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逸話.勇者、幼馴染宅へ突撃

◇◇◇◇



「あれー?愛良、留守かなぁ?」



インターホンを押したけど、出てこないや。

おかしいなぁ……。



「リョウガさん、お留守なら仕方がありませんわ。お部屋にお戻りになってください」



愛良の部屋を教えてくれたのはサフィ。

1階でたまたま会って部屋の階を教えてもらったんだって。

愛良と友達になってくれたのかな。

前の世界じゃ、愛良、あんまり友達とか作ってなかったから嬉しいな。



(↑お前のせいじゃボケェエエエ!!!by愛良の心の叫び)



「でも、愛良、部屋の中にいると思うんだけどなぁ」



僕の感が、そう訴えているもん。

愛良は絶対中にいるよ。

愛良に関しては、僕の感ってすごく当たるんだから。

もう1回押してみて、さらに続けて2回押してみた。

そしたら、中からどっかの部屋の扉が開く音が聞こえた。

絶対に愛良は中にいる!

よし!

インターホンの連打だ!



「りょ、リョウガさん……そんなに押したら、いくらなんでもご迷惑では……」



なんか後ろでサフィが言っている気がするけど、今は連打に忙しいからちょっと待ってね。

……地味に指が疲れるね、これ。

でも愛良に気づいてもらうためだから、頑張らなきゃ!

頑張って連打していたら、中からダダダダって走ってくる音が聞こえる。



「愛良!会いに来たゲフッ!?」


「さっきから煩い!!いったい誰だっ!!?」


「リョウガさん!!?」



いたたた……鼻が痛い……。

急に扉が勢いよく開くから、顔面を思いっきりぶつけちゃったよ……。

……というか、今出てきたのって男?

男だよね?



「うぅ……すみません、愛良の部屋と間違えました……」


「じゃあ帰れ。迷惑だ」


「ぐるるっ!!」



謝ったのに、銀髪の少年は冷やかな視線で睨んでくる。

しかも、足元にいる子犬まで僕に怒っている様子で吠えてくるし……て、あれ?

この子犬って、愛良がずっと抱っこしていた犬じゃない?

それにこの人って、愛良の横にいた人だっけ?

愛良しか見てなかったから自信ないけど、そんな気がする。

……あれ?



「サフィ……この階って、愛良の部屋……なんだよね?」


「そうですが……同時に、この方の部屋でもあります」



言いにくそうに顔を顰めるサフィ。

……愛良の部屋だけど、この人の部屋でもある?

つまり……愛良とこの人、同じ部屋なの!?



「え、ちょっと愛良!!?どこにいるの!?」



思わず銀髪の少年を押しのけて中に入ろうとしたけど、その当人に頭を掴まれた。

ちょ、急に掴んで止めるなんて酷いよ!



「勝手に入るな。せめて鼻血をどうにかしてからにしろ。中が汚れる」


「うっ……」



……鼻血出てたんだ。

うっ、最悪だ。

ブレザーに血が付いちゃってる。

制服、白いから目立っちゃうよ……。

一着しかもらってないのに……どうしよう。



「洗って落ちるかな……」


「先生方に連絡して、すぐに新しいのを用意してもらいましょう?」


「はぁ……」



僕とサフィでおろおろしていたら、中からため息をつきながら出てきた愛良。

制服の上から水色のエプロンをつけていて可愛いけど、その顔はちょっと疲れた様子だ。

どうしたんだろ?



「あいらぁ……ぶべっ」



心配になって思わず駆け寄ろうとしたら、ティッシュの箱を顔面に投げつけられました。

愛良に。

うう……愛良が優しくない。



「龍雅。洗濯するから、さっさとブレザー脱いで。血が取れなくなっちゃうでしょうが。カイン、しぃちゃん。うどん伸びちゃうから先に食べちゃって。龍雅、君は鼻血が止まるまで絶対に入ってこないこと。王女は龍雅の鼻血が止まるのを確認してあげて」



愛良はかなり、すごく、めんどくさそうにそれだけ言うと、僕のブレザーを持って中に入って行っちゃった。

子犬とカインって呼ばれた人もさっさと中に入って行っちゃったし。

早く鼻血止まってくれないかなぁ……?


あ、僕のご飯もあるって聞くの忘れた。

後で愛良に僕の分も作ってもらおーっと!

屑勇者、ストーカー勇者への道を爆走中。

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