175.1試合目からにゃんこプレイです
視点は愛良→カイン→愛良です
◇◇◇◇
コロシアムが熱狂的な声援に包まれている。
うわー、こんなに大勢の中で戦うのって初めてで緊張するなー……。
思わず歩みが遅くなっちゃうよ……。
『続いて登場したのは、学生の部の紅一点!フィレンチェ王国代表のアイラ・シドウ!』
あ、私の方が後に登場なんだ。
相手選手の名前も出身国すら聞いていなかった。
えーと、真ん中にいる人が相手選手か。
とりあえず、一言で言うとイケメン。
短い茶髪のおにーさん。
きっと上級生だね。
というか、代表選手全員が一年生なのは王国だけか。
「へぇ?唯一の女の子の相手をできるなんて、ラッキーだね。しかも可愛いし」
にやぁっと口端をあげて笑うイケメン。
……なんだろう。
イケメンなのに、笑い方が下品で残念。
というか、馬鹿っぽい。
「そりゃどうも」
とりあえず返事だけは返して、パールを武器に変化。
いつもの鉄ハリセンにしようかと思ったけど、こんだけ大勢の観客がいるし、お義父様の養女になったからお行儀よくしないといけないよね!
てなわけで、女の子が持っていても違和感なさそうなレイピアにしました。
お母さんにフェンシングも叩き込まれてるから、問題なしです!
私がレイピアを構えたのと同時に、相手選手は先っぽに丸い球体が付いた杖みたいなものを剣のように上段で構えた。
なんだろう、あれは。
魔武器だろうし、何らかの能力はあるはず。
気をつけないといけないよね。
「君はどんなのになるのか楽しみだなぁ」
やっぱり馬鹿っぽい笑みを浮かべるおにーさん。
意味不明なことを言ってるんだけど、あの人の頭は大丈夫?
だけどなんとなくあの魔武器、超危険な気がしてきた。
もうお家に帰りたい……。
早く終わるためにも、あのイケメンのおにーさんを倒そう。
おにーさん馬鹿っぽいし、突きまくってハチの巣にしてもきっと問題ない。
なぜなら、馬鹿は簡単には死なないから!
『両者構えたので……始めぇえええ!!』
よし、主に顔面を狙っていこう。
開始の合図と同時に、足だけ少し魔力を流して強化。
決勝まで残ろうと思うなら、魔力はそんなに無駄遣いできない。
前の試合で勝ったのがシン君なら、二回戦での相手なんだろうし。
お兄ちゃん達に具体的にどれだけの魔力が使えるのか聞いていないけど、無駄遣いしたくないから速攻で終わらせてやる。
足に力を込めて一気に踏み出して、レイピアをおにーさんの顔面目指して突き刺す。
「ひっ!?」
そんな私の動きに、おにーさんは顔を引きつらせて小さく悲鳴を上げるとその場にしゃがみこんで躱された。
避けられたことに内心イラってしながら、もう一度……と思ったら。
「くっ……え、ぶべっ!?」
しゃがみこんでいたおにーさんが距離を取ろうと足を動かしてすぐ、自分の足に引っかかって顔面から地面にすんごい音を立てて激突しました。
そのままピクリとも動かないおにーさん。
「……あれ?」
シン君が魔力が封印された状態で戦うなら気をつけろって言っていたから、最初から結構全力で行っていたんだけど……。
なんか、勝手に自滅しちゃった?
さっきまで熱狂に包まれていた観客たちもシーンとしていて、居た堪れない。
「えーと……」
判定はどうなるのかと思って審判の人を見てみるけど、審判の人も同じように呆気に取られていてどうしようもなさそう。
特に何も言わないから、続行なのかな?
いや、というかこのおにーさん生きてる?
ちょっとレイピアで頭を突いてみるけど反応なし。
出来心でじょりじょり十円禿げを作ってみても、反応なし。
「ん?」
ただし、おにーさんが持っている魔武器から妙な煙が吹き出てきた。
それも結構な勢いで。
何の煙かは分からないけど煙たくて咳が出るから、後ろに飛んでおにーさんから距離を取るのだけども……。
「……?」
軽く後に下がったつもりなのに、かなり後まで飛んじゃった。
そんでもって下がる時、視界の端に黒いものが見えた。
何かの尻尾みたいに黒くて細長いものの先端が。
嫌な予感がしたので片手でお尻を触ってみると、何かの手ごたえあり。
しぃちゃんというよりも、子猫バージョンのルシファーを撫でている時みたいな。
思わず顔を引きつらせると、頭の上でも何かがピクピク動いた感覚。
地面に映る影をみれば、頭に三角形が2つ、お尻には細長いものがゆらゆら。
「みゃあ?(何で?)」
極めつけに言葉しゃべれないとな?
終わった……。
「引っかかったな!気絶したフリをして油断を誘ったのだ!!」
高笑いしながら起き上ったのはおにーさん。
嘘つけ。
私がジョリジョリ10円禿げ作ったのに気づいていないでしょ。
ちなみに頭のてっぺんだからね。
さすがに可哀想かと思ったから十円サイズで済ましたのに、あのしてやったぜ的な顔を見ているとイラってくる。
お皿サイズにしてイケメンなカッパにしてやればよかった。
「俺の魔武器の能力は、この煙を吸い込んだ奴を、そいつにピッタリな動物に変えることだ!」
「みゃ?」
ちょい待て。
私は猫も好きだけど、犬の方がもっと好きです。
しぃちゃんとお揃いがいいです。
やり直しを求む!
「しかし、君は残念ながら少ししか吸い込まなかったみたいだな……。猫耳と尻尾だけなんて不完全だ。君を完全な猫にして、その肉球をプニプニしてやる!!」
馬鹿丸出しの笑顔を浮かべて杖を振り回すおにーさん。
その動きに合わせて煙も広がっていくんだけども、それよりもおにーさんの言葉にドン引きです。
「みゃー……」(変態だ……)
「おっと!俺は変態ではない!動物全般が大好きなだけだ!この魔武器は俺の夢のアイテムだ!」
「みゃうみゃう、みゃみゃみゃあ」(いやいや、普通の動物を愛でてなよ)
「もちろん普通の動物も愛でているに決まっているじゃないか!だけど人間を動物にしたときの反応が最高なんだ!」
「にゃあ、にゃにゃあ。みゃみゃみゃあ、みゃん。みゃうう、みゃみゃあ?」(そりゃ、みんな大慌てだよ。それを見て楽しむとか、最悪だよ。それよか、猫語通じんの?)
どうしよう……なんか普通に会話が成立しているんだけど。
もう変な人の相手したくない。
そしてできれば猫じゃなくて犬にしてほしい。
「もちろん!動物を愛する者として言葉が理解できないとかありえない!だから安心して本物の猫になっいぎゃああ!?」
「ふしゃー!!」
猫より犬がいいって言ってんのにしつこいから、思わずレイピアをおにーさんに向けて投げた。
近づいて煙を吸ったら猫になっちゃうなら、遠くから攻撃したらいいだけだもんね?
言葉しゃべれないから魔法が使えなくても、武器を増殖したらいいだけだもん。
それに魔力コントロールはそのままだから、実は無詠唱の魔法もそれなりに使えるもん。
……覚悟しとけよ、動物馬鹿。
◇◇◇◇
なんだ、あの可愛い生き物は。
「ふしゃー!みゃううー!!」
尻尾を倍以上に膨らませて怒りを露わにしている愛良は、相手を睨みつけながらレイピアを無尽蔵に増殖しながら投げまくっている。
可愛すぎだろ、あれは……。
「あー……アイラは確かに猫が一番ぴったりだなー。あ、これ美味い」
「僕もそう思う。もう違和感ないぐらい似合ってるよねー。こっちもなかなか美味しいよ」
俺が愛良を試合会場に送るなり合流したグレイとルートが、呑気に出店で買った食い物を食べながら試合を眺めている。
お前ら、実はたいして愛良の試合に興味ないだろ。
「カインも食べるかー?」
グレイがそう言って差し出してきたのは、トロールの目玉焼き。
いやいや、いらん。
しかも目玉を齧りかけなのがグロくて嫌だ。
「……お前ら、少しは愛良の試合を真面目に見ようと思わないのか?」
目玉焼きをそれとなく押し返しながら注意すると、二人はお互い串焼きを食べながら顔を見合わせた。
「いや、だってアイラちゃんだよ?何を心配するって言うの?」
確かにルートの言葉には言い返せない。
言い返せないんだが、今は魔力があらかた封印されているから心配なんだ。
知らないって、いいよなぁ……。
「そうそう。愛良の心配はするだけ無駄だって。それに……」
そこで言葉を切って、俺が押し返した目玉焼きを口に入れるグレイ。
やっぱりグロい。
俺、お前の友達をやめたくなってきたぞ。
「ごく……俺はルートの『失恋おめでとう』に忙しいんだ。気にすんなって。女はルナだけじゃない。第一、お前はアクア家の嫡男で婚約者がいるんだからどっちにしろ叶わない恋じゃん。むしろ早いうちに失恋しといてよかったな」
「グレイまじ死ね!!」
「ぐあっ!?」
確かに、失恋してよかったと言われるのは腹立つだろう。
普段は呑気なルートでさえ、食べかけのゴブリンの耳焼きの串をグレイの眉間に突き刺すほどだ。
相当腹が立ったんだな……。
うん、失恋はつらいよな。
気が晴れるまでグレイを殺ってよし。
その失恋の原因ともいえるルナたちは、ルートたちから少し離れた所にいた。
顔を引きつらせながら食い入るように試合を見ているシンと、そのシンをニコニコ笑って眺めているルナ。
その二人を一定の距離を保ったまま面白そうに観察しているラピス。
……シンしか真面に試合を見ている奴がいなかった。
いや、シンも顔を引きつらせるなら離れたらいいのに、なぜそこまでして試合を見ているんだ?
シンの視線を辿っていけば、未だにレイピアを投げまくっている愛良の後姿。
尻尾を倍以上に膨らませて垂直に立てたままの愛良。
愛良は制服を着ているから、尻尾はスカートの中から出ている。
その尻尾を垂直に立てていれば、いくら愛良の長い髪でほとんど隠れているといっても、あれだけ動き回れば見えるもんは見えるもんだ。
愛良の下着が。
いや、たぶんスパッツなんだろうけど……。
それを凝視しているのは、愛良に未練がありそうなシン。
「……っ!!?シン、見るな!!忘れろっ!!」
「うっせぇ!こんぐらい許せ!減るもんじゃないんだし!」
シンの気を逸らそうとするが、シンもなかなかしつこい。
視界を遮ろうとシンの前に回ったのに、それを躱しながら愛良を凝視している。
いい加減、意識落とすぞテメェ。
「むぅ……シン君、おにーちゃん……困らせちゃ、だめ。ダークカーテン」
俺の沸点が限界を超えそうになった直前、シンを止めたのはルナだ。
闇のカーテンに包まれて見えなくなったシン。
「えぇええ!?俺のオアシスがぁあああ!!」
闇のカーテンの中からシンの嘆きが聞こえるが知らん。
むしろ一生その中にいろ。
「あら……面白かったのに」
「ラピス、少し黙っていてくれないか!?」
何で心の底から残念そうにしているんだよ!
「でも……アイラ、教えて……あげなきゃ……」
た、確かにルナの言うとおり、さっさと教えないとまずい。
あれ、本人は絶対に気づいていないからな。
「……もう少ししてから教えたほうが、アイラの反応がきっと可愛いと思ったんですけど」
「ラピス!?」
「冗談ですよ」
冗談に聞こえない冗談を言い放ったラピスは、試合中の愛良に向けて大きな声を出した。
「アイラ、スパッツが見えていますよー!」
「ふみゃっ!?」
ラピスの言葉が聞こえた愛良が、両手を後ろに回してスカートを押さえた。
さっきまで立っていた両耳が、ペタンと垂れている。
なんだ、あの可愛い生き物は。
「ふみゃぁ……」
耳と尻尾を垂らし、スカートを押さえたまま、涙目で後ろの観客席を振り返る愛良。
庇護欲があとからあとから湧き出てくるんだが。
「ふふふ……愛良ったら気づいていなかったんですね」
「アイ、ラ……かわい……撫でたい、ね」
「後でぜひ触らせていただきましょう。私はあの黒い尻尾を触りたいです」
「僕は、お耳……」
「撫でたら、ゴロゴロ咽を鳴らすかもしれませんね」
「やり、たい……」
「試合が終わったら、思う存分アイラを愛でましょう」
「カメラ、準備……」
涙目な愛良を、微笑ましげに見つめるラピスとルナ。
むしろ獲物を見つけた捕食者の目だ。
お前たち、背後で失恋中のルートや慰め中のグレイ、隔離中で喚きまわっているシンの存在すら忘れているだろ。
……試合が終わった後の愛良の運命、決まったな。
「みゃうみゃう!」
そうとは知らない愛良は、教えてくれたラピスに礼らしきものを言っている。
うん、可愛いとしか言いようがない。
さっきまでスカートを押さえていたのに、尻尾が垂れたから手を離してぶんぶん両手をラピスとルナに振っている猫愛良は可愛い。
可愛いんだが、今は試合中だ。
いくら相手を投げまくったレイピアで壁に縫い付けて身動き取れないように張り付けていても、試合中には変わりはない。
相手が恐怖で半分以上戦意を喪失していても、気絶はしていないから試合は続行中だ。
「(私たちの愛でる時間を早くするために)頑張ってください、アイラ」
「早く、終わらせて……一緒に遊ぼう(愛でさせて)、ね」
捕食者達、自分の欲望を含ませながらも応援か。
そんなに早く愛でたいのか。
「みゃう!」
分かったとでもいう様に笑顔で頷いた愛良。
お前のこの後はきっと悲惨だぞ。
きっとこの捕食者たちに思う存分愛でられまくるぞ。
絶対に同性であるがゆえに、容赦ないと思うぞ。
「愛良、(この捕食者達に)気をつけろよ」
「みゃう!」
一応忠告したから、その見返りで俺も少し愛でさせてもらうからな。
◇◇◇◇
「……ふみゃぁ」
何だろう……。
今すごく嫌な予感がした。
だけどこの羞恥プレイをさっさと終わらせたい。
相手選手の動物馬鹿は全身にあの動物になっちゃう煙を纏わつかせているだけで、ほとんど戦意喪失しているし。
「みゃ!」
よし、もうこんだけ羞恥プレイにさらされているんだから、お行儀よくしなくてもいいや。
レイピアを巨大な扇に変化。
何しろ今は風属性使えない。
爆風を利用して煙を吹き飛ばそうにも、あれだけの煙を吹き飛ばすにはかなりの威力が必要。
そしてできれば魔力は温存しときたい。
となると、自分で風を起こして吹き飛ばすほかないもんね。
両腕に少しだけ身体強化をかけて。
「ふぅうう……みゃぁああ!!」
力いっぱい扇で仰いだ。
「うみゃうみゃうみゃうみゃあ!!」
扇で煽いで煽いで煽ぎまくる!
元からある身体能力に身体強化したおかげで、綺麗さっぱり煙を吹き飛ばせたよ!
意外とうまくいくもんです!
「うええええっ!!?」
相手選手は私を近づけさせないように煙を纏っていたのに、それがなくなって大慌て。
だけど私が投げまくったレイピアで壁に縫いとめているから身動きもとれないから、青い顔を引きつらせている。
「みゃみゃーみゃ」
あっはっは。
思わずざまーみろって思っちゃいました。
そのままパールを今度は鉄ハリセンに変化。
「へっ!!?何その武ぐべっ!?」
一気に近づくと最後まで言わせずに顔面に鉄ハリセン埋め込みました。
ちょっと力を込めすぎて、お顔が壁に埋まっている気がするけど、死んではいないからノープログレム。
だって、羞恥プレイを晒されなきゃいけなくなった元凶ですし。
恨みがこもっちゃっただけです。
『しょ……勝者、アイラ・シドウ選手ー!!猫化してしまった以外は圧倒的!萌え提供で観客サービスも満点!文句なしでシドウ選手の勝利だー!!』
誰も観客サービスなんてしてませんから!!
第一、誰も萌えなんて提供していないもん!!
気絶した相手選手がタンカで運ばれたのを見送ったんだけども。
「ふみゃあ……」
相手が気絶したら解けると思った猫化が解けない。
尻尾も耳もそのまま、相変わらず言葉もしゃべれません。
『相手選手は気絶してしまったが、シドウ選手の猫化はそのまま!同じ学園の人間に確認したところ、効果は半日~1日だそうだ!』
司会、嫌な情報ありがとうございました。
少なくとも今日は羞恥プレイを続けないといけないんですね。
泣いてもいいですか。
『個人的にこのままでも全く問題ないのだが、言葉がしゃべれないのは今後の試合にも影響がでかい!判定委員会から、特別にシドウ選手に対して事前に棄権する権利が与えられました!』
「みゃ?」
あれ、棄権ってダメだったの?
むしろそっちに驚いたよ。
『さぁシドウ選手!どうされますか!?』
んー……しゃべれないなら、使える魔法が限定されちゃうしなぁ。
無詠唱で魔法を使うのは、詠唱ありで使うよりも魔力消費が激しいし。
「……みゃ?」
そういや、しぃちゃん用にって前に作った魔道具が使えるかも。
えーと、確か作ったまんまボックスに入れっぱなしだったはず……。
「みゃっみゃ!」
あったあった。
この世界に来てちょっとしてから作ったもんが。
『おおっと!?突然シドウ選手がボックスから何かを取り出したー!あれは……黒い首輪っ!?シドウ選手、その首輪を自分に付けたー!?さらに萌えプレイを続行する気かー!?』
萌えプレイ続行って……。
そんなつもり、さらさらないんですが。
「違うにゃん。ちゃんと言葉しゃべれるように付けただけにゃん。これ使ったらしゃべれるから、棄権はしないにゃん」
しぃちゃんとおしゃべりしたかったから、頑張って翻訳できる首輪を造ったんだよ。
結局しぃちゃんの言いたいことは、なんとなく分かるからそのまま片づけてたんだけど。
まさかこんな形で役に立つと思わなかったなぁ。
猫だから語尾に『にゃん』って付いちゃうけど。
ちなみに、しぃちゃんの時は『わん』だった。
その語尾に『わん』が付くのをしぃちゃんが嫌がったから片付けたってのが一番の理由だったんだよねぇ。
『にゃん……なんたるサービス精神溢れるシドウ選手!!ついでに他にもサービスください!!』
へ?サービス?
「えーと……可愛いペットとおしゃべりしたい人は、是非この『あなたと話し帯』の首輪をお試しあれにゃん。ギルド『清龍』の受付にて販売する予定にゃん」
サービス精神で言ったら、勢いよく出ていく観客が続出した。
……あくまで予定で、まだ販売していないのにご苦労なことです。
さ、カインの所に戻ろー。
~『あなたと話し帯』完成直後のお話~
愛良「しぃちゃん、これ付けてみて~。しぃちゃんとおしゃべりできる首輪なの」
しぃ「……愛良、ボクの言うこと分かるわん?」首傾げ
愛良「きゃぁああ!!しぃちゃんがしゃべってるー!可愛いー!!」悶え中
コス「おお!!お犬様が『ワン』って語尾で言ってるしー!!」腹抱えて爆笑
ルシ「いやいや、可愛いじゃねーか」めっちゃ含み笑い
しぃ「……最後、わんって言うの嫌わん」コス王とルシファーにレーザービーム攻撃
愛良「えー、でもそこが可愛いよー?」
しぃ「……」プイッ
リン「マーマ、あんね?リーン、しーたんのこと、わかうのー!しーたん、これ、やっ!なのー!」しぃちゃんの気持ちを代弁
しぃ「……」無言のまま全力で縦に首を振り中
愛良「えー……そんなに嫌かぁ……しょーがないから、お片付けしようか」首輪外してお片付け
リン「しーたん、よかったねー!」
しぃ「わうー!!」
首輪が外れたことに喜んだあと、お犬様は馬鹿にしやがったコス王とルシファーの制裁を自発的に行ったという……。