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148.天然でいちゃつくこいつら、誰か引き取ってください

ふふふー……仕事なんて、大っ嫌いだぁあああ!!

新人が二週間でやめたよ!!

何が「シフト制ならバンド活動と両立しやすいと思ったのに、残業もあって思うようにできないから辞めまーす」だぁあああ!!

人数がただでさえ足りてないのに、ふざけんなやガキぃいいいい!!

てめぇのおかげで、早出遅出同時にやらなきゃいけなくなったじゃねぇかぼけぇええ!!


……以上、更新が思うようにできないイラつきを込めた現状の作者の叫びでした。

お騒がせしました……。



今日はカイン→シン→愛良視点です!

◇◇◇◇

シンのクラスのタコヤキという食べ物を食べた瞬間の愛良とリーンとシリウスの反応。


「たこ焼きうまー!」

「うまー!」

「わうー!」


……こいつらは、出店が並んでいるど真ん中で叫びました。

おい……周りの視線が集中しているぞ。

それなのに、こいつらは全く気にしていなかった。


「おいしー!シン君、たこ焼きの味付け上手!」

「だっろー?祭りの時も家族で出店を出したら行列できたんだぜ!」

「このおいしさなら行列も頷ける!今度レシピ教えて!」

「いいぜ!そんかわり、今度うどんの作り方教えてくれよ!この世界はパスタ系ばっかで飽きるんだよなー」

「オッケー!」


料理のレシピで盛り上がる愛良とシン。

……お前ら二人で楽しそうだな、おい。


「パーパ!ふーふー、はやく!」

「ぐるぅ……」


あ、愛良とシンに気を取られて、タコヤキを冷ますのを忘れていた。

リーンは口を開けて待っており、シリウスは小さく唸っている。

……リーンはともかく、この危犬。

タコヤキを氷漬けにして食わすぞ。


「リーン、冷ますなら私がや「やっ!パーパがいーの!」……」


そしてリーン。

せっかく皇帝が慣れない手つきでタコヤキを小さくして冷ましてくれたんだから、全力で拒否してやるな。

皇帝の背中が、何とも言えない哀愁を漂わせているから。


「リーン、皇て……ととが、リーンのためにタコヤキを冷ましてくれたから、そっちを食べててくれるか?俺はシリウス用に冷まさないといけないから」

「むぅ……しーたん、はんぶんこっ!」

「わうっ!?」


リーン……。

そんなに皇帝から食べさせてもらうのは嫌なのか?

無表情のままタコヤキを差し出されたら、確かに怖いかもしれないが。

……俺でも遠慮したいと思ってしまうかもしれないが!


「くぅ……わうわう!」

「えー……」


シリウスはしばらく俺が持っているタコヤキとリーンを見比べて唸っていたが、ふるふる首を振って吠えた。

ほらみろ。

リーンに甘いシリウスも悩んだが、食い意地は張っているからな。

却下を出されたんだから、諦めろ。


「マーマ!ふーふーして!」


リーンは往生際が悪いなぁ……。

いまだにシンと料理について語りあっていた愛良の足に抱きついたぞ。


「んー?リーン、どうしたの?」

「パーパ、ふーふーしにゃいの!」


おい、リーン。

怒るのは俺になのか?

皇帝に食べさせてもらえばすむことだろ。

……という経緯を、愛良に念話で伝えると。


「リーン?ママはパパにふーふーとあーんしてあげないといけないの。リーンのはととがふーふーして冷ましてくれたから、ととにあーんしてもらってねー」


……は?

こいつ、今なんて言ったんだ?

愛良が、俺の分を?


「マーマ、パーパのぶん?リーンの、にゃい?」

「そうなの。ごめんね?」

「あい……。とと、あーんしてー?」

「う、うむ!」


あ、ようやくリーンが諦めて皇帝の所に戻った。

皇帝、嬉しそうだな……。

どちらにせよ、顔の造り的に口元を緩めていても迫力はあるんだが。


「はい、カイン。あーん」

「……はあっ!?」


なんか、愛良がツマヨウジという物にタコヤキを刺して差し出してきたんだが!?

というより、お前、さっきそのツマヨウジで食べてただろ!?


「……カインは何でためらってんの?リーンにカインに食べさせてあげるって言ったのにー。たこ焼き嫌い?」

「いや、間接キスになるからカインがためらってるって気づいてやれよ……」


タコヤキを差し出したまま首を傾げる愛良に、シンが呆れと同情交じりに小声で言った。

シン……できれば、愛良に聞こえるようにもう少し大きく言ってほしかった。

いや、別に嬉しくないことはないんだが……人の目が、な……。

とか俺がためらっているうちに。


「カイン、いらないの?シン君、食べる?」


愛良はあっさりと俺に差し出していたタコヤキをシンに差し出した。


「ちょ、俺に死ねと?」

「なんでそうなるの?ほら、あーん」


俺を見ながら顔を引きつらせるシンと、迫る愛良。

……おもしろくないな。








◇◇◇◇


すいませーん。

誰か助けてくれませんかー?

愛良がたこ焼きを食べさせようとしている後ろで、大魔王様が静かに殺気を放っていらっしゃるんですけどー?

そりゃ、愛良みたいに可愛い子から『あーん』してもらうのは夢だけどさ?

夢だけど、現実にやったら俺、確実に死ぬと思うんだ。

というか、そんだけ嫉妬するならさっさと告白しろよな!

まだ愛良に告白してないって聞いた時は、唖然としたんだからな!?

兄貴たちが恐ろしいのと、愛良が鈍すぎるからって理由は聞いているけどさぁ!

確かに愛良に恋愛的な意味で『好きだ』って告白しても、家族とか友情的な意味での『私も好きだよ?』って返されるだろうよ!

だからって、こっちを巻き込むなよな!?


「シン君もいらないのー?せっかく故郷の味なのにー」

「いや、俺自分で食うし!というより、俺まだ呼び込み係だし!なにより、これ作ったの俺!!」

「ツッコミに忙しい子だねー。疲れない?」

「疲れさせてるの誰!?」


完全に激ニブ愛良と大魔王様なカインのせいですからねっ!?

頼むから、さっさとその激ニブを治してカインとくっついてくれ!!

俺の心の平穏のためにっ!!


「もー。みんなして拒否られたら何気にショックなんだからねー?」


誰にも食べてもらえなくて頬を膨らませる愛良。

俺は現在進行形で殺られそうなので、神経すり減らしてますが?

もうさっさとくっつけよっ!


「いいもん。自分で食べるもん」


誰かに食べさせるという行為を諦めた愛良が、たこ焼きを自分の口に運んだ……が。


「……はえ?」


自分の口に運ぼうとした愛良の手をカインが掴み、そのまま己の口にたこ焼きを放り込んだ。

え、なにこの天然いちゃつきカップル。


「ん、うまいな」

『きゃぁああああああ!!!!』


おい。

イケメンのお前がそんなことするから、お前を見ていた女子達が一斉に悲鳴を上げたぞ。

愛良は口を開けたまま目をぱちくりさせてカインを見上げてるし。


「私が食べようと思ったのにー!!」


愛良!

そこは怒るんじゃなくて、顔を赤くして恥ずかしがれよ!!


「ああ、悪い。ほら」

「あむ……おいしー!」


むくれた愛良の口に、今度はカインがたこ焼きを入れてやっている。

愛良は愛良で頬を緩めながら幸せそうに笑っていやがるし……。


「……もうお前ら帰れ!!」


無自覚にいちゃつきやがって!!

砂糖吐くぞ!?









◇◇◇◇


シン君に怒られちゃったから、場所移動。

別に、私たちがあんだけ美味しそうに食べたからお客が殺到してたんだし、あんなに怒んなくてもいいと思うんだけどなぁ。

せっかく売り上げに貢献したのにさ。

なんか『私もあーんってしてもらいたい!』って叫んでる女子が多かったような気がするけどね。


「愛良、もうすぐ交代の時間だ」

「へっ!?もう!?」


もうお昼なのっ!?

シン君が魔族のおじさんと結界の中で話しているの盗み聞きするのに時間かかり過ぎたー!

いや、まぁ収穫はあったんだけどさ……。

もうちょっとリーンとしぃちゃん、皇帝さんとウロウロしたかった……。


「店番か?」


リーンを抱っこして歩いていた皇帝さんが聞いてきた。

たこ焼きを食べさせてもらって、ちょっと慣れたのかリーンも文句言わずに抱っこしてもらっています。

よかったよかった。


「はい。リーンのこと、お願いしますね」

「うむ。任せろ」


皇帝さんが誇らしげに抱っこしているリーンを見て頷いたんですけども……。

リーンの顔は不安一色。

ごめん、皇帝さん。

私も不安になってきた。

やっぱり使い魔ズは必要だね!


「使い魔たちを呼ぶんで、少し待ってください」


カインが念話で呼んだから、すぐ来るよねー。

私たちはぼちぼちクラスの方に行きますか。


「マーマ、パーパ。おしごと?」


私たちが慌ただしくしているせいか、リーンが不思議そうに首を傾げた。


「そうなの。リーンはととやにぃに達と一緒に遊んでてね」

「リーンもおてちゅだい、する!!」


皇帝さんに抱っこされた状態で、元気よく片手を挙げるリーンちゃん。

あらまー。なんて嬉しい事言ってくれるんでしょうか、うちの子は。

本当に可愛いなぁ……。

しかも、リーンにメイド服とか着せたら可愛いんだろうなぁ。

絶対にお客も集まるだろうなぁ。

一瞬でリーンサイズのメイド服作るから、やっちゃだめかなぁ……。


「駄目に決まっているだろうが」


はい、考えただけなのにカインから却下が出ましたー。

駄目なのは分かってますよ!


「お嬢ー!カインー!」

「お待たせっす!」

「きゅきゅきゅー!!(面白そうなお店、いっぱい見つけてきたよー!)」


あら、ナイスなタイミング。

校舎に入った所でちょうど使い魔ズが小動物姿で走って来た。


「……こいつらは、何だ?」


あれ?皇帝さんって、使い魔ズ見たことなかったっけ?

んー……コス王だけなら、人型を見たことあったかな?


「コウモリと猫はカインの使い魔で、キツネリスはリーンの使い魔予定の子でーす」

「コス王でっす!」

「るぅちゃんでっす!」

「きゅきゅ!(クロノスでーす!)」

「……そうか」


小動物たちの片足を挙げた挨拶に、遠い目をする皇帝さん。

うん、使い魔予定とかに深く突っ込んでこない皇帝さんはやっぱり大好きです。


「それじゃあリーンと皇帝さんのこと、お願いねー」

「くれぐれも、阿呆なことをしでかすなよ?」

「「「いえっさー!!(きゅきゅー!!)」」」


うん、小動物たちが敬礼するのって可愛い。

中身さえ知らなければ癒されるよねー。

リーン達は使い魔ズに任せて、私たちは着替えに行きますか。

嫌だけど。メイド喫茶みたいなメイド服は着たくなんかないけど!

アレを着るのはお仕事だから。

お仕事だから割り切れば大丈夫。

よし、切り替えできた!


「にぃにー!あんねー、リーンねー?プリンたべりゅのー」

「そーかそーか!お嬢のメイドコスが見れるってことだな!!」

「じゃあ嬢ちゃんたちのクラスに直行!カメラは用意しているなっ!?」

「きゅい!きゅーい!(もちろん!写真撮って次男にあげるんだー!)」

「わーう!」

「……まぁ、いいか」


……リーン達の会話が聞こえてきたんですけど。

でも、聞きたくなかったです。

カメラを持ち込んだ瞬間、お外に放り出してやるんだからね?

~喫茶店に入るまで~


リン「マーマとパーパ、あっちー!はーやーくー!」

コス「リーンー?パパママは先に行っちゃったけど、俺様たちはここで順番に並んでから喫茶店に入ろうなー?」コウモリ状態でリーンの頭をナデナデ

リン「うー?なんでー?」

ルシ「ほれ見ろ、リーン。前にいる人たちだって、早くお店に入りたいのを我慢して待ってるんだぞ?それを無視して店に入ったら、それはズルだぞ」

リン「ずる……?リーン、わるいこー?」

ルシ「ちゃんと並んで待てたら、悪い子じゃないな」

リン「リーン、ならぶ!」

クロ「きゅう、きゅきゅ~!(リーン、えらい!)」

リン「えへへ~」得意げ


皇帝「……リーンの教育は、使い魔たちもやってるのか」

しぃ「わうわう」首をコクコク

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