113.願望だだ漏れの何が悪い
お久しぶりです。
放置し過ぎて申し訳ないです。
言い訳は後書きにて書かせてもらいますー……。
◇◇◇◇
「きゃー!おみじゅ、いっぱいねー!!」
恐る恐る海に足をつけたリーンは波でいったりきたりする海水が面白いみたいで、さっきからきゃーきゃー騒いでいます。
徐々に足を進めて行っては腰の浮き輪効果でプカプカ。
「マーマー!みてー!」
「はーい、見てるよー」
みてみてオーラ全開で手を振るリーン。
可愛いねー。
思わずこっちが笑顔になっちゃうほのぼのさだよー。
「わ~ふ~」
んでもって、しぃちゃんは悠々と犬かきしながら泳ぎ中。
とりあえず、この子たちが可愛すぎです。
さっきから浜辺にいる女性男性たちの視線を独占状態。
「わうわう!」
「しーたん、しゅごーい!!」
浮き輪でぷかぷか浮かぶリーンと、浮き輪についている紐を咥えて犬かきして進むしぃちゃん。
自分だけじゃ前に進むことも出来ないリーンだけど、しぃちゃんのおかげでその問題も解決。
そんな可愛い子たちの姿に、奇声に近い歓声を上げる一般客。
「わうっ!?」
「マーマ!!しゅごいのー!!」
「うん……確かにすごいねー」
優雅にリーンのために犬かきを続けていたしぃちゃんが、思わずびくっと片耳を動かし。
リーンは大きな目をさらに大きくして。
私は思わず遠い目になってしまう。
……何が起こったのかというと、この子達の動きを見守っていた観客さん方の中から鼻血を噴きだす方々が続出。
周りのお客さんたちの鼻血で海が赤に染まるとかすごい。
あちこちで鼻血の噴射がみれるとか思わなかった。
てか、こんな血の海の中で泳ぐのとか嫌です。
しぃちゃんとリーンは浮遊で浮かして私の所に移動させとこ。
「リーン、しぃちゃん。こっちにおいでー」
「あい!」
「わう!」
私は波打ち際だったから鼻血の被害はまだないからよかった。
こんな血の海の中にいるのなんて、リーンの教育に悪すぎる。
そろそろイベントの受付も始まる時間だし、カインたちの所に戻った方が無難。
そう思ってリーンを抱っこして、しぃちゃんは最近の定位置の肩に前足を引っ掛けて乗っかってもらう。
よし、準備オッケー。
カインは……あ、いた!
ちょうど私たちの方に歩いてきてる所だったみたい。
「愛良?もう海はいいのか?」
「うん、血の海で泳ぎたいとは思わないの」
「は?」
私の言葉に首を傾げたカインは、一度海に視線を投げて顔を引きつらせる。
それから私たちの方に視線を戻してから、再度同じように鼻血を拭いている周りの人たちを見回した。
「……何があったんだ?」
「全てはリーンとしぃちゃんの可愛さのため」
「……は?」
意味が分からないと言う様子で口をぽかんと開けるカイン。
だって、可愛さって罪だもの!!
しょうがないんです!
……はい、冗談は置いておきましょう。
そろそろ現実逃避してないでイベントの受付に行きましょうか。
てなわけで。
リーンを抱っこしたまま、砂浜をテクテク。
辿り着いた先は、さっきまで私たちがいた砂浜。
そこには、なぜか上半身を砂浜に埋めてぐったりと動かない下半身があったりします。
埋めるのは止めたはずなのに何で埋まってんの、コス王は。
「コス王。今すぐ起き上がるか、このまま激辛スープがいっぱいの落とし穴に落ちるか、どっちがいーい?」
顔が地面に埋もれている状態で声が聞こえるのかなーと思いつつも選択肢を与えてみると……。
「今すぐ起きます!!」
ガバっと音をたてて砂浜から必死にコス王が起き上がった。
はい、素早くてよろしい!
何で土の中で声が聞こえたんだって疑問は、コス王だから止めておきましょう。
「では、今からイベント会場に行きたいと思います!」
「……カイン、俺様、何気に今お嬢に殺されかけたよね?」
「……いつものことだ。諦めろ」
「あきりゃめろー!」
「わーう!」
「……」
コス王がずーんってなってるけど、知らない。
私にしては、優しいほうだと思ったんだけどなぁ。
よし、次からは鉄ハリセンで脳天をカチ割る方を選択肢にあげよう!
今はとりあえず、イベントの受付に行くよ!
お父さんの後始末ってのが腹立たしいけど、しょうがないもん。
イベントの内容にもよるけど、この際いっぱい楽しみましょー!
「あい、ら……おにー、ちゃん?」
「「ん?」」
うきうきわくわくしていたら、なんか聞き覚えのある声が後から聞こえた。
思わずカインと顔を見合わせてから後を振り返れば、青みがかかった黒髪に赤い目をキラキラさせて私たちの方を見ている幼い顔立ちの女の子。
その後ろには、3人の男女。
「ルナ!?ラピスも!?あ、青色髪君もいるー!」
「ひさし、ぶり……」
「無事みたいですね」
「……青色髪君?」
「あれ!?俺の存在は!?」
わー、すんごい久しぶりだ!!
え、なんで国外にいるの!?
「あの……僕の名前、もしかして忘れてる?ルート・アクアだよー?」
ブルーの海パン穿いた青色髪君が、なんか泣きそうな目でぷるぷる震えている。
やだなー。
自分でチームに誘ったんだから、覚えているに決まってるじゃん。
だけど名前で呼ぶほど仲良くなったとは思っていないんだもん。
それほど仲良くない人を名前呼びするのはどうかと思ったんだよねー。
……という意味を込めて、親指をグッとたてて青色髪君に笑いかけたんですが。
「……泣いてやる!!泣いてやるんだからね!!?」
なぜか号泣しながら睨んでくるという芸当を披露してきました。
あれー?名前で呼んだ方がよかったのー?
じゃあ今度からはちゃんとルート君って呼ぶことにするから、泣くのやめようよー。
……と言おうとしたところで、お兄ちゃん大好きっ子のルナちゃまがカインの手を握ったままルート君の前に出る。
「……るー、くん……泣くなら、あっち……」
「あっち?……うわ――ん!!」
スクール水着のルナが指差したのは、まさかの海。
つまり、泣いてたらウザいから海の藻屑と消えろってことですか。
ベタ惚れのルナから言われたルート君は、泣きながら海へと消えちゃいましたよ。
うん、一応6大貴族の水が得意な家の子だし、問題ないのでしょうけども。
そんなことよりなんで海まできてスクール水着をチョイスしたの、ルナちゃん。
お胸の辺りに『るな』ってちゃんと書いていて可愛いですけど、変な人たちに目を付けられちゃいそうな可愛さですよ?
「アイラさーん!?さっきから俺の名前が入っていないんですけど!?グレイ君もいますよー!?ど真ん中にいますよー!!?」
「あ、いたんだ」
赤い海パンの君は、視界から自然とシャットアウトされちゃったの。
不思議ー。
でもね、だからって目の前にきたらウザいの。
「いたんだ!?いたんだって言った!?カイン!!アイラが冷たいんですけど!」
「いつものことだろ」
「いやー!!誰かやさしい人プリーズ!」
「うるさいですよ。Gのくせして人前ででしゃばるとはなんですか。縛りますよ?」
「すでに縛られていますけど!?」
相変わらずの早技です、ドSのラピス様。
そして黒のビキニで、羨ましいとしか言いようがないお胸様が強調されています。
……その大きさ、半分くらい分けてほしい。
「愛良。願望がダダ漏れだ」
「だまらっしゃい」
あのお胸様を前に、そんな願望を持たずにいろと?
そんなこと不可能です!
お胸様を前にして、この願望は自然なことです!
一か月以上放置していて申し訳ありませんでした。
ちょっとしぃちゃんのモデルになった愛犬がヘルニアになっちゃいまして、実家と職場を行き来してるのです。
最近後ろ足が少し動くようになったのでちょっと希望が持てそうですけど、こっちの更新スピードに関しては難しいかもです。
本気で亀ペースですが、よろしくお願いします。