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131.子供の教育に害あるものは排除しましょう

最後にちょこっとカインさん視点がでてきます。

◇◇◇◇


「すっきりしたー!」


本気ですっきりしたから、思わずギルドの真ん中で大声あげちゃいました。

……あらら?

何でみんな壁際にいるんですか?

あ、私が真ん中に大穴開けちゃったからか。

龍雅たち(inドデカプリン)は強制転移させて、穴は塞いで床も戻して……。

はい、元通り。


「マーマ!」


さっきまで龍雅の声に驚いて涙目だったリーンも、すっかり笑顔だね。


「愛良、あいつらは一緒に埋めたのか?」


リーンの後ろからゆっくり近づいてきたカインの質問。

いい質問だね!


「ドデカプリンごとお城の庭に転移させました!大兄ちゃんに『お土産だから、好きにしていいよ♪』って手紙付きで!」


変なこと言った龍雅はお兄ちゃんにお仕置きされたらいいと思うもん!


「鬼畜太子か……」


ありゃ?

お兄ちゃんの名前を聞いた瞬間、カインが消えちゃった。

すぐに帰ってきたけど。


「これも送っておけ」

「ん?ボイスレコーダー?」

「時間を少し遡って、さっきの奴の台詞を録音してきた」


つまり、カインさんは龍雅の再起不能を確実にしたいんですね。

まぁいいけどね!

むしろ、変なこと言いまくる龍雅は二度と私の前に現れないでください。

てなわけで、プリンの傍にちゃんと送りました。

せいぜい鬼畜なお兄ちゃんにお仕置きされてしまえ!


「じゃあ帰るか」


ボイスレコーダーを送って、カインもすっきりしたみたいだし、もういいよね。


「うん、帰ろー」

「ちょっと待ってくれるかしらー?」


はい、帰る気満々になったところで後ろからマスターに肩を掴まれました。

お化粧ばっちりのにっこり笑顔付きで。


「あなたたち、何の説明もなしに帰れると思っているのかしら?……て、二人して何しているのよ」


問いただそうとするけども、それよりも先に私たちの行動を見て胡乱げな表情になるオカマスター。

具体的に言うと、カインが抱っこしているリーンの目を片手で隠してて、私が前からリーンの耳を両手で塞ぎました。


「いや、親父の姿を見せたくなくて、つい」

「マスターの裏声口調を聞かせたくなくて、つい」

「………」


カインと私の本音に、マスターが床に手をついて項垂れた。

だって、純粋な子どもに決して見せたくない姿と、聞かせたくない裏声のオネェですからね。

親として条件反射で動いてしまいましたが、何か?


「パーパ、マーマ?」

「リーン、ちょっとしぃちゃんと一緒におもちゃ空間で遊んでてくれる?クロちゃんに来てもらうように伝えておくからねー」


説明しましょう!

おもちゃ空間とは、カインが無駄に買いまくってくるおもちゃを収納している空間のことです!

買い物に行くとリーンが欲しがるままに買うからね、カインは。

親馬鹿全開です。

ちょっと買いすぎと、そろそろ怒ろうかと思ってますもん。


「あい!しーたん!あしょぼ!」

「わーう!」


おもちゃ空間が大好きなリーンは喜んでしぃちゃんと一緒に入って行きました。

クロちゃんこと、リーンの使い魔(仮)クロノスにはカインが念話したので、問題なしですね。


「よし!じゃあマスター。聞きたいことはなぁに?」


私がそう聞くと、マスターは顔をバッと上げるとカインに掴みかかった。


「さっきの子は、誰の子なの!?銀髪金眼だったけど、まさかカイン!どっか余所で作ってたんじゃないでしょうね!?」

「違う!!」

「ぶっ!」


オカマスター、盛大な勘違いをされていました!

ぎょっとした様子でカインが否定しているけど、確かに銀髪金眼ってカインと同じだからそういうふうに思っても仕方ないですけど……オカマスターのお顔とカインの必死すぎる否定に、思わず噴き出したじゃないですか。


「じゃあ何であなたにそっくりなのよ!?」

「違うって言ってんだろうが!人の話を聞けよ!!?愛良、さっさと説明しろ!!」

「はい、カインの(養い)子です!」


ちゃんと説明しましたよ?

あ、養いってところを言うの忘れていたやー……いやーうっかりうっかり(確信犯)


「カインー!?あんたって子はぁあああ!?」

「愛良ぁああ!?」


息子の不貞に殴りかかるオカマスターと、必死にその拳を避けながら私をにらみつけるという芸当を披露するカインさん。

パニックを起こしている人を見ると、さらにパニックにしてみたかっただけなんです。

えへ♪反省も後悔もしていません!






とりあえず、パニックって自分の息子をボコっているマスターを、マスター室まで引きずって移動。

割合するけど、ちゃんと説明したからね?

カインにはいっぱい恨み言を言われていますが。


「なんでお前は話をややこしくしようとするんだよ。なんで俺が親父にリンチされなきゃならないんだよ。なんでお前と同じ体してんのに親父にはきかないんだよ。本当なら親父の拳がダメになるはずだろうが。お前だろ?お前が何かしたんだろ?すぐに治るにしても痛いんだぞ」


はい、殴られている間はカインの身体能力を普通の人間の状態にしていました。

だって息子がもう人間じゃないことに気づかれたら、マスターが可哀相かなって思ったんだもん。

カインはすぐに治るから大丈夫だし、今までもそんな関係だったんだからいいでしょ。

鬱帝になって抱きついてくるのは鬱陶しいけど。

今も何か椅子に座っているカインの膝の上で座らされているという、謎な体制ですけど。

慣れたからかもう気にならないし、この人は放っておきます。

好きなだけ鬱っててください。


「じゃあ、あの子は帝国の皇子なのね?」

「そうですよー。皇帝さんが不穏分子を一掃するまで預かることになりました。それまで私たちの元で育ててほしいとのことです」

「まぁ……あんたたちなら、最強のボディガードでしょうけど。皇帝は、あなたたちがこの国の全帝たちであることを知っているの?」

「「………」」


オカマスターのごもっともな質問に、思わず沈黙する私とカイン。

……あれー?


「そういや言ってないですけど、どっちにしろリーンが私たちに懐いていることを重視している親馬鹿さんだったんで、特に問題ないかと思います」

「冷酷で知られている帝国の皇帝が親馬鹿……」


確かに無表情でちょっと強面のオジサマだったけど、なかなかお茶目だったよ?

豚犬さんとかに対して。


「とにかく、あの子はしばらく私たちが面倒見ることになったんで、家が騒がしくなるかもなんですけど大丈夫です?ダメなら寮に戻るんですけど」

「騒がしくなるくらい大丈夫よ。あなたたちの子どもとして暮らすんだから、私にとっては孫だもの!」

「「……あっ!?」」


思わず私と鬱帝になってたカインが同時に声を上げた。

そうか、カインをパパって呼ぶなら、マスターはおじいちゃんになるんだ……。

いや、おばあちゃん?

どっちになるの!?


「マスター!リーンに『おじいちゃん』って呼ばれたかったら、ちゃんと男の格好してください!」

「あと、男口調で頼む。それができないなら、俺たちは別に家を買うから」


寮に帰るとかじゃなくて家を買うんですね、カインさんや。

まぁ買えるだけの財力は十分あるけども。


「ちょ、待ちなさい!何でそうなるのよ!?」

「「リーンの教育に悪い」」


いやはや……それ以外、何の理由があるんでしょうか?

そこって一番大事なことですよねぇ?


「教育に悪いって……カインは、これで育ったのよ?」

「俺の場合は7歳で、そういう趣味の人もいるんだと理解できていた。リーンはまだ3歳だ」


うん、3歳児にオカマの趣味を理解することは難しい。

というか、悪影響を与えそうで怖い。


「親父、どうする?」


俺たちがどう行動するかはマスター次第だぞ、という脅しですね。


「……男の格好をします」


あ、折れた。

何十年かは知らないけど、マスターのオネェ人生が閉じた。

全帝時代からオネェだったんだよね?


「そう簡単に治るものかね?」

「この際だから、意地でも治させる」


あら、カインが燃えてるわ。

好きにしたらいいよ、君の養父だから。

ふー、なんか疲れた。


「うわっ……」

「カイン。君、失礼だね」


私はただ後ろにいたカインにもたれただけですよ?

君の膝の上に私を乗せたのは、カインだからね?

何驚いてんのさ。


「……愛良ちゃん。カインがくっついてから結構時間経ってるけど、何にもしない……のか?」


あら、偉い。

マスターはさっそく男口調を頑張っている。

ちゃんとリーンには『おじいちゃん』と呼ばそう。


「カインがくっついてくんの多いから、慣れたみたいです」

「「……よしっ!」」


何やら後ろにいるカインとマスターが、ガッツポーズをしていた気がするけど知らない。

そろそろ夕飯の準備しなきゃね!







◇◇◇◇


「じゃ、マスター。先に家に帰ってご飯作ってるねー」


そう言うなり、俺の膝から降りる愛良。

……もう少しあのままでよかったのに。

と思いながら愛良について親父の部屋を出ると。


「カイン。願望がだだ漏れだ」

「黙れ」


廊下の窓から入ってきたコウモリが、俺の肩に止まった。

コウモリの後ろからは黒い子猫がついてきている。

コス王と、新しく俺の使い魔になったルシファーだな。


「あ、コス王にルシファー。お帰りー。引っ越しは終わった?」

「お嬢、ただいまー!」

「おうよ!引っ越し終わったぜー!ついでにドッキリもしかけてきた!」

「くー!やっぱり仕掛けたからには見てこればよかった!!」


魔王城から荷物を持ってくるだけなはずなのに、何をしに行ったんだ、お前らは。

魔族たちに対してトラウマでも植え付けにいったのか。


「あ、そ。じゃあ家に行くよー」


そして愛良は全く興味なさそうにスタスタ歩いている。


「あれ、お嬢?俺様たちがどんなの仕掛けたのか聞いてくれないの?」

「嬢ちゃーん?魔族の情報とかもあるんだぜ?気にしないのか?」


その愛良の後ろを追いかける、かまってオーラ全開のコウモリと子猫。

そんな小動物たちの姿をちらりと見てから、愛良は人差し指を顎に当てて首を傾げた。


「んー。別に気にしないかなぁ。天使さん……もとい、セラフィムさんから超長いメールもらって知ってるし」

「「「は?」」」


そんなの俺は初耳だぞ?

いつメールを読んでたんだ、お前は!?


「超長いから要約すると、『扉を閉め忘れている間に幼女な魔族が邪神の神殿に侵入して邪力を手に入れて魔王城に攻め込んじゃいました、ごめんなさい!』て感じだったからなぁ。神殿上の学園には手を出さなかったみたいだし、今のとこ喧嘩売ってこない限りは放置しとこうかな……と」

「ちょっと待った」


今の情報、この国の全帝として放置できない内容だったんだが。


「え、問題なさそうだよ?」

「あーうん、お嬢の言うとおり。確かに害なさそうだったぞ」

「リディたんに害なんてない!リディたんにあるのは愛らしさだけだ!」

「あー……そうか」


今のルシファーの言葉で、こいつ好みの幼女であることが分かったぞ。

相手が幼女なら、このロリコン変態が勝手に動くな。

むしろ、その魔族の幼女に同情しておこう。

今日はもう色々疲れたし、さっさと飯食って寝るか。

~お城の庭園にて~


長男「ふむ……土産と書いてあるが、汚物(龍雅たち)が入っているものは、さすがに食えんぞ。……ん?ボイスレコーダー?」再生ボタンをポチ

龍雅『愛良がママなら、パパは僕でしょ!?』

長男「………」

龍雅『やっぱり愛良は僕と一緒に住もうよ!お金も溜まったから、愛良をちゃんと養えるし!』

長男「…………」

龍雅『愛良は僕のなんだから、守るのは僕だ!!』グシャ

長男「……………よし、今からお仕置きをするとするか」黒い触手を影から生やしながら


……その後、汚物たちは長男の姿を見るだけで吐血するようになったらしい。



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