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99.ゴミ捨て場からこんにちは

◇◇◇◇

うぅ……。

ここは、どこだ……?

森を歩き回ってようやく人がいるところについて、腹が減って死にそうになって……。


「そうだ!女神!!」


俺のハートをドストライクした可愛い女の子にご飯を奢ってもらったんだ!

サラサラの銀髪に、可愛い笑顔の女神に!

……あれ?

その女神が、どこにもいない。

というか、ここどこだ?

暗い路地、なぜか生臭い臭い……ここって、もしかしなくてもゴミ捨て場?

ええ!?

なんで俺、ゴミ捨て場で寝てんの!?

女神はいづこ!?

というか、俺って服ボロボロで寝てるのがゴミ捨て場とかホームレスっぽくない!?

いぎゃー!

まだ俺15歳ー!

ホームレスにはなりたくないー!


「……あいつも、面白い奴を選んだなぁ」


ゴム袋の中に顔をうずめて嘆いていたら、そんな声が聞こえた。

今度は誰だ……?


「お前、ゴミくさいぞ。服ボロボロだし、完全に浮浪者だなぁ。くくく……」


今さっきまで気にしていたことをあっさりと!

めちゃくちゃあっさりと言いやがった、このイケメン野郎!

しかも黒髪のイケメンとか、俺と被ってるし!!

イケメン嫌だけど!!

フツメンの方がいいけど!!


「いや、お前の方が後から出てきたから、被ったのはお前な。ついでに言うと、お前は残念さが強調され過ぎてイケメンと認識されないから安心しろ」

「ぐわ―!!この世界の住人は人の心を読むのが一般的なのか!?プライバシーゼロ!?異世界って怖い!!」


俺の考えてることだだ漏れ!?

異世界って何て怖いところなんだ!!


バシン!


「いやいや、んなわけあるかって。ちょいと面白そうだから読んだだけで、普通の一般市民にはできないから安心しろって」


何かイケメンが持ってた雑誌で頭叩かれた。

言葉だけでも十分だと思うんですけど!?

……あれ、イケメンが持ってるこの雑誌って女神が読んでたものと同じ?


「それ、ください!!女神とお揃いしたい!」

「あ?これ?……まぁ、カインも持ってるし別にいいか。ほれ」


ぽんって感じで投げ渡してくれたイケメン。


「サンキュぅううううう!!?」


受け取った瞬間、突然重くなった両腕に思わず地面に伏っした俺。

何これ!?

めっちゃくちゃ重くて持てないんだけど!?

指が雑誌と地面に挟まれてイタイ。

俺ってば、最強の体を手に入れたんじゃなかったっけ?

人間を操る能力も女神に効かなくて、なんちゃって最強能力だったし、俺泣きそう……。


「お前、何やってんだ?」


そしてイケメン、マジで不思議そうに首傾げてる。

いや、俺は今そんなことを冷静に観察している場合じゃない!


「おも、おも、おも……」


くそ、重さと痛みでうまく話せない。

なんて重いんだ、この雑誌……。


「お漏らしでもしたのか?」


「んなわけあるかぁあああっ!!」


あ、普通に話せた。

つーか、心読めるなら読めよ!!

こういう時こそ読めよ!!


「いや、読んでんだけど、面白いからあえて聞いてみた。というか、そんだけ力あるのに、まだ人間の括りに入ってんだな、お前。不老不死なだけじゃ、人間の枠にまだ入ってるってことか……カインが人間の枠から外れたのはお嬢との契約の影響か……」


何でそんな遠い目で同情した表情してやがんの!?

そしてさりげなく俺が不老不死だってこと、バレてる!?

つーか、どーでもいいからコレどけて!


「へーへー。ほれ、退けてやったぞー」


俺をあんだけ苦しめた雑誌を、ヒョイって音を立てるくらいあっさり拾ったイケメン。

信じられねぇ……。

だけど助かったのには変わりない。


「ありがとうございまっす!」


助かった……。

ホームレスっぽい格好して、座り込んで地面に手をついてる状態なんて誰にもみられたくないからな。

つーか、早く服を買わなきゃ。

これ以上ホームレスって思われたくない。


「なんだ、服が欲しいのか?俺様、着替え持ってるからやるよ」


そう言いながら、懐をがさごそ漁るイケメン。

なんか苛めっ子雰囲気プンプン漂わせているイケメンだけど、優しいな!


「ほれ。これだったらお前もサイズ合うだろ」

「サンキュー!!……って、え?」


イケメンに渡されたのは、婦警さんの制服。


「変態かっ!!!」


……なんか、デジャブ。

邪神の屑にも同じことやられたぞ、俺!

あんときはナース服だったけど!!

やっぱりこのイケメンは苛めっ子だ!


「くくく……。悪いな。俺様、普段は弄られてばっかだから憂さ晴らししてたんだ。ほれ、ちゃんとした服やるから拗ねるなって」


ニヤニヤ笑いながら、今度こそ服をくれたイケメン。

女神に叩き込まれた知識にあった、不可視の結界を張ってさっそく着替えだ!

なんか黒に近い紺色のノースリーブの上に肩当があるんだけど何で?

まぁ、セットなら着けといたほうがいいのか。

黒いズボンと黒い靴も穿いて……。

よし、着替え終了!


「うっひょぉおおお!!リアルザッ○ス!!中身は残念だけど見た目は最高!!」


「…………」


不可視の結界を解いたら、さっきのイケメンが興奮しながらカメラをバシャバシャ撮りまくってきました。

誰か、鏡プリーズ。

できれば等身大の。


「ほい!そして視線をこっちにくれ!!そして鏡をセットさせてくれ!!」


変態オーラを出しまくってるイケメンが鏡を出してくれた。

ついでと言わんばかりに、俺の髪をワックスで固め始めるイケメン。


「……いやいや、何でザッ○ス!?」


あれだ、某ゲームのソルジャーだよ。

うっわ、懐かしいなー。

……って、俺の今の顔ってザッ○ス似じゃん!

絶対に邪神野郎の趣味だ!!

というより、これもコスプレ!?

うぎゃああ!!

恥ずかしくて死ねる!!

誰か嘘だと言ってくれ!!


「ここは異世界、気にするな!!開き直れば大丈夫だ!さぁ!!『俺、ミッ○ガルに行かなくちゃ……』って言ってくれ!!ムービー撮るから!!」

「撮んなやボケッ!!」


誰がやるか!!

つーか、この変態イケメン何なんだ!?

俺は女神に会いたいのに、何でこんな変態に捕まらなきゃいけないんだよ!?

俺、泣くぞ!?


「あ、そーいや俺様がここに来た一番の目的忘れてた」

「……え?」


さっきまでドン引きするぐらい写真撮りまくってたのは誰ですか?って言いたくなるくらい、変態行動が止まった。

え、逆にこいつ大丈夫か?


「大丈夫だぞ。それよりお前、銀髪の女の子、見かけなかったか?」


え?

銀髪の女の子?


「それって女神のこと?」

「いや、お前の言う女神という単語で俺様に意味伝わると思うか?」

「心読めるなら、俺が見たものも見えるんじゃないの?」

「お嬢じゃねぇんだから、俺様にはできません」


お嬢?誰それ?

まぁいいか。


「で?銀髪の女の子、見かけたのか?」

「見かけた……というより、その子に色々教わったけど」


最後は直接頭に叩き込まれたけど、間違ってはないよな。

……強烈な一撃付きだったけど。


「え?そんな親切なことしたのか?」


んん?

このイケメンが捜しているのは、優しくない銀髪の子なのか?

女神は優しかったぞ?

ご飯奢ってくれたし。

魔鉱石くれて魔武器の作り方も教えてくれたし。

この世界の情報もいっぱい叩き込んでくれたし。

……本当に強烈なハリセンの一撃がおまけでついてたけど。


「ん~。ハリセンとか使うの、お嬢くらいなんだけどなぁ。他の特徴は、そうだな……」


イケメンは一度周囲を見回すと、顔を近づけた。

そして、とても真剣な目で俺の顔を覗き込んでくる。



「絶壁だったか?」


「絶壁だった」



あ、思わず即答しちゃった。

だって、可哀相になるくらい、ストンとしてた。

でも、絶壁でも可愛いから問題なしだよな!


「うん、間違いない!絶対にお嬢だ!」


このイケメンの中で絶壁=お嬢(女神)って構図が成り立ってんだな。

つーか、女神の知り合いなら名前知ってんじゃね?


「なぁなぁ、そのお嬢って子の名前って、何て……「さっきから人のこと絶壁とか抜かしやがった失礼な人たち、こんにちは~」……」


はい、冷え冷えとした空気が一瞬で伝わってきました。

そして振り返る前に俺の意識は落ちた。

まだ女神の名前、聞けてなかったのにぃ……。

☆ギルドの裏掟、追加事項☆

受付嬢の愛良ちゃんに、『絶壁』『まな板』『地平線』等は禁句!

禁句ワードを決して口にしてはいけません。

とても可哀相なことになるので注意をするように!

                  byオカマスター


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