49.親睦会開始です
◇◇◇◇
親睦会当日は晴天で気温も上々。
イベントを行うには最適の天候だね。
『さぁー!今年もこの時期がやってきたぞ二年と三年!そして新年生、ようこそ高等部へ!親睦会の司会を務める3年のルーザーだ!ちなみに!前の前の生徒会長でもあるぞ!』
面白半分で作った魔導具『マイク』を渡した途端に性格が豹変したようにテンション上がった元会長さんなルーザー先輩。
そのままのノリで司会を引き受けてくれました。
ありがたやありがたや……。
『それでは!まずは一年生にして生徒会長となった学園内成績ダントツトップのカイン君の挨拶だ!』
『……急遽、一年生だが生徒会長を務めることになったカイン・ルディスだ。本日は新入生が学園に早くなじめるように設定された親睦会だ。内容は宝物探し。クラス対抗だが他学年との協力は可能だから、この機会にぜひ上級生とも親しくなれるよう努力してくれ』
うん、つまらないとしか言いようがないぐらい普通だね。
あのルーザー先輩みたいにちょっとくらいテンションあげたらいいのに。
『カイン会長、ありがとうございました!次は同じく一年生で副会長に就任した影の番長アイラちゃんからルール説明があるぞ!ちなみに!きちんと聞いとかないともれなくアイラちゃんの使い魔のワンコに噛まれるから真面目に聞いとけよ!』
なんか、色々好き勝手に言ってくれたけど……ま、いっか。
『生徒会副会長になった愛良・紫藤です。ではルールを説明します。この学園内全体にこの小さな宝箱が隠されています。ちなみに、隠したのは先生方なので、私達もどこに隠されているかは分かりません』
片手で持てるぐらいの小さな箱をみんなにも見えるようにスクリーンに映しながら見せる。
あ、ちなみにこのスクリーンも私特製魔導具だよ。
『宝箱の数は全部で1万個、制限時間は三時間です。あ、一番多く集めたクラスには成績がアップされるので、先日の実力テストの結果が散々だった人たちは番返しのチャンスですよー』
「「「「「うぉおおおおおおお!!!!!」」」」」
成績アップの一言に、雄叫びを上げる生徒達。
みなさん成績が散々だったんですねー。
え、私とカイン?
カインが満点トップで、私が次席でしたよ?
歴史上の人の名前、間違えて覚えてたからそこで減点されちゃったの。
瞬間記憶能力に頼り過ぎて、正確に文字を読んでなかったんだよね。
反省反省。
「……」
成績アップの言葉に盛り上がりを見せる生徒達とは別に、苛立った様子でこちらを睨んでくる王女と愉快な仲間たち。
そのグループの一部の赤髪男子は大喜びしているけどね。
見た目ちょっとお馬鹿そうな子だから、そんなもんかもしれないけど。
よし、秘密兵器を出しますか。
『ちなみに、宝箱にはこんな感じのが入っています』
チラっと一瞬だけ手元にあるモノをスクリーンに映した瞬間。
「「「「「「きゃああああああああああ!!!!」」」」」」
愉快な仲間達を含む大多数の女子の歓声という名の悲鳴が上がりました。
一瞬だけスクリーンに映したのは写真。
もちろんあの子たちが喜ぶヘタレ勇者の写真です。
ちなみに、この写真は女装して半泣き状態の写真だったりする。
中学の時の文化祭の男女逆転喫茶の時のです。
創造って便利だよね。
思い浮かべただけで出てきたの。
ちなみに嫌がっていた龍雅に女装させたのは、日ごろの恨みがたっぷり溜まっていた男子たち。
うん、クラスメイトを超えた人数が殺到していたね。
懐かしきいい思い出です。
『これは同じものは入っていないので、頑張って見つけてください。ちなみに、この学園のマドンナやイケメンなどなど、数多くあるのでー』
ちゃんとヘタレ勇者とカイン以外の人には、ちゃんと許可とってるから問題なしだね!
私の中で弄り対象のイケメンに肖像権なんて存在しないの。
『あ、そうそう。言い忘れてましたけど、自分で見つけたものは、親睦会が終わったら持ち帰りOKなんで』
はい、王女と愉快な仲間たち含むみなさんのやる気がぐんぐん上がっていきました。
ついでに独り占めしてやろうという一部王侯貴族たちのボルテージもあがっていますね。
『はい、まだ説明は終わっていないので話は聞きましょうねー。それじゃあ、ホームルームで配られた腕輪をちゃんとしていますかー?それに触って魔力を少し入れると、自分のクラスのトータルが表示されるようになっています』
よしよし、みんなちゃんと腕輪を付けて確認しているね。
人数分の魔導具作るの、とっても頑張ったよ。
めんどくさすぎて、二度とやりたくないって思うくらい頑張ったよ。
まぁ全部作り終わってから、最初の一つだけ作って、後は全部創造で出せばいいってことに気づいたんだけどね。
いやぁ、全部終わってからカインにそう指摘されて茫然としましたもん。
もともと魔法がない所から来たんで、すぐに思い浮かばなくてもしょうがないんです。
ああ、恥ずかしい……と、説明の途中だった。
『えーと……この腕輪は、ズルをしようとすると電撃が流れる仕組みになっているので、他の人の獲物を途中で奪うなんてことはできませんからー。ちなみに、この腕輪は親睦会が終わるまではずせませーん』
はい、他の人のを奪ってやろうと考えていたビッチ達の顔色が一気に青ざめました。
ちなみに、王女達のは他の人より電力10倍増しです。
他の子達の場合だと10分くらい動けなくなるくらいだけど、あの子たちには確実に気絶するだけの電流が流れます。
あの子たちは是非ともズルしてほしいな。
『では、みなさん協力して頑張ってくださいね。協力しないと病院送りだから』
「「「「「「「……え?」」」」」」」
ただの親睦会なのに病院送り?みたいな顔を生徒たちがしていますね。
そうです、病院送りです。
自分が持てる体力と知力を最大限に使わないと成績アップどころか、病院行き決定になっちゃいます。
そう簡単に成績アップを狙えると思ったら大間違いなのです。
授業やテスト外での成績アップ、それは素手で崖を上りきることよりも至難なのです!
『はい、じゃあスタート!』
まぁせいぜい、怪我しないように頑張ってくださいな。




