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31.魔法陣描くの頑張りました

◇◇◇◇


テストが終了した翌日。

今日はみんなが待ちに待った魔武器を作ったり使い魔を召喚する日です!

てことで、朝からクラスの子たちのテンションが上がりっぱなし。

ホームルームの最中だってのにねー。

あのカインですら若干ソワソワしていますから。



「……というかさ、カイン。全帝なのに魔武器とか使い魔はいないの?」



もちろん、周りに聞こえないように超小声です。

あ、でも私が使い魔になるから、いないこともなくはないのか。



「使い魔召喚や魔武器を作成できるのは16歳からだ。まぁ、召喚ではなくこの世界にいるものと使い魔の契約はできるがな。俺は別に必要なかったから、今までいなかった」



前を向いたまま無表情に言い切るカイン。

ふむふむ、なるほど。



「つまり、今まではそっち方面のうっかりミスを発動させることなく過ごすことができたということですね」



私の一言で、カインの無表情だった顔がピクリと引きつった。

それでも頑張って無表情を保とうとしているけど。

ふっふっふ……他の人たちがいる前でクール面していたって、昨日のアベータさんとの試合と、その後の鬱帝降臨で君のクールなイメージはガタガタに崩れているんだから、今さら取り繕ったって無駄だって。



「なぁ……俺は、いつまでこのネタを言われ続けるんだ?」


「もちろん私がこの世界にいる間ずっとですよ?」



何を当然なことを聞いているんだろうね?

うっかりミスで私の人権奪っておきながら、何言ってんだね?



「もし……もしもだぞ?」


「ん?なーに?」


「もし、元の世界に帰ることが出来なかったら、俺は一生言われ続けるのか?」



お、本格的に顔を引きつらせてきたね。

そんなカインに、とりあえずにーっこりと笑いかけた。



「とーぜん。きっとカインが最初で最後だと思うよ~。うっかりミスで他の世界から来た人と契約しちゃったのは」


「ぐっ……」



いやいや、当たり前ですよね?

なんかこの世の終わりのような顔をして俯いていらっしゃいますがね?

ほんと、何のネタですかってぐらいのうっかりミスですからね??

一生弄らせていただきますとも!


……とりあえずは、ちゃんと教壇の前に立っているソル先生の話しを聞いとこうか。

今日の授業の一番大事な所だからね。



「いいか。今日は、お前らが待ちに待った魔武器作成と使い魔を召喚する日だ。詳しい説明はまた後でするから、とりあえずはグランドに集合な。他のクラスの奴らもいるから、適当にSクラスはSクラスで固まっとけー。あ、ルディスとシドウはちょっと前に来い」



手をおいでおいでとするように手招きするソル先生。

ん?いったいなんだろ?

クラスメイトが続々と出て行く中、近づいてきたラピスが不思議そうに首をかしげた。



「アイラ、カイン。何かしたんですか?」


「グレイじゃないんだから、何にもしてないよ?」


「そうだな。グレイではあるまいし」



私とカインには思い当たることなんてないなー。

うん、まだなんにもしてないと思う。



「……あれ、おかしいな。目から汗が落ちて来るよ」


「あら、汚ないので近寄らないで下さいね」


「俺の涙は汚物ですか!?」


「違うんですか?」



綺麗な笑顔を浮かべて首を傾げるラピス様、超綺麗です。



「……ちっくしょー!!」



ラピスに弄られたグレイは泣きながら教室から出て行きました。

やっぱりグレイはこういう運命なんだね。



「それでは、私も先に行っていますね」



出て行ったグレイに一言も触れないラピス。

ラピス様の行動に私は異を唱えないので、どうぞご自由になさってください。



「うん、また後でねー」



ラピスに手を振った後は、教卓に座って待っている先生のところへ。

……先生、悪いお手本を先生が率先してやっちゃダメだと思います。



「先生、俺たちに何か用ですか?」


「おー。お前ら二人とも、他の奴らより先に転移してコレ地面に描いてきてくれ」


「はえ?」



先生が差し出した紙に描かれていたのは魔法陣。

テストで出て来た魔法陣よりも、ずっとずっと複雑に書かれたもの。



「これって……」


「召喚用の魔法陣、ですよね……。先生、いくらなんでも学生の俺たちがやるには問題だと思いますが」


「面倒なんだよ、それ書くの。お前らなら大丈夫だろ。4つでいいからなー。俺は一服してから行くから頼んだぞー」



そういうなり、さっさと転移して消えちゃった先生。

いや、別に魔力の痕跡を辿ったらどこにいるか分かるけどさ。

なんというか……探しに行くのもめんどくさい。



「どーする?」


「……仕方ないだろ」


「ですよねー」



溜め息をついたカインの肩に手を置くと、さっさと転移することにした。








「「………」」


ガリガリガリガリガリガリガリガリ……


休み時間も残り少ない中、私とカインは必死に手を動かしていた。

この間の結界より数十倍複雑な魔法陣は、一つ書くだけでもかなりの時間がかかるのに、この短い10分休憩の間で一人2つ書けというのは、だいぶ無理があると思うの。

てか、これって絶対に先生たちが朝から用意しておかなきゃいけない奴だよね?

他のクラスはもう来た時点で書かれていたし。

つまり、私たちがこんなに必死になっているすべての元凶はあの怠慢教師ということ。



「絶対ぶちのめしてやる……」


「愛良、口を動かす前に手を動かせ。残り2分だ」


「うっ……」



ようやく2個目の半分が出来た所だというのに。

頑張んなきゃ!

そう思って手を動かしていると、近づいてくる複数の足音。



「あれ?愛良?」



で・た・よ!!

人が必死になっているときに限ってやってくるヘタレが!!

とりあえず時間ないから無視無視!



「どうして地面に這いつくばっているの?制服汚れちゃうよ?」


「……」ガリガリガリガリ


「あいらー?何書いてんのー?」


「…………」ガリガリガリガリボキ



あ、思わず力こめて握っていたから、魔法陣専用の棒が折れちゃった。

とりあえずボックスから新しいの出すふりして創造。

んでもって続きを書く。



「うっわ、この棒結構固いのに愛良、よく折れたねー」


「…………」ガリガリガリガリ



そこらへんに捨てた棒を拾った龍雅が何かぬかしておりますが、ひたすら無視。



「うーん……ダメだ、折れない……。愛良、もしかして馬鹿力にでも目覚めちゃったの?」


「…………」ガリガリガリグシャ



……あはは。

不思議だなー。

想像する時に耐久度を上げたはずなんだけど、握り潰しちゃったよ。

さ、新しいのを出しますか。



「あ、あの……リョウガさん、今はあまり話しかけない方がよろしいのではないかと思うのですが……」


「サフィ?どうして?」


「いや、だってアンタ。あの女が書いてんのはどうみても魔法陣じゃない」


「そうですよ?しかもかなり複雑なものです。あれを書くには相当な集中力が必要になると思いますよ?」


「ふつう、見ただけで分かるだろうが」


「お前馬鹿だなー」


「うん、誰も君にだけは言われたくないとおもなー」


「…………」ガリガリガリガリガリ



なんかヘタレの周りの人たちが呆れたように突っ込んでいるけど知らない。

名前なんか知らないし、魔法陣書いている途中だから顔なんか見てないし。

ていうか、さっきから人を取り囲んで煩い。



「……後1分もないんだから、黙ってて」ガリガリガリガリ


「そうなの?じゃあ、愛良。一つだけ言っていい?」


「よくない」ガリガリガリガリ


「でも言わないと、あとで怒ると思うし言うね。さっきからスカートの中、見えてるよ?」


「…………へ?」ガリガリガリピタ



……そういえば、ここの制服はミニスカでした。

別にスパッツはいているからいいんですけどね。

あ、チャイムが鳴っちゃう。



「しぃちゃん、見た奴ら全員の記憶が飛ぶぐらい噛んでおいで」ガリガリガリガリ


「わん!!がーうっ!!!」


「うわっ!!?」


「いた、いたいです!!」


「すいませんでした!」



しぃちゃんにお願いしたら、結構な悲鳴の数が聞こえてきたけど知らない。

チャイムが鳴り終わる前に書き終わったから、もう大満足です!

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