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128.リーンの使い魔を召喚のはずなのに

お久しぶりですー。

まだ異動した部署で慣れなくてヘロヘロですー。

誤字脱字が多かったらすいません!


視点はカイン→愛良→コス王と変わっていきますのでー。

◇◇◇◇


「リーンの使い魔を召喚したいと思います!」


海で散々遊んで予約していた宿屋に戻ってくるなり、いきなり愛良が宣言した。

ちなみにルナたちは別の宿屋を取っていたから、ここにはいないんだが……突然、何なんだ。


「う?ちゅかいみゃ?」

「使い魔な」


ほとんど言えていないリーンに訂正を入れながら、頭を撫でる。

とりあえずパパはママの話を聞きたいから、シリウスと大人しく遊んでてくれ。


「お嬢、急過ぎじゃない?」

「コス王の言うとおりだ。第一、リーンの封印は解けていないだろ。契約するには魔力を流し込む必要があるのに、どうするつもりだ?」


この幼さでリーンの中にある膨大な魔力の封印を解いたら、膨張した魔力でここいら一帯が消し飛ぶのは確実。

なにより、リーンの小さい体には負担がかかり過ぎる。

召喚術を使って喚ぶだけなら血を使えばできるが、契約するにはどうしても魔力が必要になってくる。

どうするつもりなのかと思って愛良を見てみれば、当の本人はいつもの不敵な笑みを浮かべていた。


「問題ないです。仮契約してもらおうと思ってるだけだし」

「仮契約か……」


たしか、稀に自分の力量に合わないのを召喚してしまった時に、召喚された立場の奴から申し出があった時にのみ成立することだよな?

本契約するに見合うかどうかっていう、お試し期間みたいなもののことだが……それをこちらから申し出るのか?

いやまぁ、愛良なら有言実行でやるんだろうが。


「リーンのことを気に入ってもらえたなら、何年かして封印を解いた後で本契約してもらったらいいよね。この子、潜在能力は最初に会った時のカインと同じくらいだし、死神王兼冥界神のコス王ほどでないにしても、結構強い子来ると思うの」

「いや、それなら戦闘になる確率高いよな?リーンに指一本触れさせるつもりはないが」


というより、リーンに敵意を一瞬でも向けた瞬間に俺が相手になる気満々だ。

どんな相手だろうが、リーンには傷一つつけさせないぞ。


「当然です。幼気な幼子にガン飛ばしてきた瞬間に送り返します」

「え、送り返すのか?」

「ん?何か変?」

「いや……」


送り返すとか、まさかの愛良の方がまだ優しいやり方だった。

一番最初に倒すというのを思い浮かべてしまった俺がおかしいのか?

……まぁあれだ。

最近、鬼畜とか腹黒とかロクでもない奴の相手ばっかしてたから、感覚がちょっと鈍ってるだけだ。たぶん。……そう思っておこう。


「……リーンが怪我する心配、皆無じゃん。お嬢もカインも全力で守る気満々だし」

「わうわう!」

「あ、お犬様もでしたねー……」

「わーう!」


コス王の言葉に、大きく首を縦に振るシリウス。

こいつもやる気十分という様子だな。

そんな姿を見て、リーンの頭の上に乗っていたコウモリコス王がポツリと呟いた。


「……俺様、召喚された奴が可哀相になってきた」


それは、まぁ……召喚された者の出方次第だな。

なるべく説得ということで努力するが。

ひとまず、戦闘になった時のことも考えて俺と愛良の特訓用の空間に移動しておくか。

ここなら俺たちが全力を出しても何の問題もないから。


「うにゅ?まっちろー?」


抱き上げていたリーンが、不思議そうに空間を見回す。そういえば、リーンを連れてきたのは初めてだったな。

別に俺たちが住んでいる世界と同じような見た目にすることは可能だが、主にめんどくさいという理由で真っ白な空間のままだ。

どうせ森とか草原とか作っても、俺たちの特訓で破壊されるんだろうし。

それなら最初から何も手を付けていない方が合理的、という愛良の考えだ。


「リーン、ちょっと待っててねー」

「マーマ、いっしょ!ふふふーん♪」

「わうわーう♪」


鼻歌交じりに召喚魔法陣を描いていく愛良と、その愛良の鼻歌に合わせて腰をふりふり動かす踊るリーンとシリウス。


「めっちゃ天使!リーン!お犬様!こっち向いて!」


その光景を愛良特製魔導具のカメラとビデオで激写するコス王。

……俺もスマホの方で写真撮っとくか。

後でリーンの実の父親皇帝に送っておこう。

一日一枚は送ってほしいって言われてるし。


「よし、できた!リーン、こっちおいでー」

「マーマ!」


魔法陣の中心で呼んだ愛良に、満面の笑みで駆け寄るリーン。

大丈夫だよな……?






◇◇◇◇


「リーン、ちょっとお手て、チクってするけど大丈夫?後でママが、痛いの痛いの飛んでいけーってするから」

「うにゅ……あい」


恐る恐る手を出すリーン。

そりゃあ血を流す必要があるにしても怖いよね。

痛覚を麻痺させときたいけど、怪我しても痛くないものだって思われるのも問題だし……我慢してもらおう。


「ちょっとだけ我慢してね、リーン」

「うみゅ……」


パールを小型ナイフに形状変化させて、指先に少しだけ刃を埋める。

涙目でプルプル震えるリーン。

罪悪感が半端ないです。

血を魔法陣に垂らす前に傷口治してあげたい……いや、我慢するけどさ。

少し流れたリーンの血が魔法陣に落ちたのを確認して、魔法陣の外に出る。


「リーン。『お友達になってください』って言ってごらん」


『来いやー』でグレイも召喚できていたことを考えると詠唱なんて、あってないようなものだよね。


「えちょ……おともらちに、なってくらしゃい!」


小さい手で握り拳を作って一生懸命叫ぶリーン。

写真とか撮りまくってるコス王が鼻血ダラダラ流している。

カインが無言でビデオを色んな角度から回す。

何が言いたいのかっていうと、とにかく可愛いんです。


「う?」


あ、魔法陣が光って何か出てくる。

魔法陣から普通に人間っぽい感じの黒髪な頭が見えるし、やっぱり人型だね!

あとは子守りができる人だったら完璧!

顔まで出てきた人は、リーンを見るなり口を開く。


「何この天使な幼女様!お友達になります!ならしてください!今すぐお兄さんと握手を「チェンジで」ガフッ!!?」


あはは。

何かどっかで見たことあるロリコン変態堕天使な魔王だったから、思わず魔法陣ギリギリまで近づいて踵落としキメちゃったよ。

そのまま魔法陣から消えたけど、送り返して正解ですよね?

というか、うちの子は髪の毛長いけど女の子ではありません。


「さ、リーン。もう一回言ってごらん」

「なかったことにした!?」

「いや、今のはなかったことにするしかないだろ。愛良がやらなかったら、俺がやっていたぞ」

「わうわう」


次も変態だったら遠慮なくピコピコハンマー(衝撃波付)でモグラたたきだからね!

是非、別の子が来てください!


「えーちょ……おともらち、なって?」


あら可愛い。

次は小首を傾げてのお願いだね。


「カインと契約してなかったら喜んでお友達になってあげたのに」

「そういうのは、冗談でもやめてくれないか!?」

「……はい」


……結構本気だったんだけど、黙っておこう。

さて、次は誰が来るかな?

……灰色の頭が出てきたね。てことは、時くん?


「んー?突然何かと思ったら、お嬢ちゃんたちだったんだー?俺、今アニメ観ている途中なんだけどー?」

「それはごめん」


ほっぺをぷくーと膨らませながら不満げな顔をする時くんに、速攻で謝る私。

アニメ観ている途中で強制連行しちゃうとか、ほんとにごめんなさい。


「まぁ、お嬢ちゃんだしいいけどー。で、俺に何か用ー?使い魔召喚ので呼ばれたんだけど、俺を使い魔にしてくれるのー?」


え……そんなキラキラした目で見られると、言いだしづらいんですけど。

何故そんなに私の使い魔になりたがってるの、この子。


「えーと。期待していた所悪いんですが。私じゃなくて、この子と契約してほしいんだよね。主に、子守りをしてもらいたくて」

「ショック……」

「うん、ごめん。で、どうかな?」

「子守りはやったことないから無ー理ー」


時くんったら、両手で大きく×を作りながら首を横にブンブン振ってます……。

なんか、超必死という様子……。


「えーと……主な面倒は私達がするんだけど、ずっと一緒にいるってのも学院が始まったら難しいの。だから、その間だけみて欲しいんだけど……」

「無理ー。人間の子どもって、すぐに壊れちゃいそうで怖いー」


あっさり断るね、時くん。

気持ちは分からないでもないけど。


「だからー、子守りやったことある奴連れて来てあげるねー」


そういうなり魔法陣に引っ込んだ時くん。

あれ、召喚用の魔法陣って皆さん自由に出入りできんの?


「マーマ。リーンのおともらちはー?」

「さっきの人が連れて来てくれるってー。よかったね」

「あい!」


……ありゃ?

さりげなーくリーンが魔法陣の外に出てきちゃったけど、これって問題なし?


「連れて来たよー!」


あ、問題なしかな?

普通に時くん帰って来たよ。

片手にロリコン変態魔王を持って。


「幼女様ぁあああ!!みんな大好きお兄さんが帰って来たよぉおお!!」

「みゅ!?マーマ!」


ガバッと手を広げて、私が抱っこしているリーンに抱きつこうとする変態。

その勢いに驚いて半泣きのリーン。


「アウトッ!!」

「ぎゃうっ!?」


抱きついてくる前に、ピコピコハンマー(衝撃波付)で潰しました。

ピコッて可愛い音が鳴ってから、すんごい音立てて沈んだよ。

普通の道具に追加攻撃を付け足す新しい魔導具、大成功だね!


「じょ、嬢ちゃん……俺様は、ただ可愛い幼女様を抱っこしようとしただけなのに……」

「やっ!」


変態の言葉を聞くなり、全力で叫んだリーンが私の首にしがみ付く。

はい、残念でした。

リーンは嫌だそうです。


「そ、そんな……じゃあせめて写真1万枚と映像をとらせてぇええええ!!」


なんか発狂しちゃった?

だけどね、そんなこと無理だよ?


「リーンを泣かせるとか死ね変態!しかも、どさくさに紛れて愛良に抱きつこうとしやがって!!」

「がぁああああ!!」


カインとしぃちゃんがキレたからね。

2度目の登場+リーンを泣かせた変態にキレたカインとしぃちゃん(本来の大きさ)が変態の動きを阻止、かつ全力で制裁しました。

これは、まぁ……自業自得ですかね?


「お嬢ー。今のうちにリーン連れてこっち避難しとけ」

「あははー!変態は期待を裏切らないなー!」

「時くん……君、わざと連れて来たね?」

「イエース。だって、可愛い女の子見た時のロリコンの反応って面白いしー。あ、でも子守りが上手いのは本当だよー?」


ニコニコ笑って現在進行形でぼこられている変態を見ている時くん。

……時くんって、何気にSっ気があるよね。


「……この子、女の子じゃないよ?」

「リーン、おちょこのこなの!ちゅよいこなの!」


ごめん、リーン。

女の子と間違えられてプンプン怒ってるけど、髪長いし女の子にしか見えないよ。


「なん……だと……?」


そして変態はこの世の終わりかのようなショックを受けてる。

カインとしぃちゃんから制裁受けた割に元気だね?


「こんなに可愛いツインテール幼女様なのに、男の子……こんなに可愛いのに……」


魔法陣の上で座り込んだまま、うつろな目でブツブツつぶやく変態。

……何気に怖い。

視界に入れないようにしよう。


「マーマ。へんたいしゃん、こわーねー」


はい、怯えたリーンの言葉に変態は使い魔候補から外すの決定しましたー。


「時くん、他に子守り出来そうな人いない?」

「うーん、いることにはいるんだけど……まぁ、探して連れてくるよー」


なぜか微妙な顔して魔法陣から消えた時くん。

ついでに変態を連れて行ってくれたらよかったのに。

というか、なんだかやけにカインとコス王が静かじゃない?


「……愛良」

「お嬢、怒らないで聞いてね?」

「ん?」


なぜに二人とも、顔色真っ青?


「……変態ロリコンと契約してしまった」

「……へ?……パードゥン?」








◇◇◇◇


「どゆこと?」


リーンを抱っこしたままニッコリ笑顔のお嬢。

恐怖!カインなんか蛇に睨まれた蛙のごとく硬直しているぞ。

しょうがない、ここは俺が教えてやるか。


「あのですね、お嬢?ちょいとあのブツブツ言ってるロリ魔を潰すのにカインの奴、魔力を込めてたんですよね。その方が威力上がるし」

「で?」

「んでも一応あいつって召喚魔法陣で呼ばれたじゃん?召喚で呼ばれた場合って、魔法陣に契約補助もあるから、俺と直接契約した時よりも簡単にできるんですよね?」

「で?」

「はい、当の呼んだリーンは魔法陣から出ちまってて、代わりに中に入って凹ったのカインじゃん?やるときに魔力を込めちゃってたから、契約が成立しちゃったわけですね。リーンが呼んだレベルだと、カインでも普通に契約できちゃうし」


まぁ、他人が呼んだ奴と契約するのなんて初めて見たけど。


「カイン?」

「……はい」


おお、ついにカインが自発的にお嬢の前で正座しだした。

汗びっしょりだけどな。

リーンはリーンでカインが怒られるのを理解しているのか、静かにお嬢にしがみついてる。

そんなリーンを抱っこしたまま、カインの目の前でしゃがむお嬢。

怖い。

いっそ優しいとさえ言えるその笑顔が怖い!


「久々のうっかりスキルを発動したねー」

「ぐっ……」

「なーんで魔力を纏う身体強化じゃなくて、魔力を込める方を選んじゃったかなー」

「うっ……」

「というか、今の君は私の馬鹿力を共有してんだから、そんなことしなくても十分殺れたでしょうに」

「あ……」


カインよ……確かに元はお前の力じゃないから忘れていたのは分かるが、思いっきり顔にでてんぞ。

情けない……。


「まぁ、君のうっかりスキルはきっと直しようがないんだよ。諦めて変態のご主人様におなり」

「マジか……設定能力で無効にするのは……」

「だめ。自分のまいた種なんだから」


お嬢、ほんとにガンバレって思ってんのか?

声がめちゃくちゃ冷やかだったけど。


「まさかの変態と契約してしまうなんて……愛良がいないところで、こっそり契約をなかったことにして……」


いや、カイン。

テンパり過ぎて声に出てるぞ。

お嬢が怖いから言わないけど。

静かにキレてるモードのお嬢なら、声に出そうが考えていようが同じだろうけど。

というか、設定能力はお嬢の力なんだから、こっそり使ったところで絶対にすぐバレるって。


「そんなことするなら、先に私との契約を切るね」

「……諦めます」


お嬢の一言でどんよりした空気を背負った鬱帝。


「カインはそういう運命なんだよ」


それを見ながらニッコリ笑うお嬢。

……ドンマイ、鬱帝!

~海に遊びに行く前のやり取り~


鬱帝「リーン、男の子なんだよな?」

リン「あい!リーン、おちょこのこ!」

鬱帝「……なんで、髪の毛伸ばしてツインテールなんだ?」

リン「うにゅ?マーマ、きゅきゅーって」

鬱帝「……愛良、訳」

愛良「ほへ?だって、この子の髪の毛サラサラでさわり心地がいいんだもん。それに、色々な髪型ができるし!」キラキラ

鬱帝「つまり、お前が楽しみたいだけなんだな?」

愛良「そうともいう!」開き直り

鬱帝「……リーン。髪の毛を切りたくなったら、いつでも言えばいいからな?」

リン「にゅー?あーい!」意味分かってないけど元気にお返事


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