殉教者
何もすることもない空を見上げても雨は降らない
最近妙に目が乾くのは気のせいだと思った
一人で廊下を歩く
振り返ってもみんなが話し込む世界で
それを嫌うなら私に居場所はきっとない
悲しさだけ募って未だにあなたの面影を思い出す
苦労しているのは私だけと思い込んでも涙は流れない
怖がっている夜はすぐに来る
その前に迎えに来てほしいと言っていたのはいつのことだったのか
今では思い出せもしない
嘘みたいな幸せはすぐ過ぎてしまうもので
残り香はいつも涙の匂いだった
道に一人で意味を探す
ここに誰もいないことを
あなたはもうずっと前から知っている