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25.証拠はさっさと消しましょう

◇◇◇◇

ラピスってすごいねー。

上級魔法を詠唱破棄できるのは6大貴族だけかと思ったのに、あっさりやってのけちゃいましたよ。

そして相変わらず黒い笑みを浮かべたまま、疲れた様子を微塵も感じさせません。

ラピス様って呼んでも、何も問題がないと思うの。



「ラピスすごーい」


「ラピスのやつ、昔からキレると逆に冷静になって魔法のレベルが上がるんだ」


「あれ、グレイ。いたの?」



思わず感心して拍手をしたら、後ろからひょっこりグレイが顔を出して教えてくれたんだけど・……君、今まで何やってたの?

何にも反応がなかったから、存在忘れちゃうところだったよ?



「……いたよ?いましたよ?ちょっと離れたところでカインのキノコを採ってたんだよ!」


「まだやってたの?」



あ、カインが発生させたキノコが全部綺麗になくなっちゃってる。

あれだけのキノコ全部採ったのは逆にすごいけどね、やっぱりちょっと馬鹿かもって思う。

私のそんな内心を読み取ったのか、一瞬で涙目になるグレイ。



「だって!キノコが採っても採っても生えて来るから、夢中になってカインが復活してたのに気が付かなかったんだよ!!」


「ふむふむ、なるほど。カインのせいだって」


「……悪かったな、グレイ」



あらまー素直に謝ったし。

君、絶対に今の話聞いてなかったでしょ。

もう全身が『疲れた、帰りたい』って訴えているんだから、聞いてるわけないよね。

聞いてなかったのに適当に謝っとけって思ったの丸分かり。



「え、いや別にいいから気にするなよな!」



ああ、グレイって何て単純馬鹿なんだ……。

カインのテンションが激落ちなのは、別にグレイを気にしてのことじゃないからね?

こんなのに騙されてたら、君の将来が大変だよ。



「ふぅ……すっきりしました」



さっきまでの黒い笑みを引っ込めて傍に近づいてきたのはラピス様。

いやいや、ブラックスマイルではないので普通にラピスでいいか。



「お帰り、ラピス」


「ええ、ただ今戻りました。人のことを鬼畜と抜かしたアイラとカイン」


「「……」」



ブラックスマイル、再び。

……あっれー?



「バレてた?」


「もちろん。友達の声を聞き間違えることはありませんよ」


「……じゃあ、分かっててあの子たちを殺ったのー?」


「ええ。今なら二人のせいに出来るかと思って。日ごろのうっぷんを全てはらさせてもらいました」



あっさりと爽やかな笑顔で答えてくれたラピス。

本当に、清々しいまでの爽やかな笑顔が素晴らしいです。

これってつまりアレですね。

あのハーレムの逆恨みは、すべて私たちに来るということですね。

あんだけビビったラピスにやり返そうとは思わないだろうし。



「……ま、いっか」



しぃちゃんがいれば別に怖くないもん!

一人でも全然余裕だと思うけどね!

そんなことより問題があります。



「これ、どうするー?」



ラピスの上級魔法でヘタレ+αたちが伸びたままです。

結界の外でやったからビチョビチョのグチャグチャだし。



「あら、大変ですね。グレイに任せましょうか」


「げっ……俺?」



しでかした張本人は、あっさり憐れな生贄グレイにバトンタッチ。

グレイは思いっきり顔を引きつらせた。



「他に誰がいるんです?さっさとしやがれですよ?」


「ぐぇ……や、やらしていただきます」



ドS女王様……恐るべし。

一瞬で間合いを詰めて、グレイの喉を人差し指で突いていたよ。

何、この子。

本気で超強いんですけど。

美人で胸でっかくて強いとか、私が男だったら完璧惚れるよ?



「ラピス、グレイでこの状況どうやるのー?」


「グレイは火属性が得意なので、この周辺の水分を蒸発させてしまえばいいのですよ。燃やして」



最後をニッコリ笑顔と一緒に付け加えるラピス様。

なるほど、あのヘタレ+αもまとめて燃やす気満々ですね。



「なら、あそこ目がけてやったらいいと思う」


「ああ、いいですね」



もちろん私が指さしたのは龍雅たちがぶっ倒れているところです。

誰だって、我が身が可愛い。

女王様に獲物を差し出すことは当然です。



「……あそこには王女もいるぞ」


「え、王女?誰それ、知らない」



仕方がないから、一応は忠告しておいてやる。

そんな様子でため息交じりに口を開くカイン。

だけども、あんなぎゃーぎゃー喧しいだけの人をお姫様とは認めたくない。

というよりも、お姫様はお淑やかで優しいって夢をまだ持っておきたいの。

つまり何が言いたいのかと言うと、私のお姫様の夢からほど遠い次元にいらっしゃる王女様(笑)の存在は忘れたいってことです。


な・の・に。



「えー!?アイラ、さっき教えたばっかなのに、もう忘れたのかー?馬鹿だなー……ぐべっぎゃふいぎゃあッ!!!」



空気を読まない馬鹿(グレイ)に、指さされて笑われました。

馬鹿に馬鹿にされると腹立つ。

でもグレイを凹ったのは私じゃなくてラピスだからね?

私が主に理不尽に殴るのはほとんどイケメンです。



「グレイのくせして人様を馬鹿にするとはなんですか。モギますよ?」


「いぎゃああ!」



あ、ラピスもグレイに対して理不尽でした。

なんとなく分かっていたことだけどね。



「俺の周りにまともな女はいないのか……」



カインが何かを諦めたように遠い目をしながらため息をついた。

失礼な。

私もラピスもとーっても優しい女の子ですよ(笑)。





「おいこらてめーら!!」



あ、グレイがさっさと燃やさないから先生にバレた。

めんどくさいなー。



「ソルせんせー。これにはふか~いワケが……」


「やるならさっさとしろよな!?始末書を書かにゃならんだろうが!いいか!?面倒事が起きたら証拠はさっさと消せ!!」



まさかの先生から許可が下りるという事実。

始末書がそんなに嫌だったんですね、先生。



「え、マジで?」


「……こんなんでいいのか、Sクラスは」


「問題ないですね」


「私もそっちのが楽しいから問題なし。むしろ先生、一気に好きになりました」



グレイとカインが唖然としているけど、ラピスと二人して一笑。



「グレイ、先生から許可降りたから、さっさと蒸発させちゃって?」


「おら、グレイ。さっさとしろや。単位なくすぞ」


「さっさとしないとグレイの氷漬けができますよ?」


「……グレイ、人間諦めが肝心だ」



別に誰がどうこう言ったとか言わなくても分かるよね☆



「わ、分かりました……フレイム」



私たちの笑顔に若干ビビりながら魔法名を唱えるグレイ。

グレイのくせして中級魔法を詠唱破棄した。

どうせなら、詠唱ありで上級魔法を使ってほしかったな。





『あつあつあつあつあつあっつい!!!!』





ヘタレ+αには十分効いたけどね。

炎の中から悲鳴が聞こえるけどしーらない。

燃やしたの私じゃないしー。

とりあえずはー。

人を巻き込んだヘタレ(+α)、いい気味ー。

ざまぁ!

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