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189.お怒りのママは、大魔王の上をいきます

視点はルシファーです

◇◇◇◇


あーあ……。

ちびっ子たちの暴走に時神まで参加しちまって、冥界神が慌てて追っかけて行きやがったし。

冥界神、そこは追っかける前に親に連絡しろよなぁ。

そうしたら、一発でちびっ子たちも動きを止めるだろうに。

まぁ俺が連絡しておけばいい話なんだけどな。

えーと……嬢ちゃんとカインは、今真上にいる。

つーことはすぐに追いつくから、連絡はしなくても問題ない。

となると、俺は次男に連絡するか。

俺が気まぐれで拾って育てた孤児だった娘を攫って行った次男に。

俺がロリコンに目覚める原因となった可愛い可愛い娘を、あっさり嫁にもらいやがった次男に!

……はぁ。

娘が選んだんだから、しょうがないんだけどなぁ。

夫婦仲は俺が文句付けられないくらいで、娘も幸せそうだし。

それに次男と契約して寿命を『共有』したから、人間として短い一生で生を終えることもなくなっていつでも会えるし。

まぁいいか。

よし!とりあえずはさっさと次男と、ついでに長男三男にも連絡してちびっ子たちに追いつくとするか。


『三つ子ー。時神含めたちびっ子たちが、邪神の神殿で暴走中ー。回収部隊をよろしくー』


元使い魔としての特殊念話術で、三つ子にまとめて連絡。

これですぐに飛んでくるよな!

……と思っていました。


『我は今、闇帝として試合中だ』

『俺は昨日、中にぃに潰された司会者の代わりに司会中だから無理』

『僕は解説係だから、ちょっと離れられないね』

『『『ルシファー、死ぬ気で頑張れ』』』


……なんですと?

あの三つ子共、あっさり全部こっちに丸投げしてきたよな?

俺と冥界神だけで、あの暴走ちびっ子たちを止めろと?

……いやいや、無理。

絶対無理!

お前らなら、そっちを自分そっくりのゴーレムに任せてくることくらい、余裕だろ!?


『『『大会が終わったら行くから、ファイト』』』


うおーい!?

結局、ちびっ子たちの暴走止めるのは俺たちなのかよ!?

ちびっ子たちは可愛くてしょうがねぇが、暴走中はタチ悪いんだぞ!?

あんな無邪気に遊んでるように見えているのに、やってることは破壊行動でしかないんだぞ!?

ああくそ!

三つ子たちに丸投げされるのには慣れてるから、やってやるよ!

ちびっ子たちを止めるにはひとまず冥界神のところまで追いつかねぇといけねぇよな。

そう思って走り出そうとした時、ちびっ子たちや冥界神とは別の気配を感じとった。

そういえば、俺たちがこの神殿内に入った時点で人の気配はしていたな……よくよく気にしてみれば、人間と魔族の気配。

……つまり。


「絶対にユンジュ君だー!」


リディたんとよく似た、くるくる天パの黒髪少年に違いない!

やっほい!

暴走中のちびっ子たちも可愛いけど、あのちびっ子たちの暴走っぷりを聞いて、一人で羨ましそうにしているに違いないユンジュ君。

やっべ、想像したら萌える。

これはせめて写真だけでも撮りに行かなければ!

俺がそう思って行動に移そうと思った瞬間。


「うげはっ!?」


後ろから衝撃が走って吹っ飛んだ。

な、何事だ?

咳込みながら後ろを振り向こうとしたが、それよりも早く肩に置かれた手。


「ルシファー……なにしてやがる?」


はい、大魔王様の降臨でーす。

大魔王様が滑り台から落ちてきた勢いそのままに、俺の背中を蹴りつけたらしい。

はっはっは……誰か、ヘールプ!

肩に置かれている手の力が半端ない。

ぎりぎり骨が鳴って痛いっす。

だけどもそれ以上に顔に笑みを張り付けながら、冷ややかな目つきが恐ろしい大魔王様の方が恐怖!


「さて、ルシファー。遺言はあるか?ないのか?じゃあ元魔王退治でもしようか」


穏やかな声なのに、言葉が辛辣。

俺、心が折れそう。


「いやいや、カインさんや。ちょいと落ち着いてくれ。これやるから」


ぶち切れ状態の大魔王様に、こういうこともあろうかと事前に用意していた賄賂を差し出す。

嬢ちゃんとリーン、ワンコが仲良くくっついてお昼寝中の写真だ!

ちょっと前にピクニックした時に撮った、とっておきの写真!


「……」


その『俺、こんな光景見たことないんだけど』って不服そうな表情。

だって、お前が依頼で仕事している時にピクニックしたんだしー。

羨ましいんだろ?

欲しいんだろ?

欲しかったらさっきの許してくれ!


「ちっ……次はないぞ」


舌打ちしながら、肩に置いていた手を離してくれたカイン。

よっしゃ、俺の勝利!


「……お話し終わった?それじゃあルシファー。うちの子たちがどこに行ったのか、正直に話してね?」

「ひっ!?」


にっこりと笑顔を浮かべている、大魔王様より怖い人が後ろにいた!?

ちびっ子たち、全力で逃げたほうがいいぞ!


「ふふふ……どうしてそんなに震えているのかな?」


いや、嬢ちゃん。

今現在のお顔を鏡で見てください。

目がマジですよ。

口元笑ってるのに、目元がとっても冷やか過ぎですから。

後から着いてきていたシンの奴は元より、さっきまで大魔王様だったカインも顔を引きつらせてますから。

嬢ちゃん、実は大魔王を上回る大魔神だったんですか。

こっええ……。

恐怖を俺に与えながら、にっこりと笑う大魔神様。


「それで?うちの子たちはいったいどこなのかな?」

「はい!リーン、ワンコ、リディたん、時神!4人仲良く壁を破壊しながら暴走中です!破壊の痕跡を伝っていけば辿り着くと思います!」


はい、怖いから敬礼しながら正直に話しました。

だって、大魔神様の前で嘘なんかついたら、きっと潰されるの確実。

チビーズごめん!

俺、自分の身が可愛いんだ!


「破壊の痕跡?それはいったいどこにあるの?」

「へ?どこって、そりゃもう見て分かるだろ?」

「「は?」」


いや、なんでカインとシンも不思議そうに首傾げてんだよ。

壁を破壊した所なんて、すぐそこに……。


「ないーっ!?」


チビーズが破壊した壁が綺麗さっぱり元に戻っているぅうう!?

なんでだ!?

巻き戻ししたみたいに、元に戻ってんぞっ!?

愕然とした俺の頭の中で、響く時神の声。


『あとで直せば問題ないよ』


直せば問題ないよ、問題ないよ……(エコー)


「……あああっ!?」


時神か!

時神のガキが時間を戻しやがったのか!?

何痕跡綺麗さっぱり消してやがんだよ、あのガキぃいい!?

いや、でも微かに遠くから破壊音と冥界神の怒声が聞こえているから、頑張ってダンジョンを進めば追いつける……と思う。


「……しょうがないなぁ」


ため息交じりに声が聞こえる方向の壁に向かって立った嬢ちゃん。

そして……。


「邪神さん、後で直すからごめんね?」


そう誰にともなく謝りながら、拳を壁に打ち付けた。


「「「ひっ……」」」


チビーズたちの時とは比べ物にならない轟音。

……ママは、俺が考えている以上にお怒りのようです。

嬢ちゃん、チビーズのこととやかく言えないからな!?

だけどもチビーズ!

ママから全力で逃げてっ!?

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