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119.自業自得の責任まではとれません

◇◇◇◇


『では、次の試合!!次は待ちに待ったアイラ・ラピスペアだ!被害者は今のとこドベのグレイ・ルートペア!勝敗はすでに決定だな!』


ん?

そういや私たちと一緒にグレイとルート君も参加していたんだっけ?

あの子たち、全然目立ってないからすっかり忘れていたよ。

というか、ドベなんだ。

つまりは……。


「……男二人がディープキス、ね……」


うっわぁ……マジで見たくないです。

これは負けてあげたほうがいいですか?

いいですよね。

……という意味を持ってラピスに視線を投げると。


「もう公害レベルですね。いっそのこと、試合に乗じて始末したほうがいいかもしれません」


まさかの抹殺する方向でした。

ラピス様、本気です。

綺麗な碧眼が、すっごく冷やかですよ?


「ひ、ひどい……」

「俺たちだって、好きでドベになったわけじゃない……」


ラピス様のお言葉に、ガタガタ震えるルート君とグレイ。

うん、怖いよね。その気持ちは分かります。

気持ちが分かるだけで、ラピス様に逆らうつもりはないのですが。


「ふぅー……じゃあカイン、コス王。リーンをお願いね。ルナは暴走しないように」

「……負けてやれ。頼むから」

「俺様も同意見」

「萌えない……負けて……」


切実という様子で訴えてくる3人。

いや、私は別に負けてもいいですけどね?


「あら。私たちが負ける予定はカイン達だけですよ?グレイに負けるなんて、考えられません」

「ですよねー……」


ラピス様がグレイに負けることを良しとするわけがないんです。

諦めてください。


「リーンちゃん?あなたもママが勝ってくれたら嬉しいですよね?」

「あい!マーマ!がんばりぇ!!」

「よし!頑張る!」

「「頑張らないでぇええええ!!」」


ごめん、無理な相談です!

可愛いリーンに応援されたら、頑張っちゃう!

全力で潰しに行くからね!


「……もうビーチバレーの趣旨が変わっているよな。リーン、(これ以上愛良を応援したらグレイ達が憐れだから)静かに応援しておこうな」

「うー?あーい」


カインが膝の上に乗せているリーンに言い聞かせているけど、もう遅いです。

あの子の応援を無駄にしないためにも、頑張って勝ちに行きますから!


『どっちも魔法が使えるみたいだし、今回はハンデなしでいいな!それでは死合開始!!』

「「ハンデつけてぇええ!!」」


別にそんなに必死にならなくてもよくないですか?

友達相手に殺す気でなんかやらないのに……勝つ気ではいるけども。

……少なくとも私は。


「うふふ……私に喧嘩を売っているんですか?二人とも」

「「ひっ……」」


ラピス様の笑顔を真正面から見ちゃった二人は見事に凍り付きました。

うんうん、ラピス様から冷気が漂っていて怖いですよね。

睨まれたくないので口にも態度にも出しませんが。


「アイラ……殺る気でいきますよ?」

「はーい。てなわけで、二人ともごめんねー?私も自分の身が可愛いのー」


ラピス様のお言葉に逆らわずにグレイとルート君の方に向けて両手を合わせると、面白いくらい二人の顔色が青から土色へと変わった。

きゃー、死人みたいになってるけど大丈夫なのー?

そんな決死の覚悟みたいな表情でボールを持つのやめようよー。


「絶対に負けられない!!」

「負けたら社会的に死んじゃうよ!!」


必死な形相でボールをうつグレイ、半泣きで身構えるルート君。

ごめんね、私もラピス様には逆らいたくないのー。


「アイラ、どうぞ」


ラピスが飛んできたボールを綺麗にトスで上げる。

そんなボールに合わせるようにジャンプして……。


「アターック!」


本気を出したらボールが割れちゃうので、ボールが割れない程度の力でアタックしました。


「うぎゃあ!?」


ボールはグレイの足の間でバウンドし、そのまま後ろに跳ねた。

よし、狙い通り!


「ぐ、グレイ!?無事!?」

「お、おお……」


まさかのボールの動きに硬直していたグレイに、慌てたルート君が駆け寄った。

当てないように気を付けているんだから、無事に決まってます。

グレイは足ガクガクして震えているけどね!


「あら、アイラ。当ててもよかったのに。グレイならすぐに復活しますよ」

「カイン達みたいに、棄権されたらつまらないかと思って」

「ああ、楽しみは最後に残しておくんですね」

「うん!」


すぐに終わっちゃったら、観客もつまらないよね!

じわじわと長く楽しめるように頑張りますよ!


「怖いよ!二人とも怖すぎだよ!」

「ルート……諦めろ。あの二人を止められる奴はいねぇよ。俺たちにできることは、全力で避けることだ!」

「全力で避けたら社会的に死んじゃうんだよ!?」

「あ。……俺たちに逃げ道なし!?」

「だから、さっきからそう言ってるでしょ!?馬鹿なの!!?」

「「馬鹿だよ(ですね)」」


思わずルート君の言葉に思いっきり頷いちゃった。

だって、やっぱりグレイは馬鹿なんだもん!


『おーい。馬鹿が馬鹿なのは分かったから、続きをしてくれー』

「はーい!」


ガクガク震えている二人は放っておいて、さっさと試合をしないといけないね!

とりあえず、試合を再開して驚いたことを言っていいですか。


「ラピス様、カッコいい……」


ラピス様、さっきからアタックが上手過ぎです。

全部グレイの体ギリギリにアタックしまくってます。

私は神族の力でほとんどのことは完璧にできるけど、ラピスは違うもんね。

元からの才能?

もしもラピス様が地球生まれなら、確実に世界的なバレー選手になれてたと思うな。


「うふふふ……さぁ、いきますよ?」

「いぎゃああ!!なんで俺ばっかりぃいいい!!」


ラピス様ににっこりとほほ笑まれて絶叫をあげるグレイ。

その気持ちは分かるのだけどね。

ラピス様、さっきからものの見事にグレイしか狙ってないから。


「大丈夫!それだと不公平かなって思うし、私はルート君狙うから!」

「うそぉおお!?グレイの馬鹿ぁあああ!!余計なことを言ってないで、一人で狙われててよぉおお!!」

「ルート!お前、ひどすぎじゃねっ!!?」


んーと……今は14対0かぁ。

ちなみに、ほぼラピス様が入れています。

けど、どうしようかなぁ。

このままだと私たちが確実に勝つけど、この二人、あまりにも哀れだよね。

だって、男同士でディープキスだもん。

ラピスも楽しんだだろうし、もういいよね?


「ラピス」

「……はぁ。分かりました。グレイに負けることはとても……非常に不本意ですけど、仕方ないですね」


本当に渋々ていう感じでラピス様から許可が出ました!

よし、手加減満載のアタック!


「グレイ!」


私がアタックしたボールを受け止めたルート君が、ボールを上にあげた。

そのチャンスに、グレイの目が輝く。


「よっしゃぁああ!!」


身体強化したグレイが、高く飛び上がる。

そして……


パンッ!!!


強化し過ぎたアタックで、ボールが破裂した。


「……あれ?」

「……は?」


何が起こったのか分かっていない様子で首を傾げるグレイと、目の前の現実を認識できないで茫然とするルート君。

えー……せっかくチャンスを上げたのにー。


「やっぱりグレイは馬鹿ですね」


はい、ラピス様の冷たい目線がグレイに投げかけられましたー。

それよりも、ボールが破裂しちゃった場合、どうなるのかな?

新しいボールでやり直し?


『おおっと!?ようやくチャンスが訪れたと思われたグレイ選手だが、やる気になりすぎるあまり、ボールを破壊してしまった!!ゲーム終了だな!!勝者、アイラ・ラピスペア!!』

「うそぉおおん!?」

「てめぇグレイこの野郎ぉおお!!てめぇん家潰すぞごらぁああ!!?」


崩れ落ちるグレイと、マジ泣きで色々崩壊しているルート君。

……これって私たちのせいじゃないよね?

ドンマイ、二人とも!

ルト「試合が終わるまでにグレイを抹殺してでも罰ゲームは回避……」ブツブツ


グレ「ちょ、ルート!?お前さっきからぶつぶつ言ってんの聞こえているからな!?」


ルト「アクア家の時期当主である僕が、公の場で男とディープキスなんてできるわけないんだよ?もしも知り合いがこの場に居たら、僕の社会的立場が崩落しちゃうんだよ?」目が虚ろ


グレ「お、俺だってうちの家の時期当主!」


ルト「君の場合はすでにラピスちゃんにほぼ実権握られているもんだから、君がいなくても問題ないでしょ?僕は兄弟がいないから困るの。だからグレイ?ちょっと僕のために死んでくれない?」掌に魔力集め中


グレ「ちょ、お前、それ友達に向けていい量の魔力じゃねぇって!!」


ルト「僕のために死ねぇえええっ!!……って、あれ?」魔力霧散


グレ「……へ?」


司会「おーい、ドベが確定したお二人さん。お前ら、最後にお楽しみが残ってんだから潰しあいはするなよー?他の試合が終わるまでは魔力封印しとくから、大人しく見物してろよなー」ニヤニヤ


グレ「助かったはずなのに……喜べない」


ルト「……オワッタ」

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