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102.見た目は獅子でも中身は硝子なんです

お久しぶりですー。

こっちはだいぶ放置しちゃってました(汗)

申し訳ない!


◇◇◇◇


宿屋の厨房をちょっと借りてお弁当を速攻で作った。

レジャーシートはボックスの中に入ってる。

よし、ピクニックの準備は完成ね!


「準備完了!皇帝さんのお部屋に行きたいと思いまーす!」

「まーしゅ!」

「わーう!!」

「ちょっと待て!!?」


ノリに乗って宣言した私と一緒に万歳して返事をするリーンとしぃちゃん。

それなのに、なぜかカインに止められちゃいました。


「いや、待て?どういうことだ?皇帝さんというのは、この国の皇帝のことか?そんな部屋に行くとか、お前何をしようとしているんだ?何をしでかしたんだ、今すぐ説明しろ!!」


なんだか私が何かをしでかしたことが前提になってるんですけど。

ひどいなぁ。

色々しでかしたのは自覚しているけど、説明めんどくさいなぁ……。


「えー……」

「めんどくさがらずに説明!」

「むー……」


ちゃんと説明しないと、カインさん納得しなさそう……。

しょーがないなぁ。


「……え?ちょ、何でハリセン出してんだ、お前は!?」


ハリセンの姿に、ビクッとしながら私から距離を取るカイン。

そんなカインに、にこーっと笑いかけながら距離を縮める私。

バシンッ!


「~~~~~っ!!!?」


カインは声にならない声を上げて頭を押さえた。

情報を一気に送り込んだだけだけど、そんなに衝撃強かった?

ま、いっか!


「カイン、分かったー?」

「……っ、分かった……が!!今のは何だ!?」

「むにゅー!?」


がばっと音を立てるようにして立ち上がったカインさん、思いっきり私のホッペを掴んで引っ張りやがりました。

うきゃー、私のホッペがビロンビロンになるじゃないですかー!


「愛良!?」

「ごめんなさーい!説明するのがめんどくさいから、直接頭に叩き込むことを思いついたんです!すでに何人かで実証済みです!」

「被害者は誰だ!?」


転生者くんと皇帝さん。

けど正直に言ったら絶対怒りそう。

かくなるうえは……。


「教えたげるから、もう一発行くね☆」

「よし。さっさと忍び込むぞ」


よっしゃ!

カインさん諦めました!

私の勝利ー!!


「では!カインも納得したことだし、いっくよー!」

「あい!」

「わう!」

「納得したわけじゃないんだけどな……」


知りませんがな。

皇帝さんとお約束しているのに、待たせたら悪いでしょ。

あ、一応不可視遮音の結界も張っとこー。

さっさと皇帝さんのお部屋に転移!


転移独特の一瞬体が浮かんで周りの景色が変わると同時に、ゆっくり足が地面に着く……のだけど。


「うげぇえええええっ!!?」


「「……へ?」」


なんだか、着地した足元がぶにゅってした……?

え……今なんか踏んだっぽい?

そう思いながらゆっくりと足元を見下ろす私とカイン。


「へ、へいかぁああああ!!今!何か!私の、体が、急に、重く!!」


うわー……。

足元に豚犬さんのお顔面がありました。

部屋の隅っこのつもりだったんだけど、ちょびっと座標を間違えちゃった?

いや、昨日と同じ隅っこだよねぇ……。

……まぁいいや。

急に退いたら変に思われそうだし、乗っかったままでいいよね!


「マーマ!ぽんぽん!!」

「わうわう!」

「うげっ!ぐはっ!?」


あら~。

豚犬さんの立派なお腹の上に着地していたリーンとしぃちゃんが、楽しそうにジャンプしてる。

トランポリンにされている豚犬さんが呻いている姿なんて、どうでもよくなっちゃうくらい可愛い!


「いや、お前ら退いてやれよ。不可視に遮音の結界を張っていても気づかれるぞ」

「うにゅ?」

「わう?」


一人だけ豚犬の上に着地しなかったカインが、ご機嫌にトランポリンしていたリーンとしぃちゃんを抱っこして止めさせちゃった。

あーららー。

せっかく可愛い光景だったのにぃ……足元さえ見なければ。


「「………」」


そしてリーンとしぃちゃんが、すっごい不服そうな顔してますけど。

リーンはホッペをぷくーって膨らませているし、しぃちゃんは苛立たしげに尻尾で抱き上げているカインのお腹辺りを叩いている。

うーん……チビちゃんたちが退いたなら、私も退いておきましょうか。


「……は?急に軽くなった……。へ、陛下!!今、私の上に何かが……」

「私は仕事中だ。さっさと出ていけ」


実は最初からいた皇帝さんに向けて豚犬さんが吠えるけど、皇帝さんは机に座って書類に目を通したまま見向きもしない。

どこまでも豚犬さんにドライな皇帝さんです。


「へ、陛下!?陛下が私にここで横になっておけと言ったのですぞ!?そうしたら、急に体が重く……」


豚犬を踏む原因は、皇帝さんだったんですかい。

着地の衝撃が気持ち悪かったのに!

だけど、ナイスな発想だとは思う!


「重く、な。急に太ったか。なら今すぐ城内を夕方まで全力疾走して痩せてこい」


相変わらず見向きもしない皇帝さんの、ドSな発言。

もちろん皇帝さんに逆らえない豚犬さんは、昨日と同じ四つん這いのまま部屋を出て行きました。

それを平然と見送る皇帝さん。

ドライでドSなライオン皇帝さんに惚れちゃいそうです!


「……よし。もう姿をみせていいぞ」


豚犬さんの気配が完全に消えてから、こっちに視線を投げて来る皇帝さん。

相変わらずピンポイントで私たちの居場所を察しています。

この皇帝さん、本気で強いよねぇ。


「どもー!皇帝さん、こんにちはー!」

「とーと!ちはー!」

「わ~う~!」

「ノリ軽いな、お前ら……」


昨日の記憶は渡してある程度のことは分かっているはずなんだから、カインもテンションあげればいいのに。

……いや、鬱帝には難しいもんがあったね。

というか、カインが私たちみたいにテンション上げてたら気持ち悪い。

カインは今のままクールぶってる鬱帝でいいよ。


「……一人増えているな。誰だ」


そして相変わらずドライ皇帝さんにはテンション上げてても全然普通に返されるという。

もう気にしないもん……。


「私の(使い魔的な意味での)主人です」

「……ふむ、そうか。お前、名前は?」

「カイン・ルディスです。昨日からこいつらが騒がせて本当にすいません」

「いや、私も世話になっているから気にするな。リーンのことだが、お前たちに一時的に引き取ってもらうため、リーン・ルディスとでも名乗らせておいてくれ」

「……はい」


(愛良?皇帝は何か勘違いしていないか?)


皇帝さんの言葉に頷きながら、目だけで私に問いかけてくるという芸当を披露するカインさん。

私だって知りませんがな。


「それより皇帝さん。湖行けます?」

「ああ。仕事もある程度終わらせた。では行くか」


手に持っていた書類を机の端にまとめて起き、立ち上がる皇帝さん。

そのままカインに抱っこされてるリーンを受け取ろうと、腕を伸ばしたのですが……。


「……やっ!」

「うぐ……」


リーンはカインの首が締まるほど強く抱きつきました。

そりゃもう、『絶対に抱っこされたくない!』と言わんばかりの怯えた目で。


「……」


皇帝さんが、何とも言えない表情でリーンを見ています。

ぶっちゃけ、かなりショックを受けていると思うの。

皇帝さん、顔が怒れる獅子って感じで怖いからね……。

無表情で顔が怖い実の父<会ったばっかの鬱帝、てな感じ。

ドンマイ、皇帝さん!

親子の絆を取り戻すためにも、まずは優しい笑顔の特訓から始めましょう!

皇帝「優しい笑顔……」口角を頑張って上げ上げ

愛良「皇帝さん、皇帝さん。口と一緒に目も吊り上っちゃって逆に怖い」

皇帝「……」無言のまましょぼーん……

愛良「もふもふしぃちゃんが大好きなリーンに好かれるように、もふもふな毛皮を準備してみました☆これを被ればあなたにイチコロ!」にこぱー

皇帝「……うむ」いそいそ茶色の毛皮を羽織ってリーンの前へ

リン「みゃぁあああああっ!!!?」号泣

皇帝「…………」背中ぷるぷる

愛良「あれー?この毛皮もふもふなのにぃ……」首傾げ

鬱帝「……もふもふ以前に、皇帝が毛皮を被ったら本物の獅子にしか見えなくて怖いことを理解して、これ以上皇帝を傷つけてやるな」皇帝に同情の眼差し

皇帝「本物の獅子にしか見えない……」ずーん……

愛良「カインも十分傷つけてるよ、このうっかりさんや」

鬱帝「……すみません」リーンをあやしながら頭下げー

皇帝「……………」リーンを抱っこしている姿をジト目

愛良「はいはい、皇帝さーん。湖の案内お願いしますねー」さらっと流す

皇帝「……うむ」がっくり


豚犬さんにはドSな皇帝さんも、愛良たちの手にかかれば可哀相なお方に早変わり~


……なんでだ(作者の疑問)

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