表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/208

逸話.担任、暗躍中

担任のソル先生視点です。

◇◇◇◇


授業が終わり、生徒は全員教室に返した。

俺は一人訓練場に残って、その場に残る濃厚な魔力の残骸を調べていた。

最後にシドウが見せたあの魔法。

他人の魔法を受け止めるだけでなく、それを混ぜ、最後には自分の魔力すらも組み込んだ。

恐らく最上級の威力さえ伴っていた魔法を、今日編入したばかりの子供が、いともたやすく使って見せた。

そしてルディス。

複雑すぎる不死結界の魔法陣など、一介の学生が知っているはずがない。

アレの発動は、魔法陣と膨大な魔力を必要とする。

学園でも使用することはあるが、それは教師が最低5人は集まってようやく張ることが可能な代物だ。

それを、俺が気が付いた時には、すでに地面に正確に描き、魔力も十二分に使って張っていた。

そちらに気を取られていたから、フォーイの奴を助けにいくのを忘れていたんだが。

……決して、言い訳ではないからな!

はぁ……あの二人が優秀なのは魔力相殺の結界を張れただけでも分かっていたが、俺の予想以上に優秀過ぎだ。

なんか、めんどくさくなりそうな気がしてしょーがねーよ……。

いや、優秀なのが俺のクラスに入ってきたのは嬉しいことだがよぉ……クラスの平均が上がれば俺の給料も上がるし。

だがなぁ……なんというか、優秀なんだが厄介ごとを引き寄せるのも優秀な台風の目って気がしてしょーがねーんだよ。

特にシドウが。

……とりあえず、職員室に帰るか。



「見つけましたよ!ソル先生!!」


「げっ……」



転移で職員室に戻るなり、喧しい同僚に捕まった。

最悪だ……。



「す、スージー……ちょっと落ち着けって」


「落ち着いていられますか!!いい加減決めてくれたんですか!!?」



こ、このクソアマ……いきなり首絞めてきやがって……。

てか、なんだよ、決めたって……。

なんかあったか……?



「あ……」



そういや、クラスから学級委員兼生徒会役員を出せって言われたような……。

あれって、期限いつまでだったか?



「あ?あって何です!?また忘れていたんですか!?入学式が終わってから3週間ですよ!?いったいSクラスの役員はいつになったら決まるんですか!!?いい加減にしてくれないと、学年主任の私が怒られるんですよっ!?」



いや、そんなの俺知らねーし。

つーか、俺のクラスの面子を見てから文句言えよな。



「注文多いんだよ。王女や6大貴族は煩わしいから任命するな、あいつらの我儘に屈しないやつを任命しろとかなぁ……」


「だって仕方ないでしょう!?あの子たちが初等部、中等部でどれだけ好き勝手にやってきたかは、あなただって知っているでしょう!?その度にどれだけの担任と役員の子達が泣く泣く辞めていったか!!」


「わ、分かって、いる!!はな、せや!!」



さっきから人のことガクガク揺らしやがって……!!

襟首掴んだら、首が閉まるだろうが!

俺がそういう意味を込めて睨むと、頭が冷えたのか誤魔化すように咳払いをするスージー。



「……コホン。とりあえず、早く決めてもらわないと困ります。学力テストが終わったら、役員の活動も始まるというのに、今までのように王侯貴族がいるクラスだけ例外とするのにも限度があるんですから。今日編入してきた子はどうですか?王侯貴族にベタ惚れされているって聞きましたが…」


「キリガヤのことか……」



確かに、あいつの前だとあの王女たちも大人しく……大人しく……。

ふと思い出したのが、自分の幼馴染にボコボコにされた奴の姿。

さらには黙っていろと言った王女の言葉に言い返せなかった情けない背中。



「いや、あいつはダメだ。アレはヘタレだ。まず奴らを抑えるのは無理だ」


「そう……困ったわね……。立場を気にせずに動ける子なんて、滅多にいないわよね……」


「だよなぁ……あ」



立場を気にせずに動ける奴……いたな。

喧嘩売られても平然と言い返していた奴が。



「残りの2人の編入生がいけそうだな。一人は相手が王族でも気にせずにポンポン言って遊んでいたし、もう一人はそいつのストッパー的な感じだ。……止めきれていない時もあるが」



というか、自分に被害が及ばない時は放置している状態だよな、アレは。



「そんな子が入ってきたの!?ストッパーは学年主任のカイン君よね!?いいじゃないいいじゃない!!もうその二人でいいじゃない!」



ヤバい。

ようやく見つけた珍種にスージーのテンションが上がってやがる。

まぁこいつも、あの王女らに好き勝手やられて何回もキレていたからなぁ……。



「いい!?その二人にちゃんと役員をやってもらえるように言っておいてよ!!?」


「おー……あの性格からして絶対拒否するだろうなぁ……」



下手したら、周りに被害が及ぶんじゃないか?

特にシドウの周りが。

まぁその場合は、被害に会うのはルディスだから問題ないかもしれないが。



「それでも受けてもらわないと!絶対に説得してよ!?」


「あー……おう」



めんどくせー。

どうやって説明すっかなー……。

……ギリギリまで黙っているか。

よし、役員会議の当日に伝えればいいな。

最悪あいつらが断っても、同じように今日あいつらをシメていたラピスにやらせよう。

だけど、あいつなら自分がやりたくないから恐怖の女王を降臨させてでもあの二人に押し付けそうだな……。

まあ、それならばそれで問題ないな。

よし、とりあえずは当日だな。

俺に説得なんてさせようと考えるスージーが悪いってことで。

恨むならスージーを恨めよ。

過去に上げていた話を再編集している中で思うこと。


最初の頃の愛良の性格、やっぱり悪いなー(笑)


一番にこれ思います。

早く性格がマシになっていく愛良を挙げたいですねぇ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ