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27.寮に行きましょう

◇◇◇◇



「「……」」



……なんだろう。

勝手に知らないところで面倒事に巻き込まれたような気がする。

思わず足と止めたら、隣でほぼ同時にカインも足を止めて立ち止まった。



「嫌な予感がする」


「カインもー?けどカインの場合は常に面倒事に巻き込まれているからアテにならないよね」


「面倒事の大部分の元凶は自分だという自覚はあるか?」


「……」



私が真面目に答えたら、カインも至って真剣な顔をしてつっこんできた。

……私、そんなに面倒事起こしてる?

少しイラっときたじゃないですか。



「……ぐっ!?」



イラっときたところで、なぜかカインが呻きながらしゃがみ込んだ。

彼の足元には、見慣れた白いもふもふの塊。



「わう!」



……しぃちゃんがいい子過ぎる。

私がカインに制裁を加える前に、自発的に足に齧り付いたよ。

主の思考を読み取って行動できるなんて、忠犬の鏡です。



「……このクソ犬。どんどん飼い主に似てきやがって……」


「カーイーンー?」


「わーうーうー?」



ぼそりと呟いた言葉は、もちろん聞き取っていますからね?

抱っこしたしぃちゃんと一緒になって笑いかけると、顔を引きつらせながら視線を逸らしたカイン。



「……なんでもないです。すみませんでした」



よろしいよろしい。

それでは寮に行きますか。

荷解きしないといけないしね。

ちなみに、ラピスとグレイとは別行動中です。

寮には3種類分かれているらしく、一般学生が入居する一般寮、下級~中級貴族たちのための貴族寮、上級貴族と王族、特待生が入居する特別寮となっているみたい。

二人とも地位的には中級らしいから貴族寮なんだって。



「ラピスたちと同じ寮がよかったなー。龍雅や煩い王女様が一緒の建物にいるってこと自体が嫌なんですけど」


「俺は別に一般寮のままでよかったんだがな」



カインの一般寮の部屋にあった荷物はすでに特別寮の部屋に送られているみたい。

ホームルーム中に学園長のおじいちゃんからの念話で教えられたんだって。



「めんどくさい奴らと顔を合わせなければいいな」


「……カイン。下手に言葉に出しちゃうと、実現しちゃうから言わないで」


「は?」



あーあー。

カインのせいで、絶対にあの子たちと顔合わせなきゃいけない気がしてきたよ……。


嫌な予感を抱えながらもやってきた特別寮の前で一言。



「これのどこが寮ですか?」


「……俺も近くでみたのは初めてだな」



目の前には、すっごくでかい塔。

寮という名前が付くからさ、王族が住むことも含めて貴族の屋敷っぽいのを想像していたんですけども……。

どうやら予想が外れました。

縦にデカすぎ。

何階建てよ、これ。

軽く80階以上はありそうなんだけど。

まず間違いなく地震大国の日本ではそうそうに見られない高さの建物だね。

地震とかきたらすぐに崩壊しそう。

維持するために魔法は使っているんだろうけどさ。



「……無駄なところにお金使ってるよね、この学園」


「各寮は、学園設立時にそれぞれの保護者が造ったらしいからな。目立ちたかったんだろ」


「アホくさー。こんなに縦にでかい建物作らされて大工さんがかわいそー。財政無駄ー。もっとましな所で使いなよー」



この国の人たちって、実はおバカさん?

この国大丈夫なの?

維持費だけでもすごいお金使いそうだよ、この建物。

なんだか、この国で暮らしていくのに不安が出てきたよ。



「いいから行くぞ。明日からのテストの勉強をするんだろ」


「はーい」



そうだった。

今日は真面目に勉強しないと、明日のテストが悲惨な結果になっちゃう。

お母さんはいないからテストで悪い点を取っても気楽っちゃ気楽だけど、あんまり点数悪いと今後の学園生活に支障があるからね。

今日は荷解きはほどほどにして、勉強頑張ろ。

そう思いながら寮のドアを開けようと近づいた瞬間、自動的にゆっくり開く扉。

まさかの入り口は自動ドアですか。

化学は発展していない世界なのに、なぜここはハイテク?



「あ、魔導具か……びっくりした」


「これよりさらに驚くような魔導具をバンバン作っているお前に、俺はびっくりだけどな」



うん、確かに色々私の生活が便利になるように作りまくった時のカインとマスターの顔は傑作だったね。

だってね、ボックスがあるから冷蔵庫はいいにしても、洗濯機とかアイロンとかオーブンとかって、私にとって生活必需品だもん。

さすがに洗濯板でゴシゴシ洗うのは勘弁だよ。



「私の世界にあった便利なものを知っているから、それをお手本に魔法を組み込んでいったから、別にすごいともなんとも思わないんだよねー。懐が暖かくなるのはうれしいけどさ」



もちろん、作った家電もどきな魔道具たちは、オカマスターとかカインから許可もらって販売してます。

ガッポガッポ儲けさせてもらっているから、思わずニマニマしちゃいます。

料理の材料しか特に使い道がないお金だけど、貯金額が増えていくと嬉しいよね。



「金に関しては別に気にしなくてもいいけどな。俺も稼いでいるし。……まぁ、確かに便利ではあるからこれからも作って行ってくれたら助かる。費用は別に気にしなくていいからな」


「りょうかーい」



うし。

文明的に問題ありかなと思ったけど、許可でたしいいや。

ちゃんとこの世界の物を使ってやってるし問題ない。

よし。

テストが終わったら、また新しいの作ろうっと。

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