21.ギャクキャラとはそういうものです。
みんなに嘘くさい目で見られている間に、ちょうどチャイムが鳴り響いた。
キーンコーンガーン!!キーンコーンガーン!!!
妙なチャイムでしたがね!
なんなの、なに今のチャイム!!?
最初が私の世界と同じだった分、途中のガーンって音にこっちがガーンってショック受けたよ!
「何変な顔しているんだ?さっきといい、頭でも打ったのか?」
「……」
カインは時々、素で失礼な所を突っ込んでくるんですけど。
さすがうっかり鬱帝。
イラっときたじゃないですか。
「しぃちゃん」
「わぁう?」
私の呼びかけに『なぁに?』という感じで首を傾げて私を見上げるしぃちゃん。
そのしぃちゃんの頭を撫でながら、にっこりお願い。
「しぃちゃん……やっておしまい」
「がうっ!!」
「ぐっ!」
しぃちゃんに思いっきり脛を噛まれたカイン。
うっかりには十分ご注意くださいね?
さて、龍雅たちも含めた全員がこの場に集まっていることだし、そろそろちゃんとしないとね。
あの王女様(笑)を含めたカラフル頭たちがこっちを睨んでるけど、そこは対して気にしないし。
むしろどーでもいいです。
「シドウ、ルディス。クジはできたかー?」
点呼をしていたソル先生は、さっそく聞いてきた。
「はーい」
「できています」
「よーし。じゃあ、お前ら。今からクジを引け。同じ番号を引いた相手と順番に戦ってもらう。一応言っておくが、シドウ。使い魔はなしだからな」
「はーい」
みんなの使い魔召喚はまだだから、仕方ないね。
今回はしぃちゃんは待っていてもらおう。
とりあえずはクジを引くのだけど……。
「……なんで私たちがここにいるの?」
「……俺に言うな」
なぜか私とカインはクジ入った箱を持って、他の生徒たちに引いてもらっている状態です。
さっきからあの先生、私たちに手伝いさせ過ぎじゃないですか?
まぁいいんだけどさ。
しょうがないから全員が引き終えてから残った紙を手に取れば、書いてある数字は13番。
何、この不吉な番号。
思わず紙を見て固まっていたら、カインが隣から覗き込んできた。
「13番か。……不吉だな」
この世界でも13番は不吉なんですね、いらない知識をありがとうございました。
残り物には福があるとか言い出したやつは、どいつですか?
「カインは何番なの?」
「4番」
4番。
つまり死番。
「どっちにしろカインも不吉じゃん」
「学生レベルで不吉になることなんて特にないだろ。お前はすでに俺と同等の実力なんだ。まず負けるはずがない」
何のことはない、という様子で全く気にする様子がないカイン。
……こういうことを言うと余計にめんどくさくなるんだけど、被害者は言った当の本人だろうし別に気にしなくていいか。
「ラピスー!ラピスは何番だったのー?」
すっごくめんどくさそうな予感を感じながらも、それを振り払うためにラピスの所へ。
私に気づいたラピスは、にっこりと綺麗な笑顔を浮かべた。
「私は9番でしたよ」
「そっかー。私は13番でカインは4番だよ」
「みんな外れてよかったですね」
ふふふ、と笑うラピス。
「あれ、アイラ?ラピス?俺は?グレイ君もここにいますよー?」
なんかラピスの横から聞こえてくる気がするけど聞こえなーい。
「カイン……俺の存在って、薄いのか?」
「アイラ、ラピス。そろそろ試合が始まるから、離れるぞ」
「はーい」
カインも華麗にスルー。
カインのスルースキルが着々とレベルアップしている気がします。
「まさかのスルー!!?ひどいz…ごふっ!!」
へ?今の悲鳴?
ラピスの足元でグレイが踏まれているって言ったら原因分かるかな?
「あら?何か今踏みましたか?」
「えー?気のせいじゃない?」
ばっちしG君を踏んでいますけどね。
「現在進行形で俺を踏んでます……」
「あ、足裏が汚れていますね。綺麗にしないと」ぐりぐりぐりぐり…
「いたいたいたいたいたい!!ヘルプ!!ヘ――ルプ!!!」
頑張れグレイ。
それがギャグキャラに生まれた君の運命だよ。




