〜〜 experiment 〜〜
見舞いに茜ちゃんが両親と共に来てくれた。
きっかけは最悪だが、
今度の入院はメッセージのやり取りに夢中になって気持ちの高鳴りが、同じ入院のはずが別物となった。
入院中に、生田には2つの課題が生まれていた。
1つ目は、茜ちゃんを改めてデートに誘うこと
そして2つ目は、(糖分)と(凝視)と(集中)
医者をはじめ両親にも、話さなかった。
やはりバナナシェークの話は何事もなく流されたままだったからだ。
(自分自身を実験したい)
これは茜に対しての感情以上の探究心、また茜に嫌われたくない気持ちも重なった。
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退院した日は木曜だった
母親は、しつこく
「会社を休んで様子を見る」
と言われたが、1人にならなければ実験はできない。
思春期という結果になって
母は仕事に出かけて行った。
茜と会うのは金曜の夕方、それまでに実験をしておきたかった。
(茜ちゃんの前でまたなったら...)
という不安も確かにあったが、なんとも言えない自信と確信がどこかにあった..それから生まれた物も、なんとも言えない衝動となり、生田を動かす。
母をパジャマで見送り、家でグダグダと過ごす雰囲気を演出した玄関先
「何か少しでも変だったら会社に電話するのよ?」
あくびをしながら(わかったよ)と答えた後から
早速着替えを済ませた。
近くのコンビニへ歩く
そこで、生田が購入したものは
パンが陳列された一角にあった。
チョコレートチューブ
メイプルシロップ
ピーナッツバター
...そして蜂蜜だった。
そして食パンの8枚切りを追加する。
母の意見も一理ある
1人でまた意識を失ったら大事だ
入院時、茜とのやり取りの隙間に、連絡を取っていたバスケ部で同じ境遇と共感から、自然でいられる常盤真司へ連絡を入れていた。
今日は半日で学校の授業が終わり
部活もオフである事も確認済みだ。
(昼飯は俺の家で食えば良いから、終わったら家に来いよ)
これも連絡済みだ。
母も1人で居られるより(友達を呼ぶ)と言ったことには、すんなりと承諾した。
全て計画通りだ。
13時20分
家のチャイムが鳴る。
「久しぶりだな!どうよ?」
「前にも同じようなことがあったからな、そんな大したことじゃないよ」
「それなら良いけどさ、腹減ったけど..ほんとにご馳走になって良いのか?」
「あぁ、母さんがカレー作ってくれてるよ、話しながら食おうぜ」
「俺の好物、おばさん覚えてたんだな」
リビングに案内してテーブルに用意した。
そしてカレーと共に
コンビニで買ったものをテーブルの角に置いた。
生田はカレーを3回だけ口に運んだ
真司はがっついている..
その様子を見て実験を開始することにした。