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第2話  祝い!?

「まず質問させてもらえるか?」


「どうぞ・・・」


二人は優馬の部屋にいた。もうじきヤスが朝食を運んで来るだろう。

そういえば道場の掃除してないな、後でじじいに小言を言われそうだ。などと考えながら


「あんたはエルランド王国という国の王女様で、転移魔法でここにやってきた。あんたの国はここからみると異世界に当たる。でいいのかな?」


「はい、おそらくですが。先ほどの優馬さんの話と、大気中に魔力が漂っていない事を考えると異世界である可能性が高いと思います。」


メリッサは自分の考察だというように述べる。


「それで、あんたは元いた国に帰れるのか?」


優馬からすれば魔法を使って異世界に行き来したりするとこが簡単なことには思えず、当然簡単に戻れるようには思えなかった。


「実は、転移魔法というのは膨大な魔力を消費するので、普通は数人の魔力を合わせなくては発動できないんです。

私は人より少しだけ魔力量が多いので一人でも何とか出来たのですが・・・今は魔力がほとんど空っぽの状態でして、簡単な魔法しか出来ない状態なんです。

魔力の回復に関しては、自己回復に加えて大気中の魔力を取り込むことで回復を早めることができるのですが、ここではそれが出来ないので、自己回復に頼るしかありません。

回復すれば再び転移魔法を使って帰れると思います。」


「ふ~ん。王女なのに自分で魔法使えるんだな。で、回復ってのはどのくらいの時間かかるもんなんだ?」


優馬はどこか安心したような、少し寂しいような気分になった。


「えーと、私も自己回復のみでの回復は初めてなのでなんとも言えませんが、1年近くかかると思います。」


「い、1年!?」


「あ、この世界の1年って何日くらいでしょうか?」


「1年は365日だけど・・・。」


「では私の世界とほぼ同じですね。やはりそのくらいはかかってしまうかと・・・。」


優馬は複雑な気分だ。



『コンコン』


「ぼっちゃーん、朝食をお持ちしましたよー」


先ほど台所に行ったヤスの声だ。


「お、おう!悪いな、わざわざ届けさせて。」


優馬は少し遠慮がちに言うと、


「いえ!ぼっちゃんの頼みとあらば、このヤス、例え火の中水の中ですよ!」


「まあそこまでしなくてもいいけど、とにかくありがとなっ。」


優馬がそう言うと、ヤスは笑顔で朝食を並べ始めた。


「そうそう、おやっさんが後で居間に来てほしいそうです。もちろんそちらのお嬢さんもご一緒に。」


なんで居間なんだ、まさかみんなに紹介させる気かよ。

などと考えながら、


「わかった。食べたら行くって伝えてくれ。あ、あと今日は学校休むから、連絡しておくように頼んでくれるか。」


とても学校に行く気分ではない。


「わっかりやしたー。それでは!」


「あ、ぼっちゃん、がんばってくださいよ!」


ヤスはそう言うと右手の親指をグッと立てて見せた。しかもやたらと凛々しい顔だ。

一体なんなんだよ。と優馬は内心うなだれる。



朝食はご飯に焼き魚と味噌汁という、いかにもという感じの質素な食事だ。

しかしメリッサには珍しいらしく、それぞれに解説を求められた。

多分ヤスにそれを聞いたらダシの事まで細かく解説するに違いない。それはもう張り切って。


朝食を終えた二人は居間へ向かった。


「うちの親父たちは人から見るとちょっと怖い感じでな、まあ中身は普通だから怖がらないでやってくれ。」


「はい。大丈夫です。」


優馬は居間のふすまを開けた。



ガラッ

パァーン!


「おめでとう優馬!」


「ぼっちゃん!おめでとうございます!」


おい、なんだこの騒ぎは、っていうかなぜヤクザの家にクラッカーなんかあるんだ・・・。


「てめーら!なんだこりゃ!」


優馬は叫び声を上げた。


「優馬、お前もやっと大人の仲間入りだな。これはその祝いだ。」


声はいつもと同じ調子だが明らかに顔が笑っている。くそ親父が・・・。


「大人の仲間入りってなんのことだよ!しかもこんな飾りやクラッカーなんてどうしたんだよっ!」


「ふっ、ぼっちゃん、あっしは若い頃はハヤブサのタカと呼ばれた男でさぁ。ぼっちゃんのお食事中に買い物くらい、まさに朝飯前でさぁ。」


とそこにいたうちの一人が言った。

タカという名前だが、足が速いからハヤブサという異名、鷹なのか隼なのかはっきりしてくれというツッコミは子どもの頃から幾度となく繰り返してきた(心の中で・・・)


「そんなことはどうでもいい!人が飯食ってる間に余計なことしてやがって。大体事情も聞かずに的外れなことしてんじゃねえよ!」


優馬は再び叫ぶ。


「余計なこととはなんだ。みんなお前の成長が嬉しいからがんばったんだぞ!」


親父は少しだけまじめな顔で言った。みんなの頑張りを否定されるのは気にくわないらしい。


「して、お嬢さん。うちの優馬とはいつ頃からお付き合いをしていただいているのかな?」


こんどはメリッサに火の粉が降りかかった。


「え、お、お付き合いってどういうことでしょうか?大人の仲間入りって・・・」


そこでメリッサが意味に気づいたらしく顔を赤らめる。


「うむ、ウブなお嬢さんだ。しかし外国の方かな?日本語が堪能ですばらしい。」


「一回静まれぇーーー!!!」



こんにちは、作者です。

これから徐々に登場人物が増えて行きます。

名前どうしようかなー。

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