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33.使い魔はしぃちゃんだけです

えー……。

魔武器っていうから、剣とか期待していたのに、出てきたのは単なる真珠。

それも一粒だけという。

逆にこれをどうしろと?

……とりあえず、名前つけよ。

もう単純に真珠だしパールでいいや。



魔武器:パール


能力:形状変化・増殖・設定能力



……名前付けたら頭の中にパールの能力が書き込まれたけどさ。

なに、設定能力って。

あれか、『こういう設定にしたい』とかいう願いがそのまんま叶っちゃうのか。

とりあえず、設定能力は隠しておいた方が無難っぽいね。



「愛良、どうだった?(お前のことだから、どうせとんでもない能力だろ)」



カインが話しかけるのと同時に念話をしてきました。

微妙に器用なことするよね、この人。

私もできるけどさ。



「うん、なんか真珠だったよー。パールっていうの。綺麗だよねー。(一言余計だよ?能力は形状変化と増殖、ついでに設定能力でした。カインは?)」


「真珠一つだけか?俺は刀の無限だ。(その一粒にどれだけの能力が込められてんだ?まぁ、愛良だし、そんなものか……。俺は斬る対象の選択と絶対斬撃、ついでにオートで身体能力の向上と魔力の消費量の半減だな)」


「かっこいいねー。(人のこと言えない能力じゃん)」



お互いニコニコと笑いながら普通の会話&念話をこなす。

カインの魔武器かっこいいなー。

私も刀を持ちたいなー。

あ、だけど形状変化が出来るなら、刀に変えたらいいのか。

納得納得。



「……なんか、あの二人、やけに笑っていないか?」


「突っ込まない方がいいと思いますよ」


「ラピスに……賛成……」



うん、なんか3人が何か言っていますね。

ちらりと視線をやれば、それぞれに出来上がった武器を持っている。

ラピスが三つ又の槍、ルナが矢のない弓、グレイが大きなハンマー。



「みんなの魔武器はなんなのー?」


「私はトライデントと名付けました。ルナはアルテミス、グレイはミョンニルというそうですよ」



めっちゃくちゃ神話に出てくる武器とか女神の名前ですね。

この世界と共通しているのかは知らないけど。

なんとなく強そうな感じがビシビシ伝わってくる武器達です。

純度100%にしてよかった。

能力までは知らないけど、この子たち、もう最強じゃない?

ちょっと友達贔屓しすぎちゃった?

……ま、いっか。

とりあえず、先生に報告報告。

なんか私の魔武器だけ形が形だけに、微妙な顔されたけど気にしない。

能力の報告義務はなくてよかった。

余計に変な顔されるところだったよ。

あ、ちなみにヘタレ主人公は剣だったよ。

王道だよね。

どうでもいいけど。



「えー……Sクラスは全員魔武器はできたなー?うし、Sクラスは終了だ」



ソル先生がめんどくさそうに名簿と報告に来た生徒たちのチェックをしながら、隣に立つ学年主任の先生をちらりと見る。

各クラス担任が全員作成を終えた報告を受けると、また手を叩いて注目を集める学年主任の先生。



「魔武器作成、お疲れ様でした。次は使い魔召喚ですね。使い魔召喚は、それぞれ魔法陣に自分の血と魔力を流してください。呪文は何でもいいですが、魔力を込める量は少しでいいですからね。あなたたちの潜在能力や性格によって使い魔は決まりますので、頑張って魔力を込めた所で変わりないですからね。それと、複数の血を混ぜてはいけませんよ。禁忌召喚になってしまいますから、禁忌を犯した召喚者の魂を狩るために死神が召喚されます」



禁忌召喚の時に出てくる死神は、確か複数の血により召喚された召喚獣たちが一つの魔法陣に出るために合成されてしまうキメラを防ぐための存在って、本には書いていたはず。

ちなみに、死神は複数の召喚獣たちの集合体であるキメラよりも強いみたいだよ。

そのキメラになるのを防ぐために魔法陣に魔力で干渉しつつ、禁忌を犯した召喚者たちの魂を狩れるだけの力があるみたいだし。

それだけ危険って言われているのに、なぜか数年に一度は禁忌召喚をしちゃう馬鹿がいるって聞くよ。

それをよく分かっているからなのか、ソル先生が珍しく自分から真剣な顔をして生徒達の前に立った。



「もしも禁忌召喚したら、まず間違いなく死ぬと思え。俺たち教師全員かかっても助けられる可能性は低いからな。まぁ、自業自得と思って諦めろ。だから、絶対にするなよ。後始末がめんどくさいからな」



ソル先生、絶対最後のが本音だよね。

話す前はかっこよかったのに、最後で残念です。

最後までちゃんとしなかったから、学年主任の先生から脇腹に拳を受けているじゃないですか。

本当に残念。



「こほん。みなさん、とりあえずソル先生が言ったことは気にせずに。一クラスに魔法陣を4つずつ用意していますので、順番にどうぞ」



咳払いをしてソル先生を殴ったことをなかったことにした学年主任の先生。

そしてその言葉に反応して殺気立つ生徒達。



「よっしゃ――!!!」


「美少女召喚の時が来たー!!」


「巨乳よ来い巨乳よ来い!!


「イケメン召喚イケメン召喚イケメン召喚……」



学年主任の先生の言葉を合図に、またしても魔法陣に群がる生徒たち。

彼らの願望、すごいね。

もう目が血走っていますけど。

怖いよ、みんな。



「おーい!!俺たちはここの魔法陣使おうぜー!!」



ありゃ、みんなの目が血走っている中でまさかのグレイ君が一番乗りをしてくれていたという。

使いっパシリに最適な子だねー。

とりあえず召喚するのは、グレイ、ラピス、ルナ、私、カインの順番。

カインは個人的にすごいの呼びそうなので、楽しみは最後にとっておきたくて一番最後にしてもらいました。

……それにしても。



「私はしぃちゃんがいるから新しい使い魔とか、どっちでもいいんだけどなー」



だって、しぃちゃんだけでも十分強い子だし、なによりモフモフで可愛いもん。

あんまり使い魔を召喚する必要性を感じないなぁ。



「わう?わうわーう!」


「わー!しぃちゃんありがとー!」



しぃちゃん、本当にいい子ー!

可愛いしモフモフだし素直ないい子で大好きです!

しぃちゃんが可愛すぎてギューって抱っこしていたら、隣にいたカインさんが微妙な表情をして口を開いた。



「……参考までに聞くが、シリウスはなんて言ったんだ?」


「え?『いなくていいの?じゃあ僕が頑張って愛良を守るのー!』って言ってくれたんだよ?もう可愛いよね!しぃちゃんは私の騎士ナイト様だよー!」


「わうう~」



きゃー!

『えへへ~』って照れながら私の頬に擦り寄ってくるしぃちゃんが可愛すぎる!

やっぱり私、使い魔召喚やめる!

しぃちゃんだけでいいです!

むしろ、しぃちゃん以外いらない!

私の使い魔は一生しぃちゃんだけでいいの!

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