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22.鬱帝が壊れました

ただ今、試合を観察しながら学生レベルを勉強中。

カインとオカマスターという規格外の人たちに魔法を教えてもらったから、どの程度が学生レベルなのかが全然分からないんだよね。

だけど、訓練場の端の方で試合を観戦していたらだいたい分かったかな。

高等部1年生だと、初級の詠唱破棄、詠唱ありで上級が一つでもできればいい方ってとこみたいだね。

ちなみに、最初は1番から4番目の組だから、カインももちろん入っている。

あ、グレイは2番だったから、同じように今試合中。

ラピスはなんだかんだいってもグレイが気になるみたいで、2番の試合が行われているところに観戦しに行っている。

私はもちろん、他の試合を見て勉強し終わった後はカインの試合観戦です。

カインならまず間違いなく負けるはずがないと思っていたけど、それがそうでもないみたいで面白いし。

何しろ、試合開始と同時にカインの相手の一言が、


「俺と……や・ら・な・い・か?」


だからね。

ちなみに、この台詞と同時に何故か着ていた青いツナギのホックをはずしていた。

間違いなく最初に変なこと言っていた人に違いないと思うの。

というか、なぜ制服を着ていない?

みんな白い制服を着ている中で、一人だけ青色って浮いてるよ?


……余談だけど、カインはこの男の言動と行動を見た瞬間に先生に向かって「俺の負けでいいです」と真顔で試合放棄を訴えていたけど、受け入れられなかった。

面白かったから私が空間をいじって音を遮ったんだけどね。

なので、試合は放棄できずに続行中です。



「くっ……なんだお前は!!」



額に汗を浮かべながら、じりじりと後退するカイン。

その表情は、得体のしれない者に対する恐怖で引きつっている。



「俺はアベータ・カーズ。覚えておけ。お前を掘る男だ」



そして相手選手は、男前と称したいいい笑顔を浮かべた。

……カイン、完全に狙われているよね。

絶対あの人、クラスの他の男子を餌食にしていると思うよ。

何人か登校拒否している人いるみたいだし。



「俺に近寄るなぁああああああああああ!!!!!」



ああ、いい笑顔のまま近づいて来ようとしたカーズさんに対して、カインがついにキレた。

闇魔法の上級を無詠唱でぶっ放したよ。

最上級じゃないだけ理性を保っているって思っていいのかな?

ヤバい、カインが涙目になりながら魔法ぶっ放してるのとかレア。

写真写真。

せっかくだから写真に残しておかなきゃ!

急いでカメラを用意していると、試合中のカインから怒声が響いた。



「愛良ぁああ!!何してやがってんだてめぇえ!!?」



いやいや、カインさん。

色々刺激が強すぎて性格が崩壊していますよー。

そしてカメラを取り出していることには気にしなくていいから。



「いやいや何でもないよ?それよりカイン。前見とかないと……掘られるよ?」



誰がとか、どこをとかは言わないけど、徐々に距離を詰めているカーズさんがいるから気を付けて。

そしてできれば涙目のままこっち向いて。

君の写真って、結構いい値段で売れそうだから。



「いい加減くたばりやがれぇえ!!」


「あっはっは!!カイン、掘られないように頑張れー!!」


「掘られるとか言うなぁああ!!」



お、涙目のカメラ目線の写真撮れた。

いやーもう満足です。

そしてイケメンが恐怖のあまり人格崩壊するって笑えるかもしれない。

カイン、ファイト。



「……なぁシドウ」


「先生、なんか用?」



私が爆笑してたら、顔を引きつらせながらこっちに近寄ってくる先生。

ん?

カインと阿部さんの試合を見ている他の生徒も唖然としているね。



「さっきからルディスの奴、上級魔法を無詠唱していないか?」


「しているね~」


「……詠唱破棄でもなく、無詠唱だぞ?」



魔法を使うのに詠唱を破棄とか無詠唱とかするには、相当な魔力コントロールが必要になる。

だけど消費する魔力は多くなるのに威力は詠唱ありの時よりも減るという、スピードだけがメリット、というのが無詠唱のこと。

そりゃ、上級魔法を無詠唱でできるほどの魔力コントロールを、たかが学生が身に着けていると思うはずがないわけですな。



「あれだよ。人間死ぬ気になったらなんでもできるんだよ。ほら、中途半端な無詠唱だから、あの人も生きているし」



本当は色々と崩壊しているから威力が半減どころか10分の1も出ていないんですけどね。

普段のカインなら、一発で仕留めているもん。



「で?そろそろ止める?」


「そーだな。カーズはともかく、ルディスの実力は十分分かったし」


「じゃ、止めてくるね~」



あー笑った笑った。

笑い過ぎてお腹の筋肉がヤバい。

とりあえず、試合って言っていいのか分からないけど止めよう。

結界の中に入ると、二人の間に入って……。



「はい、試合終了。次始まるからさっさと出てねー」


「試合終了?それは俺がその男の尻○を掘ってからだ」


「「……」」



……うん、この人マジだ。

カインが震えながら抱きついてきたよ。

マジでどれだけビビったんだろ?

私女の子だから分からんないや(笑)

ま、笑いのネタ提供してくれたカーズさんには悪いけど、そろそろ退場願おうか。



「カイン、ビビってる元凶を視界に入らないようにしてあげるからちょっと離してねー?」


「……ん」



素直に離れたカイン。

よし、ではやりますか。



「はーい!変態さんは御退場、デッス!!!!」


「ぐはぁっ!!!!?」



力セーブの腕輪をしたまま、最大限の力で回し蹴りを食らわせました。

彼が病院送りになったのは言うまでもないですよね。

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