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第1話  運命の出会い?

「ハイヤーッッ!!」

「ター!!」


早朝。古びた道場に奇声がこだまする。道場と言っても一般庶民に武道を教えるためのものではない。ここは指定暴力団高梨組の組長宅、家族や組員が実際の戦闘を想定して訓練を行うための道場である。


暴力団とは言っても、古くから続く古風なヤクザ一家であり、自宅イコール事務所というような組である。更科(さらしな 優馬(ゆうまと祖父との稽古は毎朝の日課であった。なぜ高梨組の息子なのに更科という姓かと言えば、


「ヤクザの息子と思われると嫌だ!」


という理由で母親の旧姓である更科を名乗っている。ちなみに戸籍も更科にしてある。

しかし周囲にはバレバレであったが。



「ハー、ハー、きょ、今日はもうこれぐらいに・・・」


ヒュッ!「何を甘ったれた事を言っておるかっ!」


優馬の左耳を風が通りすぎた。見ると祖父の持つ木刀が突き出されており、耳が少し痛い。


「じじい!何しやがる!木刀っつってもそんな突きがまともに当たったら怪我じゃすまねーじゃねえか!」


優馬は抗議の声を上げた。


「そんなもんは当たる方が悪い。」


祖父は全く悪びれずにそう言うと。


「まあそろそろ腹も減ったし、今朝はこれくらいにしといてやろう。掃除と片付けはやっておけよ。」

そう言うと祖父は道場を出た。



「ふー。助かったー」


現在17歳の優馬は、4歳の頃から祖父に刀術を始め様々な武術を仕込まれている。

優馬には兄と姉がおり、子どもの頃は一緒に稽古をしていたため優馬の負担も少なかったが、歳が離れている兄と姉は優馬が10歳になる頃には道場に来なくなっていた。

組の若頭として貫禄の出てきた兄と、結婚して時々しか帰ってこない姉を少し恨む。


「さて、まずは木刀を片付けるか。ん!?」


突然道場の中心付近が眩しく光り出した。


「なんだなんだ!?」


優馬は目を凝らすが眩しくて何も見えない。次第に光が収束していき、中にあるものが見えてきた。


「・・・!!」


優馬は驚きで声が出ない。



「あ、あれ?ここ・・・どこ?」


突然目の前に現れたもの、それは変わった格好をした少女だった。少女は訝しげな顔をしながら周囲を見回している。

と、少女と目が合った。変わっているのは格好だけではなかった。

髪の毛は空のような青い色、青色の目の美少女、こういうのを碧眼って言うんだっけ?などと呑気な事を考えてしまっていた。


「あのー、ここはどこなんでしょうか?私は兄の所に転移したはずなんですが・・・。」


少女が訪ねてきた。・・・テンイ?テンイってなんだ?


「テンイってどういうこと?今いち話が見えないんだけど・・・。」


今いちどころか全く見えないが・・・


「え~とですね。私はメリッサ・エルランドと申します。私の国の城から転移魔法を使って、国境付近へ戦に赴いている兄の元へ向かいました。そして、おそらく魔方陣を描くのを失敗したんだと思いますが、ここに転移してしまったというわけです。」


メリッサは経緯を説明したが、優馬に理解できるはずもない。


「・・・ちょっと待ってくれ、まずあんたの名前はわかった。えーっと、俺は更科 優馬だ。それで、国の城って言うのはどこの国だ?しかも転移魔法って、魔法なんて存在するわけないし。でも実際あんたは目の前に現れたわけだし・・・」


優馬は混乱気味に質問なのか自問自答なのかわからないような言葉を発していた。


「私の国は、エルランド王国と言います。私は一応王女でもあるんですが、魔法が存在しないって、この国では魔法を使う方はおられないのですか?」


「エルランド王国・・・聞いたこともないな~。あと魔法ってのは俺の知る限りこの世界のどこにも存在しないはずなんだが。大昔はそういうのもあったらしいけど、ほとんどは迷信とかそういうので・・・」


優馬も少しずつ落ち着きを取り戻してきた。


「どういうこと?ちょっと待って、転移魔法で異世界にきた可能性もあるのかしら?確かにあそこの記述を書き換えるとそういう恐れもあるかも・・・。確かに空気中に魔力が漂ってないみたいだし。だとしたらどうやって戻れば。魔力の回復にどれだけかかってしまうのかしら。」


メリッサは独り言のように繰り返している。


「お、おい!ちょっと、異世界ってどういうことだよ?」


耐えきれずに優馬は叫んでしまった。

と、道場の外から声が聞こえてきた。


「ぼっちゃーん、そろそろ朝飯食べないと学校に遅れやすよ~。・・・!?そちらの女性はだれっすか!?まさか・・・ぼっちゃんも隅に置けないっすね~。稽古してるかと思ったら・・・。」


食事当番のヤスだ。ものすごく嫌らしい顔をしている。


「いや~、ちょっと色々あってな。すまんが飯は部屋に運んでくれるか?」


適当にごまかすように言葉をつなぐと、


「わっかりやした!ではお嬢さんの分もお持ちしますので!」


そう言うとヤスは張り切って台所へ駆けていった。


「・・・とりあえず俺の部屋に来てくれるか?」


「は、はい。」




こんにちは、作者です。

とりあえず日本に来たものの、あとはどういう展開にするかな~。大筋はあるんですが、細かい所って難しいですね。

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