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第10話  新たな展開

「おはよう優馬。いきなりだけど校長が呼んでるらしいんだ。一緒に行こうぜ。あ、メリッサちゃんも一緒にね。」


朝、昇降口で靴を履き替える優馬に、十蔵が声を掛けてきた。優馬としても、校長に話をしなければならないことがあったので丁度よかった。きっと校長の用事も昨日の事件に関する事だろうと考えながら、優馬は校長室に向かった。


「皆さん、おはようございます。朝からお呼びだてしてすみませんでしたね。早速ですが昨日の事件についてお聞きしたい事があります。」


校長が口を開く、そこに優馬が割って入った。


「その事なんだけど、おれも校長に話があるんだ。昨日の宮田一郎、あいつの体を検査したいんだ。学園の関連病院でもいいし、うちの知り合いの病院でもいいんだけどさ。ああなった原因はまだ推測の域をでないけど、はっきりとさせなきゃならないし、同じような事が起こらないようにしなきゃならないだろ。」


優馬は早急に事態を収めたいと考えていた。このまま放っておけば周辺地域にどんどん拡大していくだろう。学園内でも昨日のような事が頻繁に起こるかもしれない。


「ええ、私もそうするつもりでした。学園の情報で、新種の麻薬の可能性があるとのことでしたので、原因の究明と、必要であれば根の根絶も考えていました。しかし、少し予定が狂いましてね。宮田君が行方不明になってしまったんです。」

校長の言葉に一瞬の沈黙が走った。貴重な情報源である宮田の行方不明。校長が行方不明と言ったからには、既に捜索した上で見つからないという事だろう。しかし、次に校長が発した言葉は優馬達に更なる衝撃を与えた。


「しかも宮田君は何者かに連れ去られた可能性が高いんです。保健室の窓ガラスは外から割られた跡があり、番をしてもらっていた者も重傷を負っています。連れ去る方法がずさんなので痕跡を辿れば直ぐに見つかると思っていたのですが、あるところで急に痕跡が途絶えてしまいました。」


校長曰わく、犯人は一名で、途中まで歩いて逃げた跡を残している。学園内の監視カメラにも宮田を担いで逃げる男の姿が捉えられている。しかし急に痕跡が消えた。まるでその場から消えたか、空でも飛んだかのように。

また、不自然な点は他にもある。どうやって学園内のさらに保健室まで侵入できたのかということである。学園の敷地は高い塀に囲まれている。入口となる門は四方にあるが、それぞれに門番がおり、生徒であっても全員チェックされる。当然生徒や家族以外で関係者にアポの確認が取れない場合は門前払いとなる。周囲の塀を登って侵入しようとすれば、複数の警備システムに反応する仕組みになっている。しかし、男が初めてカメラに捉えられたのは、宮田を担いで保健室を出る瞬間からである。信じがたい事に、男がどこからどのように入ってきたかは不明なのである。


「まあ、人間をあのような姿に変身させる程の技術があれば何らかの方法で学園の警備をかいくぐり侵入することも可能なのかもしれません。しかし、どうにも腑に落ちないのが逃走時に痕跡を残し過ぎている点です。明らかに侵入時とは違います。」


「わざとか…。」


優馬が呟く。


「ええ、その可能性も十分あるでしょう。或いはこちらを混乱させるためか。何にせよそれしか手掛かりはありませんから、捜索はこのまま続行させますが。学園としては宮田君の保護を第一として動くつもりです。生徒にも危険が及ぶといけないので深入りはしないつもりですので、君たちも危険な事はしないようにして下さい。」


校長は厳しい表情で言った。これで学園の力はこれ以上借りることができない。さらに優馬達の行動についても釘を刺されてしまった。

3人は校長室を後にすると教室に向かった。廊下を歩く途中で十蔵が口を開く


「どうするんだよ?確かに深追いすると俺たちも危険だし、学園そのものも目を付けられるかもしれないな。」


「そうだな。実は昨日から考えてたんだが、ここから先は俺だけでやるよ。」


「おい、バカなこと言うなよ。お前がやるなら当然俺もやるぞ!だいたいここまで関わってて後は知りませんじゃあ気持ち悪すぎる。」


「そうですよ!これからもあんなのが出てくるかもしれないのに。一人でなんて危険すぎます。」


「大丈夫だって、危険のないように慎重に調べるから。それにまた化け物みたいなのに出くわしたら、戦うにも逃げるにも一人の方が都合がいいんだよ。」


「俺たちは足手まといってことかよ!」


周囲の生徒達が3人の言い争いに目を向け始めた。


「おい、ここでこんな話はまずいだろ。とにかく俺は他のやつが傷つくのはみたくないんだ。」


優馬はそう言って強制的に話を終わらせてしまった。




その日の放課後、十蔵は優馬と目も合わせることなくすぐに帰って行った。


「本当によかったんですか?喧嘩になってしまって。」


メリッサが問う。


「ああ、まじで危険だからな。それにあいつは裏社会に関わる必要なんてないしな。まだ親父達が動くかはわからないけど、とりあえずは俺と隼人で調べてみるよ。」


「ハヤトさんって?」


「ああ、話してなかったっけ?俺の友達でさ、隣町に住んでるんだけど、そっちでも似たような事が起こってるらしいんだ。そいつの家もうちと同じような仕事してるから、そいつと協力しようと思ってるんだ。」


「なるほど…。昨日はその隼人さんと会ってたんですね?でも十蔵さんもかわいそうですよ。もうちょっと言い方とか考えた方がいいと思います。」


「そうか?やっぱいきなりすぎたかな。」


「あ、私はついて行きますから。優馬さん以外に頼りもないし、万が一の時はこっそり魔法でサポートします。駄目って言われても絶対に行きますから!」


メリッサはまっすぐに優馬の目を見て言った。


「う…。しょうがないな。あんまり目立たないようにしろよ。」


「はいっ!。」


満開の笑顔で返事をするメリッサを見て、優馬は、メリッサには敵わないな、と思うのだった。


毎度呼んでいただいてありがとうございます。


もっと気持ちよく読める小説を目指してがんばりたいです。

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