惚れっぽい野薔薇
朗読より歌にしたくて、歌詞っぽくなっています。
「愛込めI don't know」って知ってる?
そりゃ知らないものね。私が作った言葉なんだから。
惚れっぽい"おぼこ"な私の話を、聞いてちょうだい。
顎のラインが格好良いフィリピン出身の男の子。
いつも優しくて毎日花を持ってくるの。彼女になっても良いかなって天狗な私。
でもある日Pearl Bayの話。博物館の前で私を笑った。「虐殺して謝罪もない罪深い人間」だってさ。
私、愛を込めて微笑んで言ったわ。
「I don't know」
博物館のあと彼は聞いてきた。
「君は知ってたの?本当のこと」
愛込めI don't know。彼とはそのまま疎遠になった。
青い目が素敵なイギリス人。
皮肉ばっかりで私は明るく言い返す。
「君は人を信じ過ぎる」ってけったいな顔して笑っちゃう。
でもある日Historyの話。中学の英語LLの先生になったんだって。「野蛮な日本人を教育してやるさ」だってさ。
私、愛を込めて微笑んで言ったわ。
「I don't know」
会ったときに彼は学校の図書館の本を無断で捨ててた。
「君は知ってたの?本当のこと」
愛込めI don't know。彼とはそのまま疎遠になった。
関西弁を話せそうな快活で短気なアメリカ人。
ヒスパニック系でずっとべらべら喋るけど、私の返事をいつもお利口に待ってる。
でもある日racismの話。無知と無責任だと私を笑った。「日本人は人種差別の歴史を謝るべきだ」だってさ。
私、愛を込めて微笑んで言ったわ。
「I don't know」
彼は怒って悪魔を見つけたぞと言った。そのあとネット検索してたみたい。泣きながら荷物を詰める私に言ったわ。
「君は知ってたの?本当のこと」
愛込めI don't know。彼とはそのまま疎遠になった。
「Why!」「How!」だなんて聞き飽きたの。
「I don't know」は「enough」と一緒よ。
貴方が知るべきは、私たちの沈黙で平和があるってこと。
責め立てるのならお門違い、そのまま呆れてどこかへ行ってしまって。おぼこな野薔薇に感謝して。
愛込め = I commit を掛けてます。
I commit "I don't know"