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44.弱すぎてびっくりでした

さてさて、水蒸気爆発をもろにくらった龍雅くんですが。

顔面殴りたいし手加減したから、まだ生きているはずだよね。



「……」



……はれ?

生きているのは分かるんだけど……なんか、倒れている人数が増えています。

きっと使い魔たちがとっさに出てきたんだろうけど、防ぎきれなかったのかな?

というか、女三人って……絶対顔で選んだな。

だって、お父さんが神様なら属性神も絶対に俗世にまみれているよね、きっと。

……この人たち、たぶんだけど光、闇、創造の属性神だね。

その属性が強く感じるし。

一応下級といえども神様なんだから、頑張って防ぎなよねー。

私、今は龍雅よりも魔力量少ない設定なんだから。



「あ……主、大丈夫か?」


「う、うん……なんとか、ね。みんなは大丈夫?」


「え、ええ……主は、お下がりを」


「……我らがあの者と対峙しよう」



ボロボロになりながらも、主である龍雅を守ろうと立ち上がる使い魔たち。

そんな使い魔たちを押しとどめる龍雅。



「だめだよ、みんなだって怪我しているのに……こうなったのは僕の、力不足だ……」


「そんなことは……」


「主は十分強い。あやつが規定外なだけじゃ」



……この茶番劇、いつ終わる?

誰が何を言っているとかどうでもいい。

……この属性神たちもまとめて再教育する必要がありそうだね。

君たちがチヤホヤするからこのお馬鹿も成長しないんだよ。



「……しぃちゃん。フェンリルの姿であの3人と遊んでおいで」


「わふ」



マントの中でずっと腕に抱いていたしぃちゃんに小声で言うと、しぃちゃんはすぐに巨大化して私の後ろに現れた。

その大きな姿に、属性神たちの顔が青ざめる。



「ふぇ、フェンリルじゃと!?」


「なぜ、神獣が人間に……」


「……想定外」



上から(たぶんだけど)創造、光、闇の属性神が呟く。

確か、神獣は属性神よりも上のランクなんだよね。

ついでにフェンリルは神(お父さん)が特別に創ったから、強さはかなり別格らしいし。

……単純に、私が犬好きだから犬系は強くしただけっていうのは別のお話。

というか、犬・狼系のモンスターで苦労しているこの世界の人は聞かない方がいい話。

ドラゴンと同程度の強さを持つ狼系モンスターとか、意味不明だ。

とりあえず、あの三人はしぃちゃんに任しておけば十分だよね。

さて、ずっと抱っこしていたしぃちゃんも遊びに行ったことだし、両腕が空きました。

つまり奴を殴れます。

本当のフルボッコタイムの始まりだよ。

相手は一応人間だから、力セーブの腕輪はしたままで身体強化を施す。

そして一気に近づくとお腹を蹴り上げた。



「ぐはっ……」



それなりの力で蹴り上げたから、龍雅の体が結構高く浮いている。

けど、それで終わらせるわけない。

軽くジャンプして追いつくと、顔面中心に殴りまくり、背中に踵落としを決めて地面に激突させた。



「……」



まだ一応生きているけど、そろそろ真面目に戦うの飽きた。

というか、弱すぎてびっくりした。

このお馬鹿さん、私が向かったのは見えていたはずなのに身体強化もしなかったよ。

避けられるとでも思ったの?

本当に、驚くほどの弱さだよ、君。

魔力と属性をいっぱい持っているのに、宝の持ち腐れどころの話じゃないし。

……もういいや。

こんだけ弱すぎる相手をいたぶるのも、寝覚めが悪いし。

しゃべらないで戦うのって結構ストレスが溜まるのもあるけど。

私、話術で相手に精神的ダメージ喰らわすのも結構好きだし。

倒れてピクリとも動かない馬鹿は放置しよ。

あ、でもお手紙くらいは書いておこうかな。

今後のために。



『弱い。弱すぎる。魔力コントロールもまともにできない餓鬼が調子に乗って粋がるな。お前の周りで褒めてきた奴は単なる社交辞令だと思え。というか、魔力コントロールの練習もまともにさせないお前の周囲の奴らを阿呆と思え。勇者だからって調子に乗るな。この世界ではお前は特別な人間でなく、単なる一人の人間だ。あまり傲慢に相手に喧嘩売っていると死ぬぞ。というか、次に同じことをしたら全帝と操者である私が制裁する。その時はわざわざ不死結界を張ってやる必要もないから、確実に死ぬと思え。それが嫌なら一から魔力コントロールをやり直せ。それすらしようとしないなら、お前に価値はない。邪魔だ。Zランクを返上して消えろ』



よし、こんなもんか。

これなら私だってばれないよね!

カインだったら精神的に大ダメージで鬱帝になっちゃうけど、龍雅なら悔しがって練習するだろうし。

……たぶん。

それでも練習しなかったら……邪神がどれだけ強いか知らないけど龍雅死んじゃいそうだし、お父さんに言って元の世界に送り返してもらえばいいか。

うん、それがいいね。

とりあえず紙を気絶している龍雅の顔の上に置いて、しぃちゃんたち使い魔を振り返る。



「……」



いや、さっきから描写しなかっただけで結構な悲鳴が上がっていたのは知っていますよ?

けどね、龍雅の使い魔たちの五体不満足状態みるとは予想外でした。

うん、それぞれ体の一部がない。

何とか生きている状態?

落ちてすらいないから、しぃちゃん食べちゃったんだね。

そんなの食べてたらお腹壊すよ、しぃちゃん。



「……おいで」



小声で呼ぶと、暇そうに寝そべっていたしぃちゃんの耳がぴくりと動き、こっちに向けて一気に駆け寄ってきた。

大きな体ですり寄ってくるしぃちゃんの頭を撫でて、元の大きさに戻ってもらう。

もちろん、小さい姿を見られないように不可視の結界を張って再びマントの中で抱っこだ。

さて、戻りますか。



(カインー。終わったー)


(ああ……もっとやれよと言いたいところだが、あれだけ弱いと興ざめか。よくやった。とりあえず、結界を解くぞ)


(はーい。精神的に疲れたから、甘いもので癒されたい)


(帰ったらお茶にするか)


(今日のプリンはチョコプリンだよ♪♪)



周りの帝たちから人外的な視線を向けられていても、全然気にしません。

だって人間じゃないもん、人外だもん。

開き直ったら強いんだからね!



(……あなたたち、さっきまでの一方的なリンチの後で、よくそんなほのぼのとした念話ができるわねぇ)



あ、マスターにも聞こえるようにしてたんだった。

ま、別にいいけどね。



((スッキリした))


(……あ、そう)



マスター、諦めが肝心ですよ。



「さて……白銀のだいたいの実力は分かったな。光帝、こいつはお前のとこのギルドだから、お前が教育しなおせ。こいつの意味のない自信は操者が木端微塵に潰したからな、一からやり直せ。それでも改善が見られない場合は、用はない。魔力が強いだけで甘い考えを持つ者は逆に脅威だ。ランクを剥奪して魔力を封印する」



うん、カインもやっぱり私と同じこと考えていたんですね。

王道的な主人公って強くて優しい=甘いから見逃しちゃうという流れもよくあることだし。

真面目に敵に対してそんな甘さが原因で返り討ちにあうとか、勘弁だからね。

早いうちに、可能性は潰しておくほうがいい。



「……了解した」



この光帝さん、絶対不服そうだわ。

というか、女の人だね。

しかも、龍雅の素顔を見ているとみた。

つまり、龍雅に惚れている可能性高いよね、ということ。

う~ん……この人の下で龍雅、成長するかなぁ……?

……無理だろね。

散々紙に書いて忠告したし、その忠告を聞かないで自分を甘やかせてくれる人の所で教えを学ぼうというのなら、龍雅には悪いけど勇者として見限らせてもらおう。

そうなったら、カインに頑張ってもらえばいいよね。

もともとカインが邪神と戦う予定なんだし。

あ、お父さんに邪神が復活するだいたいの目安を聞いておけばよかった。

後で聞いとこう。

さて……明日から学校だし、もう帰ろーっと。

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