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118.ビーチバレーとは危険なものです

今日はコス王視点です

◇◇◇◇


『よっしゃ!!タイムオーバーだ!相方を迎えに行けなかったチキン共!お前たちには愛情パワーが足んなかったようだな!!はっはっは!!』


……なんかこの司会、カップルに恨みでもあんのかってくらいテンション高いな。

というよりも迎えに来てもらえなかった女たち。

そんなに相方を冷やかな目で見てやるなよ。

普通の人間がサメの群れに自分から突っ込んでいくのは無理だから。


『ついでに教えておいてやる!ここにいるサメたちは、人間は襲わないように調教しているから今回のは単なる度胸試しだ』


サメって調教できるもんなの!?

ていうか俺様、めっちゃ普通に襲われましたけど!!?

普通にサメたちに噛まれていましたが!?


『あ、ちなみに人間じゃないのには遠慮なく襲っていくように調教してっから』


あ、さいですか……。

俺様が襲われてラピスの嬢ちゃんが無事だったのは、そういう意味ね。


『ちなみに、下剋上鮫なんて存在しないからな!はっはっは!!相方を迎えに行かなかったことを後悔して別れちまえ!!』


決定!!

絶対この司会者、カップルに恨みがあるよ!!

別れさせようと考えてるよ、このイベント!!


『さあ!最後の競技だ!海といえば砂浜!砂浜と言えばビーチバレーだぁあああ!!もちろん、勝ち抜き戦だ!!』


「あ、なんか普通ー」

「さっきのサメの後だから、余計に普通に見えるな」

「本当に。普通ですね」

「お嬢とラピスの嬢ちゃんには当たりたくない……」


だってさ、絶対にこの二人ってえげつないに決まってる。

もうこの二人と当たったら絶対に泣く羽目になるのが分かってるんだから、当たるのだけは勘弁してくれ……。


「ん?勝ち抜き戦なんだから、そのうち当たるよ?勝てればの話だけど」

「そうですね。もちろん、カインたちは手を抜いたりなんかしませんよね?優勝するのはあなた達なんですから」

「「はい……」」


はい、怖いお嬢さん方ー。

有無を言わさないニコニコ笑顔は止めて下さーい。

俺様たちに拒否権がないのは知っていますからー。

おにーさん、ビビッてちびっちゃいそうだからねー?

ほらほら見ろよ。

お嬢の隣でカインが死相を浮かべているんだぞー?

……はぁ。死ぬ気で優勝しよ。






最初は他の奴らの試合を見ていたんだけど、本当に普通だよなぁ。

なんというか、平和だ。

ほんとーに、俺様たちが出なければこのイベントも普通に盛り上がってたんだろうなぁってくらい、普通だ。

人外+恐怖の女王様がイベントに出てすみませんって謝りたいぞ。


『はっはっは!実況する気も失せるくらい普通な試合だったな!さぁ!お次はお楽しみの今のとこアイラ・ラピスペアと同列の一位の座にいるカイン・コスペアの試合だ!あん?相手?どっかの誰かだ』


お楽しみって何で!?

というか、相手もちゃんと紹介してやれよ!

相手のカップル、それどころじゃなさそうだけど!

だがしかし、そんな俺様たちに向かって司会者の声が響く。


『お、そうだ。お前らはあれだ。他の奴らよりダントツ強いから、ハンデとしてお互い紐で繋がってろ。ちなみに長さは1mな』


「「はぁっ!?」」


俺様たちには絶対に優勝しないといけないという使命があるのに、なんでそんなハンデを負わなきゃいけないんだよ!?


『司会者様の言うことは聞けよー。ハンデがないと俺が面白くないし!』


絶対に最後のが本音だったろ!

というか、この紐!

勝手に俺様たちの腰に巻き付いて、外せないんだけど!?

何これ、グレイプニール!?

神である俺や神族(仮)のカインすら外せないとかって、絶対に神器だろこれ!?


『てなわけで、試合開始だ!カップルはボコっちまえ!!』


おい、司会者!

俺様たちを応援するか、邪魔するか、どっちなんだよ!?


「コス王、来たぞ」

「うおっ!?」


もう諦めたような顔をして前を向いていたカインの言葉に、慌てて前を向く。

へなへなと飛んできたボールを、カインが上に上げた。

これは、アタックしかないな!

よっしゃ!決めてやる!!


「おっりゃ!!……あああ!?ぶべっ!?」

「あほか……」


……忘れていました。

俺様とカイン、紐でつながっているんでした。

はい、俺様がそれをすっかり忘れてジャンプしたもんだから、ジャンプしきれずに無様に砂浜に落ちましたよ?

ていうか、カイン!


「俺がやろうとしていること、分かってたなら合わせてくれてもいいじゃん!」

「いや、お前の切り替えの早さについていけてなかった。悪いな」


しれーっと地面に俯せになっている俺様を見下ろしながら冷静に言うカイン。

え、本気で悪いって思ってる!?

マジで勝つ気あんの!?

そんなこんなで、コンビネーションがグダグダの俺様たち。

ヤバい、点数差が激しい。

これ、勝てるか……?


『おおっとぉお!!?まさかのコンビネーションが原因で敗退かぁああ!!?それにしても、協調性皆無!!相手のチーム、勝利の20点まで残りわずか!!』


そもそもの原因はロープで俺様たちを拘束しているお前だぞ、司会者!!

というか俺様たち、一点も入れられてないのに!!


「カイン!分かってるか!?負けたら待っているのは1か月ご飯、デザート抜きのお嬢のお仕置きだぞ!?」

「愛良のご飯とおやつ抜き……お仕置き……もう無理だ。生きていけない。死ぬしかない」

「いぎゃああ!!何でこのタイミングで鬱帝になってんだよ、お前はぁあああ!!!」


そんなに嫌なら、最初からコンビネーション合わせろよな!?

マジでどうしよう。

鬱帝をやる気にさせる方法なんてあるのか!?


「パーパ――!!がんばりぇ――!!」


観客席でお嬢に抱っこされていたリーンが、大声でカインを応援した。

あった。

普通にやる気にさせる方法あったよ!


「よし、殺るか!」


お前は相変わらず復活早ぇよ、親馬鹿!

そしてやる気になる方向を間違ってるよ!!


『はっはっは!!ようやく面白くなってきたな!!カイン選手がやる気になったところで、試合再開だ!!』


司会者の言葉と同時に、相手チームから飛んできたボール。


「殺ってやるさ!!」


カインはすぐさまジャンプ。

そして俺様は……。


「な……うげっ!?」


カインの馬鹿力によって紐ごと引きづりあげられた。

しかし、カインは俺様のことは全く気にすることなくボールをアタック。

破裂するんじゃないかというくらい、すさまじい勢いでアタックされたボールは、ガードも何もできなかった相手の男の腹部を強打。

ついでに相手の男は吹っ飛んでいったぞ?


「え、あれって生きてる?」

「大丈夫だ、問題ない」


いやいや、問題大ありでしょうよ。

何キリッと無駄にいい男みたいな感じで言ってんだよ!?

この親バカめ!


『いい感じで飛んで行ったなー!相手の片割れが気絶したし、残った方だけで試合続けるかー?』


司会の言葉に、青ざめた表情で首をぶんぶん横に振る片割れ。

うん、賢明な判断だ!


『では、相手の棄権により、勝者はカイン・コスペアだ!!』


よっしゃ!首は繋がった!!

コス「なぁカイン。何でお前ってすぐにやる気出なかったんだよ?」

鬱帝「……最終的に愛良たちと当たるなら、今ここで負けておいた方が精神的に楽かと思ってた」目を逸らし

コス「……」

鬱帝「だが、うっかり負けたら夏休みの間の飯が抜きということを忘れていて、お前に言われて一瞬絶望した」顔を俯かせ

コス「…………」

鬱帝「リーンの声で正気に戻れてよかった」しみじみ

コス「……リーンが応援してくれて、よかったな。アレを正気と言っていいのかは知らないけど」

鬱帝「リーンに応援されて嬉しかったが、ちゃんと正気だったぞ。でないと、あんな柔らかいボールなんて簡単に破裂させていた」

コス「そいつはよかったと言うべきか、着実に親バカへの道を進んでいるというか……」

鬱帝「何ブツブツ言ってんだ?もうすぐ愛良たちの試合が始まるぞ」

コス「いや、もう絶対に二人が勝つって分かりきってるから、相手選手に同情しかできない」

鬱帝「……だな」

二人「はぁ……」


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