっへー。

久しぶりの下界だなー。

この間の禁忌召喚の時は、カインが結界を張っていて結局外に出れなかったんだよな。

そのまますぐに天界に行ったし。

いやぁ、懐かしいなぁ……。

最近仕事ばっかで、俺様の趣味の時間も満足にとれていなかったし。

ま、今はある程度仕事終わらせてきて、後は全部押し付けてきたがな!

上司を見捨てた部下に!

せいぜい足掻け。

俺様は、久しぶりの使い魔ライフを楽しむ!

だってお嬢の存在を知ったら、ほっとけないだろ!

あの馬鹿親神の愛娘ってことは、あいつらと関係ありまくり!

むしろ気になってしょうがねぇよ!

カインの奴が俺様と契約をしようとしたとき、止めさせようと思ったらいつでも止めれたのに、お嬢を傍で観察したいがためにそのまま契約させてやったしな!

やっべ、テンション上がるなー。



(コス王、聞こえるー?)



おっと、一人で笑っていたら当の本人から念話が来たし。

ただな、お嬢。



(……俺様の名前、そろそろまともなの考えてくれない?)



死神王以外にも名称はあるけど、名前自体はないんだよな。

前の契約主が付けてくれなかったんだ!

だからってコスプレ王の略は勘弁してくれ……!

コスプレは俺様の好物!

だけども、趣味と名前を反映させちまったらダメだろ!



(後で適当に考えるかもー。それよか、そっちの様子はどう?)



うん、間に『かも』って入れてる時点で、俺様の名前がコス王で固定されちまいそうな気がしてきた。

不安だ。

これは先に諦めておいた方が無難かもしれねぇ……。



(あー、王女と愉快な仲間たちなー?……ヘタレ勇者の写真につられて、必死で爆走中だぜ)



名前のことはひとまず諦めて、観察対象の報告。

ちなみに俺様はコウモリの姿で木の枝にぶら下がりながら、学園の森を歩くビッチ達の様子を見学中だ。

その俺様の下を、周囲を目ざとく見ながらも走っているビッチ達が通り過ぎる。



「ほら、みなさん!他の方に出遅れてしまいますわ!早く行きますわよ!」


「はい!リョウガ君の写真は全部私のものです!」



おー。

金髪ビッチ王女だけでなく、あんな大人しそうな茶髪娘も必死になってるし。

アレのどこがいいんだ?

単にお嬢に付きまとおうとするストーカーじゃね?



「まぁ!?リョウガさんの写真を独り占めだなんて、私が許すとでも思って!?王女であるわたくしに逆らう気!?」


「女としてのバトルにそんなの関係ないです!アース家の女の根性は大地と同じでそんな簡単に揺るがないんですからね!」



ぎゃんぎゃん喚く王女に向かって、舌を出して拒否する茶髪娘。

あー……あの小娘が今代の6大貴族アース家の娘なんか。

なんか年々6大貴族の質というか、人間的な価値が落ちて行ってるよなぁ。

今の6大貴族だって、この王国を建国する時に前の国を牛耳っていた6大貴族を倒した功績から授与された平民だったはずなんだが。

……人間って力と金に慣れちまったら、どんどんおかしくなっていくなっちまう種族だから、人間らしいっちゃらしいんだけどよ。

だからといって、ここまで人間として質が落ちるのはどうかと思うがな。



「リノ!あなた、生意気ですわよっ!?」


「ちょっと!二人とも、やめなさい!喧嘩するなら見つけても没収するわよっ!!?」



土娘に掴みかかろうとした王女を後ろから羽交い絞めにして止めたのは、黄色頭の小娘。

あいつは雷の一族だな。



「うるさいですわよ!シェラ、あなた、そんなこと言ってどうせリョウガさんの写真を独り占めしようとしているんでしょう!?」


「べ…別に欲しいとかそんなんじゃなくて、二人が仲間割れしないようにするためだからね!?勘違いしないでよ!」


「でしたらシェラさんは黙っていてください!」


「なんですって!?」


「あなたたち!それ以上無駄口ばかり叩いているなら潰しますわよ!?」



……これが、王族と筆頭貴族達の会話かぁ。

うん、すっげードロドロ。

女はどの種族でもやっぱりこえーな。

お嬢筆頭に。

にしても……。



(写真に必死になりすぎるあまり、本人そっちのけで突っ走ってるあいつら馬鹿だよな?俺様笑っていい?)



良いよな?

お嬢のスタートの合図と同時に、ヘタレ勇者+αたち置いてけぼりで走り出したあいつら、笑っていいよな?

被写体そっちのけで写真を探して走り回っているあいつら、笑ってもいいよな!



(よし、許す)


(聞こえるように笑っちゃえ)



よっしゃ!

主とお嬢から許可出たし。

あいつらが恐怖にかられるように笑ってやる!



「いっひゃっひゃっひゃ!!いーひゃっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!」



ひっひっひ。

あいつら、薄気味悪い森の中でいきなり聞こえて来た俺様の笑い声に、警戒して縮こまってやがる。

やべぇ、テンション上がってきた!!



(コス王!この音楽も一緒に流しちゃって!)



目の前に転移で送られてきたのはCDディスク。

お嬢からビッチ達にプレゼントだな!



(おけおけ!なんでも流してやるぜ!ちなみに何の曲?)


(某ホラー映画の曲。ついでにそれ合図にトラップ発動するから)


(うはっ!どの曲だ!やってやるぜ!)



曲を流すと発動するトラップって、お嬢器用なマネするなぁ……。

だけど、面白いからよし!

ノリにノッて再生ボタンをぽちっとな。






『く~る~ きっとくる~ きっとくる~……』





ま・さ・か・のリ○グ!!?

一昔前のホラー映画か!?

やべーよ!!

貞○が来るよ!!



「な……なんですの、この不気味な歌は」


「気味が悪いわ……」


「二人とも、怖いんですか?」



突然響いた歌に、身を寄せ合うようにして縮こまった王女と黄色頭。

ん?……なんか土娘は意外と平気そうだな。



「べ、別に怖くなんかないんだからね!?」


「わたくしは怖いですわ……こんな時に、男性方はどちらに行かれたのかしら」



しおらしく肩を震わせている王女だが。

はい、お前らが自ら置いていったぞー?

あのビッチ王女、どこまで自己中なんだ?



「本当にリョウガさん以外頼りにならないんですから」



本当にひどい性格しているんだからー。

お嬢、治しようがないってこいつの性格。



(お嬢、トラップはまだー?)


(んー?もう発動しているよー?)



……ん?

別にあいつらに特に何も起こってないぞ?

いや、待て。

なんか、あいつらの周囲がやけに黒くて蠢いている。

そして背景で聞こえる音楽。



『く~る~ きっとくる~』



……来るのは○子じゃなかったんですね。



「きゃぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!!」


「いやぁぁぁぁああああああああ!!!!!!!!」


「なんでゴ○ブリぃぃぃいいいいい!!?」



お嬢……本気で女子を返上しろ。

何で女子が平気でGをネタにできんだよ。

というか、どうやって操ってんだよ?



(カインに捕まえてもらって、G君好みの魔力をあの子たち周辺に漂わせました)


(……思い出させないでくれ)



そういやカインの奴、何日か前に泥だらけの死んだ表情で帰ってきてたな。

そんでもって、しばらく部屋に閉じこもっていたぞ。

お嬢が部屋の前にシチューを置いて、うちわで煽いだら出てきたけど。

お嬢の料理って美味いから、匂いでつられてもしょうがないのは分かるけどな。




(あっはっは♪なかなかいい悲鳴をあげてんじゃん。じゃ、トドメ)


「「「ギャ―――――――!!!!」」」




鬼だ、魔族ですら顔色真っ青になるぞ、これ。

Gごとまとめて落とし穴に落とすとかこえぇよ。

つうか、えげつねぇ……。



(鬼畜……)


(カイン君?女の子に言っていい言葉じゃなかったよね?ちょっとこっちおいで?お話ししよ?)


(待っ、悪かった!俺が悪かったから!許し……シリウスはやめてくれ!しかも本来の姿っ!?勘弁してくれ!)


(しぃちゃん、ガンバッ!)


(ぐるぅぅぅああああああ!!!!!!)


(ぎゃぁぁぁぁあああああ!!!!!!)



……ああ、死んだなぁ。

とりあえず、合掌。

カイン、お前のことは忘れないから成仏してくれ!

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