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140.危険人物がいるときは保護者を連れましょう

視点は愛良ちゃん→カイン→愛良ちゃん→シン君に変わります。

ころころ変わってすみませーん(汗

◇◇◇◇


「ふはー……気持ちいー……」


ただ今お風呂に入ってのんびり中。

お風呂はカインに穴掘ってもらって、お湯を溜めた簡易露天風呂です。

ちゃんと不可視の結界も張ってるから、お外でもノー問題。

男子諸君はお外で見張り兼順番を待ってますし。


「外で入浴をするなんて恥ずかしいと思いましたけど、解放的でいいですね」

「初め、て……気持ち、い……」


ラピスはほんのり頬を赤くしてくつろいでいるし、ルナはとろけそうな表情で鼻の下までお風呂に浸かってる。

うん、二人とも色っぽい。

とくにラピス様。

立派なお胸様がお湯に浮かんでいらっしゃいます。

羨ましいなぁ…………なーんて思っていたら。


「………」


ルナがジト目でこっちを見ていました。

あれ、なんか怒ってます?


「……ルナ?」

「どうしたんですか?」

「………」


無言のままお湯に使りながら顔だけ出して近づてくるルナちゃん。

……ちょっと、威圧感が半端ないですよ?

何でそんなにむっすーとしてらっしゃるの?


「……えい」

「ふみゃぁあ!!?ちょ、ルナぁ!?」


ルナちゃまのとった行動に、思わず変な声が出てしまう私。

そんな私を見て、ラピスが小首を傾げた。


「あら……。ルナって、意外と大胆ですね」


違いますよね、ラピス様?

そういう問題じゃないですよね?


「ルナぁあ!?何急に胸触ってきてんのっ!?」

「アイラ……裏切った……」

「はい!?」


何でそんなに泣きそうな表情?

泣きそうになるのは私じゃないのかなっ!?


「アイラ……胸、おっきく……なって、る……ぐす」


え、ちょ……ルナが泣き出しちゃったんですけど。

胸は……確かに最近ちょっと膨らみ出てきましたが!

諦めなくてよかった!


「あら、本当。海に行った時よりも少し大きくなってません?」

「うきゃあ!?」


ちょ、今度はラピスが後ろから揉んできましたよ!?

しかも背中にはラピス様の柔らかいお胸様が当たって、ちょびっと嬉しかったのが一気にしぼんじゃったけどね!!


「ラピスまで触らなくてもよくないですか!?ていうか、今揉んだでしょ!?」

「いえ、アイラの悲鳴が面白くてつい……」

「絶壁、同盟……解散……ぐす」


私を間に挟んでセクハラしてくるお二人。

いやいや、何で私だけ羞恥プレイさせられてんですか!?


「ふふふ……外の男子たちの様子(特にカイン)が楽しみですね」確信犯

「ぐす……ラピス……半分、分けて……?」半泣き







◇◇◇◇


「「「…………」」」


愛良たちが風呂に入っている間、外で見張りをしていた俺たち。

さっきまでは普通に話していたんだが、今は完全に沈黙している。

……だって、仕方ないだろ?

愛良たちの話声が丸聞こえだったんだから。

しかも、話題が愛良の胸の話だし。

不可視だけじゃなくて、遮音の結界も張っておけよ……。

……まぁ、確かにさっき愛良を抱きしめた時、いつもと違う感じはしたんだが。

ということは、クソ神の『絶壁の呪い』は解けたのか。

少し楽しみだな…………って俺は何を考えているんだ!?

違うだろ!


「おーい、カインー?お前、さっきから頭を振ってるけど大丈夫かー?女子の裸とか胸のデカさとか妄想したくなる気持ちは分かるけどな!」

「黙れ」

「ぎゃんっ!?」


グレイ。

お前はなんで『分かる分かる』って表情で俺の肩を掴むんだよ。

思わず蹴りをいれてしまっただろうが。


「まぁまぁ、カイン君。いっそ好きなだけ妄想さしてあげて、ラピスちゃんにボコボコにしてもらったらいいんじゃないかな?」


ニコニコと笑ったまま提案してくるルート。

……ルート、お前は本気でグレイを抹殺したいんだろ。

目が真剣だったぞ。


「なんで俺だけなんだよ!?ルートだってルナの絶壁宣言で顔真っ赤にしていただろっ!」

「わーわー!そんなに大きい声で言わないでよ!」

「事実だろ!」

「グレイにだけは言われたくないよ!グレイだってルナの『ラピスの胸の大きさ半分に分けて』って言ったところでニヤけてたじゃん!カイン君だって愛良ちゃんのとこで色々想像してたし!」

「おい、俺を巻き込むな!」


ルート、グレイのことだけでなく何で俺のことまでそんなに大声で暴露してくれてるんだよ!?

愛良たちに聞こえるだろうが!?

……そう思ったんだが、残念ながら俺たちは遅かったらしい。


「うふふふふ……グレイったら、本当にお馬鹿さんですね。ウォーターランス(×50)、アイスランス(×25)」

「むぅ……忘れ、て……ダークインパクト」

「記憶が飛ぶまで殴り飛ばす!!」


いつの間にか、服を着た愛良たちが結界から出ていたから。

ラピスの周りに浮かぶいくつもの水の矢と槍、俺たちの後ろには闇の渦が今にも飲み込まんと渦巻いている。

そして止めに、鉄ハリセンを手の中で打ち鳴らす愛良。

うん、そのまま俺たちの意識は飛んだから後のことは知らない。

とりあえず、不用意に女子の話を聞くべきではないな……。









◇◇◇◇


サバイバル二日目。

カイン達男子はまだ寝こけている(気絶しているとも言う)ため、ルナとラピスに拠点の見張りを任せて、私は一人で食材探しにきています。

私一人だけだから、たまに他のチームが襲ってきたけど全部返り討ちにしてるから問題なしです。


「昨日はバーベキューだったし、今日はお鍋がいいなぁ」


パールの形状変化の能力を使えば、いくらでも調理器具に変えられるし。

あ、でもお野菜がないねぇ……。

だけど食べられる野草はそれなりにあるみたいだし、問題ないかなー?


「あーっ!?受付嬢!?」


……んー?

野草摘んでたら、どっかで聞いたことある声が聞こえてきたや。


「あれ、シン君?」


今期から入学してきたばかりの転生者くんでした。

あれ、一人だけ?


「おはよー。まだ生き残ってたんだねー。一人?」

「おはよ!そして朝から失礼だぞ!?俺のチームはさっき『愛良ぁああ!どこに行ったのぉおお!?』とか叫びながら大暴れしていた変なイケメン野郎に潰されたんだよ!!」


うん、律儀にあいさつを返すなんていい子だね。

そしてチームメイトはヤンヒロの犠牲になったわけですね。

この子が来た方向には絶対に近づきません。


「それでどうしたの?私と勝負したい?」


今は野草採ってるから後にしてほしいんだけどなーって思いながら質問すると、シン君は首が取れるんじゃないかってくらい横に振った。


「自分から死に行くようなことはしたくないし!」


いやいや、不死結界がこの島全体にかかっているんですから、死にませんよ?

失礼な子ですねー。


「じゃあなんで声かけたの?こっそりしてたらよかったのに」

「いや、受付嬢が見えたから思わず声かけちゃった。ついでだから聞くんだけどさ、受付嬢は何人くらい潰した?」


何人か……。

そういや、全然確認してなかったなぁ……。

腕時計に魔力を流して確認すれば、浮かび上がってくる数字。


『撃破数:45人 残り:382人』

「45人だねー」


昨日は龍雅のヤンヒロぶりにビビッて対して戦闘してなかったけどご飯時に来た敵チームの人たちは返り討ちにしてたし、朝も食材探しで何チームか倒していたからこのぐらいかなぁ。

まぁうちのチームはみんながみんな、結構な人数潰しているから上位の方には入っているだろうけどね。

だけど、たぶん撃破数一位はダントツでヤンヒロだと思う……。

ヤンヒロがどのくらい人数を減らしているのかは考えたくもないですけどね。


「マジで?そんなに!?俺、20人くらいしか潰してないんだけど、成績ヤバい?」

「さぁ?不安なら他のチームを潰しに行けばいいんじゃない?」


今回は撃破数だけじゃなくてちぃ兄ちゃんのトラップ回避力もみるって言ってたから、トラップに引っかからないことも大事だと思うけど。

まぁ、この子はしっかり説明を聞いていないのかもしれないけどねー。


「いや、潰しに行くのはいいんだけどさぁ。俺のチームって、俺以外全滅じゃん?正直一人だと不安なんですよねー」


ちらっとこっちを見ながら口を開くシン君。

……この子は何が言いたいのかな?

一人じゃ寂しいから、私たちのチームに来たいってこと?

まぁ、ルールに敵チームと協力しちゃダメとは言ってなかったけども。


「そんだけ膨大な魔力を持ってて体も頑丈なんだから、一人でも問題ないと思うよ?」

「いや、あんたはその俺よりも強いっていう謎な人ですから。受付嬢が実は最強なんですかってくらい強すぎだから」

「そう?私よりも強い人なんていくらでもいるけど」


お兄ちゃんズは当然私よりも強いけど、今はカインの方も強いんですよねー。

前は私の方がちょっと強かったけど、同じ馬鹿力を共有するようになっちゃってからは魔法に慣れているのも含めてカインの方が強くなっちゃったんだもん。

接近戦に持ち込めば何とか勝てるけど、勝率は半々ってとこ。

ついでに言うと、謎な強さを身に着けたヤンヒロも強いかな?

私はあの子に会った瞬間に敵前逃亡する自信があります。


「はぁ……」

「え、何で急にため息!?」

「いやいや、ちょっと軽く鬱りたくなる原因を思い出しただけですよ……」


もう本気で思い出すんじゃなかった。

あれだよ、下手に考えると現れちゃったりするんだよ。


「愛良、見ーつっけた♪」


ほら、こんな感じで。

……え?

シン君の肩越しに、キラキラした笑顔を振りまいている龍雅らしき人物が見える気がするんですけども……私の気のせいですか?

気のせいですよね!?

誰でもいいから気のせいだと言って!!


「愛良、顔色青いけど、どうしたの?」


君のせいです!!


「げっ……もしかして俺を追いかけてきたのか?」


嫌そうに顔を歪めるシン君。

そういえば、君のチームは暴走龍雅に潰されたんだっけ?

……よし!


「シン君!あの子がここに来たのは君の責任!よって、君が全力で相手して潰してください!」

「うえっ!?俺一人で!?受付嬢も手伝ってくれてもよくね!?」

「無理です!」


だって、あの子に近づいたら身の危険を感じるんだもん!

色々な意味で危険人物に成り下がっちゃってる人に近づくなんて、自殺行為と同じです!


「あ!愛良の顔色が悪いのは、寒いからだね!」


そして君はいつからそんなに人の話を聞かない子に育ったんですか。

いつか地球に戻って小母さんに言いつけるんだからね!?


「愛良ー、おいでー。あっためたげるから」


両腕を広げて満面の笑みで近づいてくる龍雅。

え、その腕何?

ちょ、近づかないでくれません?

もう泣くよ?

むしろ泣いちゃっていいですか?

いや、今泣いたらますます龍雅の勘違いスキルが52度ぐらい斜めな方向に発動されそう。

我慢しなきゃ。


「寒くないです。大丈夫です。むしろ近づかないでそのままリターンして下さい」

「やだなー。寒くないなら、何でそんなに顔色悪いの?あ、風邪!?愛良、もしかして病気!?」

「いや、病気なのって、むしろお前じゃね?」


シン君、的確なツッコミです。

だけど、先にあの子の歩みを止めてください。


「シン君!あの子を退場させてくれたら、授業料半額免除!」

「マジ!?おっしゃあああ!!!全力で潰してやるぜイケメン野郎!!見守ろう会の(強制)会員としてもお前の悪事は見逃せねぇえ!!」

「何でみんな僕と愛良を裂こうとするの!?勇者として勝手に召喚したんだから、愛良と一緒にいることぐらい見逃してよね!?」

「……は?勇者?お前が?」


龍雅の渾身の叫びに、無表情になったシン君。

げっ……。

シン君に龍雅が召喚された勇者だってばれた……。









◇◇◇◇


こいつが勇者?

うちのギルドの受付嬢を追っかけまわして、若干病んでるような奴が?

邪神にできれば殺してほしいって言われた勇者?

……でも、女神に勝手に殺すなって言われてたよな。

勝手に殺したら、男として機能しなくなるようにしてやるって。

……うん、殺すのはやめとこ。

だけど、邪神の復活を邪魔してくるなら消してやる。

お前は好きな女と一緒にいられなくなったとか言っているけど、俺は邪神を復活させないと魂ごと消滅させられるんだ。

いくら女神の言うことでも、これだけは譲れない。

俺だって、まだ死にたくないんだからな。


「こら龍雅!何さらっとネタバレしてんの!?」


受付嬢もこいつの知ってたのか?

あ、でも受付嬢なら何でも知ってそう。

というか、受付嬢も名前の響きもそうだし、さっきのこいつの言葉からすると地球出身ということになるのか?

思わず無言になった俺に向けて、慌てて手を左右に振る奴。


「あっ!?ごめん、今の嘘!」

「いや、ばっちり聞いたけど。お前馬鹿?」

「う……」


いや、何ショック受けた表情してんの?

やっぱり馬鹿だろ?

思わず冷めた目をする俺の後ろで、受付嬢がガクガク震えながら口を開いた。


「ヤンヒロ状態の時は猪突猛進で物事を深く考えないの」

「ヤンヒロ?何それ。新しい単語?」

「病んじゃった勇者ヒーロー略してヤンヒロ。そして私は全力で逃げてもいい?」

「えっ!?愛良、何から逃げるの!?逃げたい元凶は僕が退治してあげるから行かないで!?」

「元凶は君だから!」

「ええ!?僕はただ愛良と一緒にいたいだけだよ!?なんなら愛良のチームの人たち全員潰して迎えに行った方がいい!?僕と愛良が一緒のチームになれなかった最たる原因だもんね!うん、潰しに行くよ!!」

「絶対に来ないでください!!」


ああ、確かにヤンヒロだ。

ついでに言っとくけど、受付嬢のチームには俺んとこのギルドの次期ギルドマスターがいるんだろ?

いくら勇者って言っても返り討ちが関の山だって。

カインに俺、全く歯が立たないし。


「あー……まぁ、こんだけ嫌がってるんだし、やめとけば?それにうちのギルドの受付嬢に手を出されたら、俺が他のギルメンたちに殺されるし」


学園が始まるまでお世話になった寮で、さんざん先輩ギルメンたちに言い聞かせられたからな。

『カインを暖かく見守ろう会』について、筋肉おっさん達に囲まれて延々と。

うん……思い出すと、何か悲しくなってきたな……。


「何?君も僕と愛良の仲を邪魔するの?」


さっきまで受付嬢を見ながらデレデレした笑みを浮かべていたヤンヒロの目つきが、一気に険しくなった。

別に好きで邪魔するんじゃなくて、義務感ですから。

そりゃ涙目でちょっと震えている受付嬢は、女神の次にドストライクされちゃいそうな可愛さだけどさ。

それよりも筋肉マッチョ達に囲まれる方が嫌なんだよ!

勇者ってだけでも嫌いになるには十分なんだから、いっそ全力で邪魔してやるよ!


「ねぇ、何で僕の邪魔をするの?僕はただ愛良の傍にいたいだけだよ?この世界に来るまで、愛良はずっと僕の傍にいたんだよ?それを邪魔するって何なの?君はいったい愛良の何なの?君に僕の行動をどうこう言う権利があると思ってる?ないよ?ないんだよ?分かってる?それとも愛良に気があるの?え、そんなの許さないよ?そんな気が起こる前に君、消すよ?」


「…………」


真顔で言いながら歩いてくる勇者。

……ヤンヒロこえぇええ!!!

何こいつ!?

超こわっ!!

え、俺逃げていい?

ガクガク震えて木にしがみついている半泣きの受付嬢残して逃げてもいいですか!?


「愛良を狙う奴が多すぎだよね、この世界。前は愛良の靴箱にラブレターを入れてても、ちょっとお話しただけで諦める奴ばっかりだったのに。他の人が愛良と話さないように、授業が終わったと同時にクラスに迎えに行って頑張ったんだよ、僕は。なのにこの世界に来てから全然うまく行かないし。やっぱり愛良は僕の目の届く範囲にいたほうがいいよね。ずっと。うん、そうだ。愛良はやっぱり僕の部屋で一緒に住んだ方がいいよね!愛良、僕とずっと一緒にいようねがあああ!!!?」


こちらを戦慄させるヤンヒロが、途中で悲鳴を上げて空に舞った。


「いや、そんなの許すわけないだろ。お前、いい加減死んでくれないか?」


殴り飛ばしたのは、いつの間にか現れた時期ギルマスのカインだ。

戦慄のヤンヒロに臆さずに上空まで殴り上げるとか、すげぇええ!!


「……ふぇえええん!!カインんんん!!」


木にしがみついていた受付嬢がカインの姿を見るなり、我慢できなくなった様子で号泣しながら勢いよく抱きついた。


「気絶させてごめんなさいぃいいい!!ありがとぉおおお!!」


あ、いつも一緒にいるのに珍しく一人だと思ったら、受付嬢に気絶させられてたんですね。

カインも苦労してそうだなぁ……。


「愛良。昨日のは俺も悪かったから、とりあえずは落ち着け」


左手を受付嬢の背中に回し、右手で頭を撫でるカイン。


「一人で離れてごめんなさいぃいい!!ヤンヒロ怖いぃいい!!」


受付嬢は必至にカインにしがみ付いてるし。

え、なにその羨ましい構図。

リア充滅べ!!


「おい、シン」

「うえっ!?はい!」


今、俺声に出してなかったよな!?

すんげータイミングで声かけられたんですけど!?


「そろそろ奴が落ちてくるから、お前の真上に向けて魔法を撃ちまくれ。俺は愛良を落ち着かせるのに忙しいから」


撃ちまくるのはいいけど!!

その羨ましい理由は何ですか!?


「いいからやれ。魔法の練習もできて憂さ晴らしもできる。一石二鳥だろうが」


いや、そうれはそうなんだけどさ……?

目の前でイチャイチャされながらヤンヒロの相手をするのって、空しいんですけど!?


「ああ、それなら俺たちは離れるから、奴の相手を頼むぞ」


あっさり受付嬢をお姫様抱っこして離れようとするカイン。

ええっ!?

俺一人でヤンヒロ相手にすんのっ!?


「俺たちの拠点は滝のすぐ傍だから分かるだろ。奴に勝てたら飯ぐらいは愛良も食わしてくれると思うぞ」


カインの言葉に、しゃべる余裕もない様子の受付嬢がコクコクと頷く。


「いや、そういう問題じゃなくてですね!?」


そりゃ、たまに食わせてもらった受付嬢の飯は美味かったけど!

だけど、一人でヤンヒロに立ち向かえるだけの勇気は俺にはない!

実力的にどうかは知らないけど、生理的に関わりたくない相手なんです!!

ぶっちゃけ俺は今すぐこの場から逃げたい!!


「まぁ逃げてもいいが……その場合、俺たちの拠点には近づけさせないぞ?」

「ええっ!?」

「同じギルメンだとしても、今は敵チームなんだ。見返りを求めるのは当然だろ」

「そりゃそうだけど……」


色々な意味で危険度MAXなヤンヒロを相手して美味い食事にありつくか。

精神的安寧のため、この場を逃走して飢えに悩むか。

二つに一つ。

……この究極な選択、なんなんですか?

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