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織田信行が行く  作者: あひるさん


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第23話 三河侵攻計画

ご覧頂きましてありがとうございます。

ご意見・ご感想を頂ければ幸いです。

差し支え無ければ誤字・脱字の指摘もお願い致します。

 信行は那古屋城での後始末を終えて鳴海城へ向かった。帰蝶の推薦?もあり与力となった明智光秀も同行していた。


「奥方様が推された?」

「そうなんだよ。『勘十郎なら馬が合うから大丈夫だ』と義姉上が言ったので兄上も『ならば勘十郎に預ける』となったんだよ」

「某は筋道を説明してから結論を言うので即断即決を好む方は煙たがるかもしれません」

「私は気にしないけどね。光秀のように先に筋道を説明してくれたら色々思い付く事が多いと思うよ」

「そう言って頂けると知恵の出し甲斐があります」


 信行と明智光秀が長話を始めたので柴田勝家や千秋季忠は長々と話をして何が楽しいのか?と首を傾げていた。


「光秀に聞きたい事があってね」

「何なりと」

「兄上から三河侵攻を命じられた。私の中では一向宗を嗾けて~」


 信行は一向宗を利用して三河を攻める計画(信長に説明した内容)を光秀に説明した。


「もう一押しが必要だと思われます」

「ぜひ聞かせてほしい」

「三河は松平家の支配下にありました。その関係で今川に仕えている松平の旧臣が数多く残っております」

「その通りだね」

「旧臣の心の拠り所は当主の松平竹千代になります。今川義元が身の安全を守る名目で駿府に留めておりますが、旧臣は松平竹千代が三河に戻って松平家を再興する事を強く願っております」

「そうでなければ辛い思いをして待つ必要が無いからね」

「それが狙い目です」

「竹千代と旧臣の間を割くのか?」

「はい。ただし松平竹千代が三河に戻る気持ちを持っていない事が前提になります」

「三河武士は一本気な面があると聞いている。旧臣が竹千代の心変わりを知れば拠り所を無くして収拾が付かなくなる」


 今川家に仕えている旧松平家臣は松平竹千代が今川義元から独立して三河で松平家を再興する事を願っているので今川に従属する形で満足するようなら気持ちが切れて今川家から離脱する可能性が高いと見ている。


「一向宗に関与している者には手を出さず、路頭に迷う者だけを掬い上げて配下に抱え込みます」

「宗教が絡んでいる者は有能であっても使えないからね」

「当主の命令より宗主の命令が優先されるのは本末転倒です」

「光秀の言う通りだ。後は竹千代が我々の思う通りに動いてくれたら良いのだが」

「それだけはどうにもなりませんので。松平竹千代が三河に戻る気持ちがあるのならそれを利用する手段を考えなければなりません」

「松平竹千代は今川義元に二心を抱いていると偽情報をバラ撒くしかないね」

「今川義元に疑念を抱かせれば儲けものだと思われますのでやって損はありません」


*****


 鳴海城に帰還した信行は旅装を解くと城代の内藤勝介を通じて主だった与力を召集した。集まった与力を前に信行は斎藤家臣だった明智光秀を新たに与力として迎えて戦関係の采配を任せる事を伝えた。


「御屋形様から三河攻めを命じられた」

「今川義元は我々に対して注意を払っておりますが、警戒するだけに留めております」


 今川義元は土岐義龍から応援要請を求められたが、状況を見極めようとしている間に信行が動いて土岐義龍に大怪我を負わせたので土岐勢は尾張攻めを取り止めて今川義元も自重する形になった。しかし刈谷城の水野忠元と河和湊の山口教継が部隊を動かす兆候を見せたので国境の警備を強めていた。


「どこぞの大間抜けに翻弄されたわけだね」

「まあ、そういう事になりますな」


 信行は土岐義龍を名前で呼ばず『親殺し』や『大間抜け』とコケにした呼び方をするので集められた者は真面目に対応しているものの笑いを堪えていた。


「私が考えた案に光秀が手を加えたモノを正式な策としたい」

「それでは説明させて頂きます」


 明智光秀は鳴海城への帰途に信行と話し合って纏めた案を説明した。一向宗だけでなく松平竹千代も利用するという内容を聞いてその場に居る者は感心するように頷いていた。


「異論がなければこれで進めていく」

「「御意」」


 目付衆を率いる千賀地保俊は信行に命じられてそのまま残っていた。


「保俊、三河の忍びは遠江や駿河に人を送り込んでいるのか?」

「某が居た頃は極少数でしたが、今は分かりません」


 千賀地保俊が三河に居た頃は今川義元自身が忍びを忌避していた事もあって遠江と駿河には忍びの姿はほとんど見られず、千賀地保俊自身も三河に居たので隣国の事情はあまり知らなかった。


「探りを入れるのは松平竹千代の周辺だけで構わない」

「三河の対応はどうされるつもりですか?」

「木下秀吉に任せる。露天商人として三河にも出入りしてある程度は顔が利くと聞いている」

「人のやり繰りをすれば東三河にも」


 三河国での暮らしに嫌気が差した忍びが千賀地保俊の噂を聞いて尾張国に流れ込み目付衆に加わっている。徐々に人数が増えている事もあって国境を越えて西三河にも人を送り込むようになっていた。


「今の人数で出来る事をしてほしい。それに保俊には別の役目を担ってもらいたい」

「別の役目?」

「三河の忍び、『服部党』と接触してもらいたい」

「松平竹千代が三河に未練がない意思表示をした場合ですか?」

「そういう事になるね」


 松平竹千代に三河帰還の意思が無ければ旧臣と同じように三河忍びも心の拠り所を無くす事になる。それを利用して根こそぎ織田側に引き抜くものである。


「嘗ての仲間と相対する事になる可能性が高い」

「親兄弟とも相見える事になるでしょう」

「それを承知の上で保俊に頼みたい」

「お任せ下さい。その時は万難を排してでも味方に引き入れます」

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