〜〜 脳波 〜〜
意識を取り戻した日から3日が経った。
同じ声が二重に聞こえる現象は、目を覚ましたその日のうちに消えた。
意識を取り戻して、親が呼ばれた昼過ぎ
高橋医者から
「脳に損傷があったのに、身体的に障害が残らなかったのは奇跡としか言えません。これから改めて精密検査をして、障害や問題がないかを確認して、リハビリもしてもらう事になると思います。」
リハビリは、その日の夕方から早速始まった。
12日間
短いと思っていた。
そんな短い期間でも体が重く、力をこめているのに力が出てこない
自分の体ではないような感覚に気持ち悪さを感じた。
そんな体も3日目から薄れて、4日目には筋肉痛の方が厄介な存在になった。
目を覚ましてか5日間は検査とリハビリの繰り返しだった。
車椅子は使わなくなった。
6日目に両親が呼ばれた
高橋医師から
「脳波に若干の異常がみられますが、手術後なので、様子を見ていきましょう。てんかん症状も出ていませんし脳圧も正常です。急に意識を失うとか、そんな事があった場合には、すぐに病院へ連絡して下さい。」
隣にいた柏木看護師が退院日をどうするか、両親と話し始めた。
この頃には二重に聞こえていた声の事は
生田自身も忘れていた程度だった。
(早く家に帰りたい)という願いは
明日退院する事になった。
こんなにも手際よく
願いを聞いてくれたことに感謝したが
今では、救急病院は早く退院させなければならないだけで
昏睡中に転院させられなくて良かったと思う記憶だ。
夕方の6時を周り
夕食を大きなボックスへ返却して病室に戻る時
「生田..くん? ちょっと良いかな…」
声をかけてきたのは柏木看護師だった。
「はい」
くん付けが、かすめた。
「意識が戻った時のこと…覚えてるかな?」
「ぼんやりしてましたけど…なぜですか?」
「私のこと…カシワギって知ってたっけ?」
「柏木さんでしたよね?」
「そうなんだけど…意識なかったから…いつわかったのか・・ちょっとだけ気になっただけなんだけど…」
(臨死体験?)の話などしたら、退院が伸びるかもしれない
そう思った結果
「運ばれた時、カシワギさんって呼ばれてるのが聞こえてきて、返事した時の声で咄嗟に出ただけだと思います。ぼんやりしてたので、間違ってなくて良かったです。」
「・・・そうだったんだね.....
ごめんね、変な事聞いちゃって…」
生田は立ち去っいく柏木看護師を見てホッとした。
病室に戻って行った。
柏木看護師は....
立ち去りながら
(入院日…私は夜勤だった...急患が入ったと申し送りを受けている...あの時、私はいなかった...)
結局、謎は解決するどころか増えた。
遅いですが、次章準備しています。
今回はペース遅いですが
よろしくお願いします