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14.クラスメイトが異常です

「リョウガさん!?いったいどうなされたんですのっ!?」



そう叫びながら檀上に飛び出してきたのは、金髪碧眼の女の子。

ふわふわ柔らかそうな髪を腰まで伸ばして、目は怒っているからか少し吊り上っている。

うーん……大人しくしていたら可愛い子なんだろうけどなぁ。

こっちを睨むようにしているから、少し残念。

金髪女の子はこっちを睨みながら龍雅に駆け寄ると、腫れ上がった顔に手を当てた。

光属性を持っているみたいで、回復魔法かけているみたいですね。

せっかく面白い顔だったのに、元のイケメンに戻っちゃった……つまらない。

ちなみに、回復魔法をかける時に別に顔に手を当てる必要は全くありませんので。

あの子が単にどさくさに紛れて龍雅に触りたかっただけだと思います。



「あはは……ありがとう、サフィ」


「い、いえ////」



綺麗に元に戻った顔を確かめるように当てたままだった女の子の手ごと顔を撫でた龍雅は、ほっとしたように女の子に向けて微笑みかけた。

その微笑みを間近で見てしまった女の子の顔は、一瞬で真っ赤に染まる。

でました、イケメンお得意のキラースマイルが。



「「「きゃああああああああああああああああ!!!!!!!」


「イケメンが!!イケメンが降臨なされた!!!!」


「やっぱり私のイケメンセンサーに狂いはなかったわっ!!!!」


「うぉおおおおおおおおおお!!!やはりあいつはリア充であったか!!!」


「リア充死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ね……」


「うほっ。いいお・と・こ」



……このクラス、大丈夫ですか?

女子が狂喜しているのは、龍雅のキラースマイルを見ちゃったから仕方がないと思います。

男子が発狂しているのは、まぁ単なるリア充撲滅精神だと思われます。

最後の何なんですか。

この世界にはそっち系の人が多いの?

異世界って、怖い。



「……ね、Sクラスって貴族の優秀な集まりじゃなくて、変人変態の集まり?」


「……俺も一部のSクラスのやつしか見ていなかったということか」



目の前のクラスメイト達の様子に、遠い目をして明後日の方を向くカイン。

いやいや、そんなくだらないことで反省しないでください、阿呆らしいから。

本気で阿呆としか言えないから、気にしなくても問題なしです。

そんな意味を込めてカインの背中を叩いたのと同時に、甲高い声が響いた。



「あなたがリョウガさんにあんなひどいことをなさったの!?」


「へ?」


「は?」



龍雅の顔を治した金髪女の子が、目を怒らせて睨んでいた。

……カインを。

え……なんでカイン?



「正直に言いなさい!!リョウガさんの美しいお顔をあんなに殴ったのは、あなたでしょう!?」



なぜ断言してんですかね、君は。



「いや、俺じゃないが」


「そうそう、違う違う」



なぜなら、ボコボコに殴ったのは私だからです。

自分の思い込みだけでここまで人を疑える人って初めてだし、面白そうだからすぐには言わないけど。



「あんなにひどく腫れるなんて……いったいどれだけの力で殴ったんですの!?」



壁を軽く破壊できるぐらいの力ですね。



「しかもお顔を徹底的に狙うなんて……どうせ、あなたよりリョウガさんのほうが素敵なのに嫉妬なさったんでしょう!?」



いえいえ、むしろカインは自分の容姿に無頓着です。

寝癖寝跡がついてても、平然と家の外に出ようとしますから。

私、この一週間で何回そんなカインを止めて身だしなみを整えたと思っているんですか。

龍雅をボコボコにしたのは、単に私が龍雅をア○パンマ○にしたかっただけですから。



「なんて酷い方なんでしょうっ!!?」



いやいや、なんて酷い妄想力なんでしょう。

ここまで妄想力が逞しい人、初めて見ましたよ。



「えっと、サフィ?あのね、これは……」


「リョウガさんは黙っていらして!!」


「う、はい……」



で・た・よ!このヘタレが!!

ちょっくら女に強気に言われたからって、んな小動物みたいに耳垂らして凹まないでよ。

大多数女子が鼻血噴いているでしょうが。

いやだなぁ、編入して早々に教室が流血沙汰なんて。



「……なぁ。お前が真面目に、かつ正直に話したら済んだ話だろうが」


「え、なに?カイン、私の内心読んだの?」


「……声に出してたから」



呆れきった様子でため息をつくカイン。



「とりあえず、(確実にめんどくさくなるから)聞こえないように俺達の周辺に遮音の結界を張った」



いやだわ、気づかないうちに声に出しちゃってるとか。

ナイスフォロー!カイン!

フォローしてくれたし、ちゃんとカインへの疑いは晴らしておこう。

単にバラすだけなんですけどね。



「逞しい妄想を力説してるとこごめんね?龍雅の顔面殴りまくったのって私だから」


「なんですって!?妄想とはどういうことですの!?第一、龍雅さんのお顔を殴るなんて、あなた、どういう神経をなさっているのかしら!?」


「え、推理も何もないさっきまでの思い込みの言いがかりを妄想と言わずしてなんと言う?あと、顔面殴ったのは単なるお仕置き。むしろ、顔面だけですんでよかったねぇ、龍雅?」



ギャーギャー喧しい金髪娘から固まっている龍雅に視線を移せば、首がそのうち取れるんじゃないかってくらい何度も頷いた。



「はい!本当にすいませんでした!!たぶん二度とやりません!!!」


「たぶん?たぶんって何?え、もっかいアンパ○マ○にリターンをお望み?というか、懲りてないわけ?え、馬鹿なの?馬鹿でしょ?馬鹿だよね。脳みそ腐ってんの?それかその頭に学習という言葉は入っていないの?あ、それかマゾか。Mなんだね。ドMだったんだね。悪いね、幼馴染なのにそんなの知らなかったよ。ドMヘタレなんていらないから関わらないでね?ていうか話しかけないでね。あと、またどっかに行きそうな時は独りで逝ってね。もう巻き込まれたくないから。二度目があったら、股の間にぶら下がってるもん、千切って摩り下ろしてから豚の餌にしてやるんだからね?」


『ひぃっ!!』



……あれ?

龍雅以外の男子諸君まで青ざめて前かがみになっちゃいました。

想像力逞しいなぁ。



「……愛良」


「なに、カイン?」


「……奴はどうでもいいが、同じ男として言っておく。それだけはやめてやれ」


「……」



やっぱりカインって、龍雅のこと嫌いだよねぇ。

うん、いいことだと思います。

無意識に女の子を誑かすイケメンは滅んでしまえ。

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