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逸話.世界のどこかで7

57826、57827、57828……

ぐああああ!!

もう無理!

暇!

暇過ぎる!

一人で床にひたすら○書いていったけど、もう耐えられねぇよ!!

もう持ち込んだゲームも漫画も飽きたし!

神王様ぁあああ!!

せめて封印中でも暇つぶし道具を定期的に遅れるように、邪神の封印待遇改善してくれぇええ!!

ここ数億年、俺とクソ神の二人でほぼローテーションしてんだしさぁあああ!!

もう出たいぃいい!!

新作ゲームしたいし新作漫画読みてぇえよ!!

なんで連載途中で封印されてんだ、俺!

せめて連載が完結するまで頑張れよ俺!

いや、きっととうの昔に連載は終わってるんだろうけどさ!!

続きが読みてぇえよ!!

読みたいのに、昔過ぎて封印から出て古本屋探し回ってもその続きがねぇってどういうことだよ!!

絶対邪神の封印待遇改善してもらえるように、神王様に掛け合ってやる!!

……あ、でもクソ神の時は今のままでいいよな!

よし!

次のクソ神が封印されるまでに、この白一面の封印空間を落書きで埋め尽くしてやる!!

……こうして、邪神の封印待遇改善は延々と先送りになるのであった。

◇◇◇◇


「どこだ……どこにいるんだ……?」


賑やかな王都を彷徨いながら、自らに人化の術を施した魔族の男は辺りを目ざとく探し回っていた。

この国についてから、息子の魔力が突然ぱたりと途絶えてしまったのだ。

息子の魔力が消えてしまう前、まさかの娘の魔力も突如現れていた。

以前、娘を使い魔として召喚してしまった少年がいると聞いていた。

恐らく、召喚されたのだ。

でなければ、いくら強い力を持つ娘とはいえ、一瞬で人間大陸に現れることなどあるはずがない。

そして娘の召喚主は十中八九、邪神の加護を受けたあの黒髪の少年だろう。

なぜ娘も息子も、同時に魔力を消してしまったのか。

あの二人が死んだという可能性はない。

自分よりも母親の力を強く受け付いた子ども達が、そんなに簡単に死ぬはずがないのだ。

では、魔力を消さなければならない事態が起きたのか。

とにもかくにも、早く子ども達を見つけなければ。

そんな思いから、男の目つきがどんどん険しくなる。

もしも子ども達に何かあれば、男は迷わずこの国に向けて攻撃を行うであろう。


「ユンジュには財布を渡し、きちんと一人で買い物ができるか見届ける。リディアの召喚主となったあの少年に関しては、娘の主として申し分ないか見極める。不甲斐なかったら、ぶちのめして娘を開放する」


ぶつぶつと呟きながら剣呑な目をして周囲に視線をやる男。

料理馬鹿な男ではあるが、やはり親馬鹿神が収める世界の住人である。

この男、例に違わず親馬鹿である。

しかし、ここは人通りの多い王都。

そして現在世界規模の魔闘大会が催されているだけあって、各国のお偉いさんも集結している。

つまり、普段以上に警備の目がある。

そんな中で剣呑な目つきで油断なく周囲を見回していれば、否応なく目立つ。

巡回中の兵士たちも、もちろん男の存在に気づく。

いくら屈強な体格をしていようが、国に仇名す可能性がある存在を放っておくわけにはいかない。


「すいません、少しお話をよろしいですか?」

「ん?構わないぞ」


そして魔族の男は、人間の兵士に職質をされるのであった。

魔族の中ではまだ常識人で通っているがために、人間の質問を無下にすることもできず。

……子ども達捜索の続きを行うには、時間がかかりそうである。












◇◇◇◇


その頃、父親が探しに来ているとは全く知らない魔族の子ども達はー。


「リ・ディ・ア・たーん!ユ・ン・ジュ・くーん!どーこに行ったのかなー?優しい優しい、元魔王さんですよー?」

「「……」」


ロリコンから全力で隠れていた。

妹がロリコンに追い掛け回されているのをみるなり、隠れることをやめた少年が妹を召喚主の元から連れて逃げたのだ。

もちろん、見つからないように魔力も全力で隠している。

今まで対象は妹だけだったのに、久しぶりに見たら自分にも反応してきた。

何でショタにも反応するようになってるなっているんだ、あの変態は。


「にぃに殿……もう帰りたいのじゃー……にぃに殿見つけたから、もう帰るのじゃー……」


えぐえぐと泣きながら少年にしがみ付いて声を押し殺して泣く幼女、憐れである。

その幼女の頭を撫でながら、少年も少年でため息をついた。

なんで自分まで追いかけられなければならないんだ。


「そりゃ、僕も帰りたいけど……まだお使いできてないんだもん。これさえあれば、もうちょっとで帰れると思うから、ね?」


見つからないように隠れながら、必死で幼女をあやす少年。

その少年の手の中には、袋に入れられた血の付いたティッシュがある。

そして少年は、非常に嫌そうにその袋を持っている。

三男が取りやすいように準備したあの鼻血、きちんと回収したようである。

ひっじょーに嫌そうではあるが。


「……?それは、シンの血なのじゃ?」


血から漂う微かな魔力の痕跡に、首を傾げる幼女。

不本意ながらも主となった者の魔力を見間違うはずがない。


「うん、リディの召喚主の血。これがあれば邪神様の封印が解けるでしょ?」

「?にぃに殿は、邪神を復活させたいのか?」

「ううん、全く。邪神様に僕は興味ないもん」


にっこりと輝かんばかりの笑顔で言いきる少年。

魔族は邪神を敬っているはずなのだが、少年にとってはどうでもよさそうである。

むしろ、鼻血を回収させられたことに対して、若干キレているようだ。


「お金がないから、力を手に入れたがってる人に邪神様のこと教えてあげたんだ。それで封印を解くの手伝ってるの。封印が解けたら、ミルクと卵いっぱいくれる約束なんだよ」

「いっぱいのミルクと卵……プリンがいっぱい食べれるのじゃ!」

「うん。僕はミルクプリンをいっぱい食べたいなぁ」


プリンの材料が手に入ると気づいた途端、嬉しそうに笑顔を見せる幼女。

その様子にほっと息をついた少年は、幼女の頭を撫でながら同じように笑みを浮かべて頷いた。

変態に追い掛け回されてさえいなければ、ほのぼのとした様子である。


「んー?可愛いちびっ子たちは、どーこっかなー?元魔王さんの所においぐげぇええ!?」

「「……へ?」」


突然、あの元魔王な変態の奇声が聞こえてきた。

自分たちがいくら攻撃しても、たいしたダメージを受けないはずの元魔王が。

恐る恐る隠れていた物陰から顔を出すと、元魔王を踏みつけている黒髪の少女の姿が目に入った。

黒いドレスのようなひらひらした服を着た、試合に出ていたはずの少女。

その少女、とっても冷やかな視線を足元の変態に投げかけている。


「全く……コス王に、暴走中の君を止めてくれって言われた時は何事かと思ったけど……何してんの、君」


踏みつけている変態の頬に、ぐりぐりと右足の踵を埋め込んでいる少女。

長い髪で顔は隠れているから分からないが、どうやらとっても怒っている様子である。


「ひっ!?嬢ちゃん、痛い!踵でぐりぐりすんの、地味に痛い!冥界神はどうしたんだよ!」

「コス王なら、カインと一緒にお兄ちゃん達とエキシビションマッチしてるよ。混ざってくる?」

「絶対ヤダ!」


踏まれたままの元魔王だが、少女は全く気にする様子はない。

是非とも、そのまま元魔王を退治してほしい。

自分たちのために。


「君ね……何小さい子追い掛け回してんの?私、言わなかった?あんまり小さい子を追い掛け回していたら、カインとの契約無効化するって。もちろん、家にも入れないしご飯なんて作ってあげない。リーンにも二度と会わせないよ?」

「ひっ!?嬢ちゃん、家なき子にするのだけは勘弁して!ご飯も作ってください!ショタに目覚めさせてくれたリーンに会えなくなるのも無理!俺死んじゃう!」

「じゃあ最初からしなきゃいいでしょうが。ほら、さっさとリーン達の所に帰るよ」

「イエッサー!帰ります!」


呆れた様子の少女に蹴飛ばされるようにして立ち上がった元魔王は、少女を恐れるようにあっさり転移して消えてしまった。

自分たちをあれだけ恐怖に陥れておきながら。

滅んでしまえ、変態!


「さて、と……」


元魔王がいなくなったのを確認して、きょろきょろ周りを見回す少女。

その視線が、物陰から顔だけ出して様子を伺っていた自分たちと重なる。


「あ、いたいた。リディアちゃん、シン君にお弁当渡しておいてくれる?お昼ご飯が結構余ったから、お裾分け。リディアちゃんの分もあるからね」

「!ご飯なのじゃ!」


少女から差し出された重箱を嬉々として受け取る妹。

かなりの量だ。

それを見て、思わず腹の虫がなる少年。


「……僕も、お腹減った……」


何しろ、お金もなくてこの国に来てからボックスに残っていたおやつしか食べていないのだ。

そろそろ腹減り具合も限界である。

お腹の音と言葉に、少女は目を軽く瞬いて首を傾げた。


「ん?君もお腹減ったの?まだ残ってるのはリメイクして今晩の夕食に使おうかと思ったけど、あげるよ」


あっさり妹が受け取ったものより小さ目の弁当箱をくれた少女。

それでも少年からすれば十分な量である。


「あ、ありがとー!これでもうちょっと頑張れる!」


これを食べれば、あの小物っぽい王女の相手もまだ頑張れる。

邪神の神殿までの道のりだって、楽勝だ。


「何を頑張るのか知らないけど、頑張ってね?」


よく分からないけど、という様子で首を傾げながら応援してくれる少女。

元魔王を追い払ったり、お弁当をくれたり、応援してくれたりと、いい人である。


「うん、頑張るね!おねーさん、お弁当ありがとー!リディ、行こ!」

「うむ!ばいばいなのじゃ!」

「「いざ、プリンのためにー!!」」

「ちゃんとシン君にお弁当渡してねー」

「「はーい!」」


仲良く手を繋いで走り出す二人と、それを笑顔で手を振って見送る少女。

実に、ほのぼのとした光景である。

……邪神の封印の鍵は、みすみす逃したが。













◇◇◇◇


その頃、悪あがきからリンチしていた三つ子はー。


「付き合ってるわけでもない子に、そうそう簡単に抱きつくように指示を出すなんて何を考えているんだい?」

「愛良がいくら自分の恋愛経験値が小学生低学年だからって、それをいいことに煽るな、ハゲ」

「カインよ、貴様も純粋な愛良が抱きついてきたからといって、それ幸いと抱き返すな。それも公衆の面前で」


ボロボロな鬱帝と冥界神に正座をさせて、懇々と説教をしていた。

一応場所は控室に移してはあるが、すでに鬱帝のメンタルは折れかけである。

そして正座をしながらも銀色の鎖でぐるぐるに巻かれて身動きもできない様子だ。


「……俺、もう帰りたい……」

「カイン、耐えろ……。耐えたら、今晩はちゃんとみんなでご飯食べれるぞ……」


もうすでに泣きかけの鬱帝と、そんなメンタルをぎりぎりのところで保持しようと頑張る冥界神。

ちなみに、説教真っ最中のことである。


「「「人の話を聞いているのか?」」」


三つ子に睨まれるのは当然だ。


「そもそも人が説教をしている最中に話すなど、どのような神経をしておるのだ」

「僕たちのお説教だけじゃ足りないってことかい?」

「なんだったら親父も上でブチギレているし、上でやるか?親父がブチギレた時は、愛良でも最長4時間の正座で説教だったけど」


今から天界に行って4時間の説教。

現在、すでに夕日が物悲しい夕方である。

夕食を食いっぱぐれること決定だ。


「「聞いています、すいません……」」


これ以上延ばしたくない説教に、二人はすぐさま頭を下げた。

二人が愛良たちと夕食を食べることができるのかは、三つ子のみぞ知る……。












◇◇◇◇


その頃、三つ子曰くブチギレているらしい親馬鹿神はというと。


「カイン君ってば、なに嬉しそうに顔をニヤつかせて愛良ちゃんを抱きしめてんだろうね。ああもう!愛良ちゃんもそう簡単に男の子に抱き付きにいったりしたらダメだってのに。そもそもの原因は、やっぱり君なんだけどね。君が愛良ちゃんに手をだしさえしなければ、愛良ちゃんは成人まで平和な日本で暮らせたのに。それを、何回も何回もやり直しても意味をなさなくしてさ。君が疫病神の血を引いているのは消しようがない事実だとしても、理性を繋ぎ留める努力をすべきでしょ。いっくら色々あまり余ってる思春期の子どもでも、それくらい理解できるでしょ。ていうか、君に群がる子はいくらでもいたでしょ。なんであえて君にまっっっったく興味がなかったうちの娘に目を付けたんだか……」


激辛スープが入った大なべの中の屑に、懇々と説教をしていた。

もちろん中の屑は気絶して聞いているはずがないんだが、ブチギレ状態の親馬鹿神は夢の中にまで入り込んで声が届くように説教、もとい愚痴を繰り返していた。


「君に手を出される前に娘をこの世界に連れてくるよう仕向けるのに、どれだけ僕が悩んだと思うんだい?君から強引に娘を離せば、世界をめちゃくちゃにするのは嫌と言うほど分かっていたからね。この世界に連れてくるにせよ、君も連れてこなきゃいけない。だけど僕は娘から君を引き離したい。だからフェンリルの赤子を、娘が召喚されたすぐ傍に送ったんだ。君が近づこうとしたら、襲い掛かるようにお願いしてね。まぁ異世界の地で一人で暮らせるはずがないから、その世界で一番強い人物を向かわせる手筈を整えたのに、その人がうっかり契約をするなんて予想もしていなかったけど。まぁ、すぐに鬱ってちょっと鬱陶しい時もあるけど、すぐに盛る君よりマシではあることは確実だから大目にみるしかないけどさ」


冷やかな目つきをしたまま、大なべに向かって延々と説教を続ける親馬鹿神。

現在、親馬鹿神が大なべの中の屑に説教をし始めて、早2時間。

……いつになったら終わるのであろうか。


「神様、失礼しますねー。……まーだやってんですか?」


ノックしながら入ってきたセラフィムは、最後に見た時と変わらない状況に呆れた表情をその秀麗な面に浮かべた。


「セラフィム、僕のお説教を妨げないでくれる?」


普段の親馬鹿からかけ離れた冷やかな声に、思わずセラフィムの体はびくりと跳ねた。

しかし、彼はブチギレ状態の親馬鹿神にひるまず、部屋に留まった。

……腰は引けていたが。


「だ……だって神様が疫病神様を探して来いって言ったんじゃないですか。神様に言われた通り、疫病神様を探しに行っていたんですよ?疫病神様が逃げ回るから、追いかけてたら道に迷うし、時間がかかり過ぎてミカエルに怒られちゃいましたし!さすが疫病神様、関わるだけで厄を振りまかれましたよ!」


それは単純にセラフィムの方向音痴のゆえだと思われる。


「それで、疫病神は見つけたの?」

「あ、はい。自分の子孫が神様の愛娘であるお嬢様にストーカー行為をしていると知って、逃げ回っていましたが、次男様特製の新しい神器グレイプニルでなんとか拘束できました。まだ試作品だということですぐに災厄で腐食してしまいましたが、さすがにグレイプニル100本で巻きまくったら大人しくなりました」

「そう。彼に子どもが出来た時に神族としての力は取り上げたのか聞いた?」


ガツンと音を立てて大なべを蹴りつけてから屑の部屋に空間を開けて落とす親馬鹿神。

やっぱり三つ子の父親だ。

やってることが恐怖である。

そんなブチギレ状態の神を目の前に、ビビりまくってるセラフィム。


「えっと……」


親馬鹿神が言ってる力を取り上げるという意味は、戯れに下界に降りた神が子どもをつくっても、後継にするつもりがない限り力を取り上げるという天界の決まり事である。

でなければ、下界にはとんでもない力をもった人間がごろごろいることになるのだ。

そして疫病神はつい1万年ほど前に代替わりしたばかりのため、後継者は必要ではない。

そんな彼の能力を引き継ぐ人間など、いてはならない存在だ。


「セラフィム、はっきり言って」

「はい!それが、すっかり忘れていたみたいで!」


冷やかな親馬鹿神に耐え切れず、頑張ってテンションを上げたセラフィム。

もちろん、逆効果である。


「疫病神をすぐに連れてきなさい!今すぐに!」

「は、はいぃい!!」


こうして疫病神は責任を取らされて、子孫の説教を引き継ぐのであった。













◇◇◇◇


「遅いですわ!いったい何をしていたんですの!?」


邪神の封印を解く鍵を手に入れた少年は、王女の元に持っていくなり怒鳴りつけられた。

思わず、血の付いたティッシュを燃やしてやろうかと少年が思ったのも無理はない。

妹は召喚主の所に預けてきて正解だった。

あの子なら確実にこの王女を瞬殺していたに違いない。

全てはお使いを成功させるため。

自分にそう何度も言い聞かせながら、少年は血の付いたティッシュを差し出した。


「はい、コレ」

「なんですの?それは」

「邪神様封印の鍵。さっさと報酬ちょうだいよー」


少しでも早くこの王女から離れたい少年は必死である。


「これが?」


うろんげな目をして血を見下ろす王女。

その目はどこまでも少年を信用していない。


「あーやだやだ。めんどくさいおねーさんだなぁ。なんで同じ女の人なのに、お弁当のおねーさんとこのおねーさんはこんなにも性格違うんだろ。こわー」

「なんですって!?」

「おねーさん、もーいーからさっさと邪神様の封印の所に行こうよ。ちゃんと報酬用意してるんだよね?」

「……」


こちらの憤りをものともしない少年に、言葉が出てこない王女。

言葉が出てこないながらも、無言のまま頷いた。

本当は、報酬の量が量なだけに、用意はできていなかったりする。

だって、ミルクと卵の桁がおかしかったのだ。

王女としての特権をあの兄に取り上げられていることもあり、用意なんて出来るはずがない。

自分付きの侍女たちすら、全員取り上げられたのだ。


『本来、学生寮とは学生が自活を促すためのものである。食事は食堂へ行け。掃除洗濯は自ら行え。少しずつ自炊も覚えろ。お前には、今後その技術が必要になるのだからな』


そう言って、あの兄は自分から何から何まで取り上げたのだ。

許せるはずがない。

そして自分よりも勇者が執着しているあの少女の存在も許せない。

力を手に入れたら、この報酬報酬と煩い少年もまとめて消し去ってやる。


「それでは、行きましょうか」

「はいはい」


王女はそうして、今まで行く筋もあった選択の最終で、自滅を選択するのであった。

……三つ子がいる限り、世界は平和であるというのに。

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