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187.邪神さん、また頑張ってました

視点は愛良です

◇◇◇◇


ただいまリーンたちのお迎え中ー。

ちなみに、冥界神とルシファーはいないよ。

幼女幼女うるさいから、邪神の封印神殿に入れて扉が開かないように扉の時間を止めたもん。

まぁ、ルシファーを中に押し込んだ冥界神は巻き添えなんだけどね。

それにしても、リーンが怒って離れちゃったからしばらく一緒にいてあげてって連絡があったけど、別にリーン怒ってないよー?

むしろ、大泣きした感じでお目め真っ赤だ。

その隣にいる幼女な真魔も泣きそうな感じだし。

しぃちゃんは尻尾をだらんと下げてる。

……何があったの?

ここにいるのって、お嬢ちゃんとカインの友達の女の子と男の子だけだよね?


「あら、アイラの知り合いですか?」

「うんー。お願いされてリーン達を迎えに来たんだー。君は、カインたちの友達だよねー?」

「ええ。お迎えが来たなら安心です。よかったですね」

「あ、あい……」

「うむ、なのじゃ……」

「わうー……」


んー?

なんかこの女の子にみんなビクビクしてる?

でもこの女の子、男の子の頭を鷲掴みにして壁に埋め込んでいるだけだよね?

普通に優しそうな笑顔してるし。

きっとお嬢ちゃんに怒られるかと思ってビクビクしているんだね!

大丈夫!

俺もちゃんと一緒に謝ってあげるから!


「それじゃあ、俺リーン達を連れて帰るねー。見ててくれてありがとー」

「はい。次は、ママと離れないようにするんですよー」

「「「……」」」


あれー?

コクコクと音が鳴るくらい頷いてるんだけど、本当に何なんだろうねー?

とりあえずしぃちゃんは頭の上に乗っけて、リーンと真魔は片手ずつ手を繋いでー。

よし、これで大丈夫だね。


「じゃあねー」

「はい、さようなら」


女の子と埋もれている男の子に手を振って、お嬢ちゃん達の所に帰ろー。

……と思ったんだけどね?


「うにゅ?」


その場から動かずに、リーンが首を傾げて足元を見下ろしていた。

その視線の先には、『押したらダ・メ・よ』って書かれた謎なボタン。

もちろん周囲には強力な結界が張ってあって、一般人では気づかないし触れもしないようになっているけども。

なんか……似たようなのが前にもあった気がするなー。

リーンの、初めての幼等部に行った時に。

カインの命令で、冥界神とルシファーが徹底的に潰したはずだけど。

……懲りずに別ルート作ったんだね、邪神。

俺、同じ過ちを犯す気はないしー。

リーンがボタンを押しちゃう前に、問答無用で抱っこ。

んでもって、リーンが押しちゃう前に潰しておこ。

そう思って真魔と繋いでいる方の手を離して魔力を込めた瞬間。


『ごめんなさい!マジで押してください!もうぼっちは嫌だぁああ!』

「……」


書かれていた文字が変わった。

本当に必死って感じな文章に。

まぁ必死になったところで、潰すことには変わりないんだけどね。

だって、リーンがまた落ちたら危ないもん。

この間は滑り台だったから、リーンとしぃちゃんは大喜びだったけど。


『せっかく邪力で神殿に干渉して頑張って作った出入り口潰さないで!本当に潰さないで!今回もちゃんと滑り台にしたからぁあ!!だから押してぇええ!!』

「……」


うーん……もしかして、邪力がまた漏れてるのかなぁ?

その邪力を通して、俺の行動を見ていたっぽい?

ついでに思考も読んでるよね、絶対。

滑り台かぁ……。

リーンとしぃちゃんが、めちゃくちゃ気に入っていたもんなぁ……。

そりゃもう、滑り過ぎてリーンの服が溶けてお尻と背中が丸見えになるくらい。

うーん……やっぱりダメ。

滑り過ぎたリーンの背中が真っ赤になって、お風呂に入った時大泣きしてたもん。

俺が擦り傷だらけになる前まで時間を巻き戻そうと思っても、お嬢ちゃんもカインも許してくれなかったし。

魔法で傷を癒していたら免疫力が落ちるし、これくらいなら2,3日で治るって言って。

今回もきっとリーンが夜に大泣きしても、絶対治さないと思うもん。

だったらリーンが怪我しないようにする方がいいに決まってるよね。

よし、潰すの決定!

時間を巻き戻して元の地面に戻したらいいよね!

……そう思ったのに。


「ふにゅ?押してと書いているのじゃ!押すのじゃ!」

「しーたん、ぽちー!」

「わーう!」


ボタンを興味深々に見ていた真魔が嬉々としてそう声を上げ、それに反応したリーンがしぃちゃんを煽り、俺の頭の上に乗っていたしぃちゃんはそのまま飛び降りた。

……ボタンの真上に。

そしてぱっかり穴が開いた足元。

その中に落ちる俺とリーン、しぃちゃんと真魔。


チビーズぅううう!?

何しちゃってんのぉおお!?

これって、俺悪くないよねー!

怒られるの、やだからねぇえええ!?










◇◇◇◇


ただいまシスコン発揮中のカインをシン君たちから離そうと引きずっている最中なんですが。


「愛良、離せ……ルナが……」

「はいはい。お兄ちゃんはお邪魔しないようにしようねー?」

「いやだ……」


往生際が悪いねぇ、君も。

せっかくシン君、ルナが腐女子じゃないって理解できたんだからお邪魔虫はやめなさいっての。


「おにー、ちゃん……あっちいって」

「ルナ……」


ほら見なさい。

あんまりしつこいから、ルナに怒られたじゃんか。

そんなにショック受けたってダメなものはダメなんだからね。


「あー……いや、でも俺もリディアも探さないといけないし……」


さっきから激しく視線を彷徨わせているシン君ですが、顔赤いのは隠せてないですからねー?

あー、本当にたこ焼き食べたい。

そう現実逃避をしていると。


「……あれ?」


少し離れた所でずっと感じていたしぃちゃんとリディアちゃんの魔力が消えた。

ということは、リーンも?

へ?

なんでー?

お兄ちゃん達のお膝下で、あの子たちの魔力が消えちゃうようなことが起きたってこと?

うそー……。

しぃちゃんやリディアちゃんだけじゃなくて、クロちゃんも合流したのはちゃんと感じたよー?

リーンはただの子どもだけど、しぃちゃんはフェンリルの赤ちゃんで、リディアちゃんは真魔の幼女で、クロちゃんは時神様だよー?

おっかしいなぁ……。


「愛良、行くぞ」


さすがにカインもリーンたちの気配がなくなったことに感づくなり、シスコン引っ込めたね。

その引っ込めの速さ、もうちょっと早くに発揮してもらいたかったです。


「分かった。あ、シン君。リディアちゃんの魔力も一瞬で消えちゃったみたいなんだけど……」

「はぁっ!?あいつ、何かしでかしたのか!?」


シン君、その一言で君がリディアちゃんをどう考えているのかがよく分かりました。

なんで魔力が消える=何か問題を起こした、になるの。

普通は魔力が消えたってことは、結界を張る必要性があるか生死にかかわる何かがあったと考えるでしょうが。

やっぱり君、まだ魔力に関する考え方に慣れてないよね。

そろそろ次のギルドランクにあげるために試験を受けさせようと思っているのに、あれじゃあ落ちちゃうよ。

ルナにお勉強みてもらおうっと。


「シンのことは、い・い・か・ら!行くぞ」

「……分かったから、ね?頭掴まないでくださいな」


ちょびーっと思考が外れていただけなのに、カインさんに頭を鷲掴みされましたよ。

体がいくら頑丈でも、君だって馬鹿力持ってるから痛いんだからね?

さっきまで引きずってたの私なのに、今は逆に引きずられています。


「ちょ、カイン!リディアもいなくなったんだろ!?俺も行く!」

「むー……しょーがない」


あー、ルナちゃまがホッペ膨らませちゃってますよー。

せっかく二人でデートだったのにぃ。

ルナごめんー。

二人が離れてから言えばよかったね。

てなわけで、結局4人で移動です。


「んーと……この辺りのはずなんだけど……」


大通りからちょっと離れた裏通りを捜索中だけども、まったく4人がいた痕跡はない。

うーん……。


「あら、アイラ達じゃないですか」


はれ?

角曲がったところで、ちょうどラピスとグレイがいましたがな。

グレイは頭を鷲掴みにされて壁に顔面埋め込まれていますけど、まぁいつもの光景だし。


「あ、ラピス!」

「ちょうどよかったです。今連絡をしようと思ったんですよ?」


あ、たしかにグレイを掴んでいるのとは別の手に、ケータイを持ってる。

私に連絡をしようとしたってことだよね?


「どうかしたの?」

「ええ。グレイと出かけていたら、リーン君たちを見かけまして」

「リーンたちを?」


二人でおでかけしている時に、リーンたちを見かけたってことだよね?

もしかして……二人もデート中ですか?

付き合ってるとかは聞いてないけど、幼馴染でいつも一緒にいるのが当たり前みたいだからかぁ。

わー……周りがリア充ばっかだ。

ルート君もルナに振られたけど、結局婚約者がいるみたいだし。

そのルナはシン君にぞっこん。

シン君はルナを意識し始めたし。

……なんだろう、疎外感を感じます。

あ、でもそういや私もカインの婚約者だっけ?

すっかり忘れてたやー。

あれ、じゃあ私もリア充になる?

うーん……誰かと付き合ったりしたことないから分かんないし、気にしないでいっか。

どうせカインはずっと一緒にいるんだしね!


「それで、リーンたちがどうかしたの?」

「はい。ちょうどアイラにお願いされたという少年が合流してすぐに、突然地面に穴が開いて落ちてしまったんです」

「「……」」


困った様子で、頬に手を当てながらため息をつくラピス。

穴?

地面に突然穴が開いて落ちた?

なんか……デジャブ。


「えーと……ラピスさん?」

「それはいったいどこでだ?」


あっはっは。

思わずカインと一緒になって顔が引きつるよ。

ちょいとシン君よい。

何で君は不思議そうな顔して首傾げているんだい。

魔族のおじさんに、邪神の封印神殿は学園の地下にあるって聞いたんじゃないのかい。

ここが学園の近くになるってことに気づいていないのかね?

そもそも、根本的に邪神の封印のこと忘れてんじゃないのかね?

……ありえそう。


「場所ですか?ここを右に曲がってすぐですよ」

「急にギルドの仕事が入った!ルナ、ごめん!シン君借りるから!」

「シン、とっとと行くぞ!」


場所を聞くなり、シン君の襟首を掴んで突撃!

ルナちゃま、ほんっとうにデートの邪魔してごめん!

だけども、こればっかりは譲れないの!


「うぇっ!?な、なんなんだよ!?」

「「いいから足動かせ!!」」


そしてシン君は、頭の回転遅い。

教えないと思い出さないね、これじゃあ。

とにもかくにも、悪いんだけどルナたちに見られるのも困るから、お仕事って言って不可視遮音の結界を張って、痕跡探しです。


「ん?なぁ、これって何だ?」


あっという間に見つけたのはシン君。

彼が視線を投げている地面に向ければ、どっかで見たことあるボタン。

うわー……クロちゃん、ちびっ子たちを抑えきれなかったんだね……。

それよりも気になるのが、ボタンのすぐ傍に浮かび上がっている文字。


『ちょっ、ちびっ子ぉお!!神殿は冒険するとこじゃありませ……行き止まりだからって普通壁壊すかぁっ!?ぎゃああ!神殿が破壊されるぅうう!封印扉が瓦礫で埋もれたら、余計に出られなくなっちゃうからやめてくれぇええ!!』


「「「……」」」


浮かび上がった文字、というか悲鳴を見るなり沈黙する私たち。

……あの子たち、いったい中で何してんだろうね?

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