表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
197/208

190.ヤンヒロは子どもにすら嫌われています

視点は時神のクロちゃんです

◇◇◇◇


……あれー?

なんか、嫌な予感がするなー。

んんー……気のせいかなー?

とりあえず、今こっち忙しいからあとにしよー。

だってねだってね?

神殿最奥の近くの広間に、ゴーレムがあったんだもん。

しかもね、お嬢ちゃんそっくりのゴーレム!

ゴーレムだけども完成度のクオリティを高めまくったからなのか、髪の毛さらさらの肌の質感も再現完璧!

たぶん侵入者避けのゴーレムなんだろうけど、動き出す前にゴーレムの時間を止めたから問題なし!


「きゃー!マーマの、おにんぎょーさーん!おっもちかえりー!」

「わうー!」


お嬢ちゃんのゴーレムを見るなり、大喜びでゴーレムに飛びつくリーンとしぃちゃん。

動きを止めているから、一生懸命よじ登ってるし。

超可愛い。


「んにゅ?こっちにもあるのじゃー!この間来たときは別の道じゃったから、気づかなかったのじゃ!」


んー?

真魔が指さした方向にも、ゴーレム発見。

とりあえず時間を止めて、近くで観察……したら、思わず抱きついちゃった。

だってねだってね!?

次男のゴーレムなんだもん!


「……次男のゴーレムー!持って帰るー!お母さんのお土産にするー!!」


次男そっくりの長男三男のゴーレムもあったけど、俺が一番に目に入ったのはやっぱり次男!

うわーい!

次男そっくりのゴーレム嬉しいー!

なんでこんなところにあるのー?

なんでもいいや!

最近、『お父さんが帰ってくる日が減りましたねぇ……』ってお母さん寂しそうにしていたから、お土産にしたら喜んでくれるよねー!


「……クロのお兄ちゃん、性格変わったのじゃ。しかもその三体、顔も髪型も同じで見分けがつかんのじゃ……」


ちょっと引いた様子の真魔がぼやいている。

なんで分からないの?

長男は眉間に皺がある無表情なやつだし、三男は悪戯っ子みたいに片頬だけニヤッってあげてるやつでしょ?

そんでもって、次男は優しい笑顔を浮かべているやつだもーん!

まぁ、次男が優しいのは俺たちとお嬢ちゃん限定だけどね!

このゴーレムを作ったのは、きっと三つ子の特徴を分かってる人だね!

でもお嬢ちゃんのゴーレムは絶壁のままだから、作ったのって結構前?

あれ、そういえばこのゴーレムって誰が作ったの?

んーと……世界神様じゃないよねー?

世界神様なら、侵入者対策に溺愛している子ども達ののゴーレム作るはずないしー。

だって万が一でも壊される可能性があるかもしれないことは、するはずないもん。

まぁ、三つ子とお嬢ちゃんたちのゴーレムなら、確実に壊されることはないだろうけどね。

このゴーレムたち、本人たちの力も何分の一かは分からないけど一応持ってるし、性格もたぶんそのまま再現されてると思う。

うーん……誰だろうなぁ?

まぁ、侵入者避けにはぴったりなんだけどね!

三つ子やお嬢ちゃんたちのことをよく知っていて、性格その他もろもろを遠慮なく利用しようと考える人……。

あ、そういや一人いたし。


「……む?クロのお兄ちゃん、誰か来たのじゃ?」


ゴーレムからちょっと離れた所で大人しく待っていた真魔が、尖っている耳をピクピクと動かしながら俺達が開けた壁とは別の、正規の道に顔を向けた。

……俺、次男のゴーレムが嬉しくって注意を怠ってたや。


「リーン、しぃちゃん。俺の傍においでー」

「あーい!」

「わーう!」


やっぱり動かないお嬢ちゃんのゴーレムは物足りなかったみたい。

リーンとしぃちゃん、呼んだらあっさり帰ってきたよ。

やっぱりママはニコニコ笑って元気な方がいいよねぇ?

……俺も、やっぱり本物の次男の方がいいから置いておこー。


「……ぐるぅ」


あ、ゴーレムを元の位置に戻している間にお客さんが来たー。

もとい、本当の意味での侵入者。

まぁ誰かは分かってるんだけどねー。


「……何でこんなところに子どもがいるんですの」


はい、やってきました。

超不機嫌な元王女ー。

うっわー、長男がメイドとか全部王城に引き下げさせたって言っていたけど、本当なんだねー。

髪の毛ぼさぼさで、唯一自分で着れるであろう制服は汚れてるー。

もしかして、一人で顔も洗えないのかなー?

お肌ボロボロだー。

お手入れの仕方、お嬢ちゃんに教えてもらった方がいいよー?


「あー!やっぱりリディだ!僕も一緒に遊びたいー!」

「にぃに殿なのじゃ!一緒遊ぶのじゃ!」


王女の隣にいたのは、真魔の兄みたいだね。

顔とかよく似てる。

そ、し、て!


「うわあ!愛良ぁ!……あ、なんだ人形かぁ。でも持って帰ろー」


いつでもどこからでもこんにちは。

今日も気持ち悪さ満点のストーカー勇者!

く・た・ば・れー!


「リョウガさん!そんな人形、捨て置いてください!」


ストーカー勇者の行動に、目くじらを立てて怒る王女。

だけども、ストーカー勇者はめげない。


「捨て置く?そんなの無理だよ!?愛良そっくりの人形を、こんな暗いところに置いておくなんて、僕にはできない!」


信じられない。

そう言いたげな目。

うん、当然のごとくな様子で言い切っちゃう所がやっぱりキモいー……。


「でしたら、後で回収したらよろしいではありませんか!今日は私のお手伝いをしてくださる約束です!」

「う……まぁ、そうなんだけど……」


あ、王女はともかくストーカー勇者がいるのって、王女に頼まれたからなんだー。

無駄な足掻きをせずにいればいいのに。

そうしたら三つ子も見逃してくれていたのに、自分の愚かさに気づけずに自らの首を絞めにいく姿って、憐れだよねー……。


「ほら、リョウガさん!行きますわよ!」

「で、でも!愛良の人形は後で回収するから諦めるにしても、あの子たちを放っておくわけにはいかない!」


俺たちの方を指さしながら反論するストーカー勇者。

あ、ちょっとは真面な思考が残ってたんだ。


「だって!あの子はリーン君だよ!?愛良が引き取った!ここで放っておいたら、愛良に嫌われちゃうよ!?」


そっちか。

ストーカー勇者の心配事はそっちなのか。

やっぱりこいつに真面な思考は残っていないや。

ついでに言っておくけど、すでに取り返しがつかないくらい嫌われてるから、そんな心配しなくていいのに。


「……リーン、あのおにーたんたち、きらいー」

「わううー」

「儂も気に食わんのじゃー」

「僕もあのおねーさんの我儘には、我慢の限界だったんだー」


……あれ?

何かチビーズの目が据わってない?

俺の気のせい?

まぁ、お嬢ちゃんのゴーレムにべたべた触るストーカー勇者は、確かにうざいんだけど。


「クロたん!」

「へ?」

「おにんぎょーさんたち、ゴー!」


俺が時間を止めているから動かない三つ子やお嬢ちゃんのゴーレムたちを指さすリーン。

あ、チビーズはストーカー勇者達を今すぐ処刑したいんだね!

オッケー!

タイムストップ解除ー!

三つ子とお嬢ちゃんたちの性格そのままのゴーレムたち、殺っちゃえー!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ