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90%の可能性  作者: 子見
2/12

~~ トリガー ~~

 また月曜が来る・・・


土曜と日曜にやっと脳を休めることができた男、生田浩太は、毎週と言って良いほど月曜が辛い。


 二日間ではとても脳の疲労が取りきれないからだ。


 今日も勤務先の大学病院へ自転車で向かう。

自転車では約1時間、電車通勤は生田にとって苦痛以外の何物でもないからだ。


大学卒業後、MSWとして勤務して15年が経ち16年目の夏だった。


MSW・・・メディカル ソーシャル ワーカー

社会福祉士として勤務して一度も転職経験はない。

MSWは入院患者、その家族の相談を聞き、退院と転院を調整するのが主な仕事だ。


~~~~~~~~~~~~~


生田は中学2年の時に、歩道を歩いている時にトラックが突っ込まれるという事故にあった。


10M先から向かってくるトラック、しっかりと気付いていた。


避けようと思った。


しかし体が動かなかった。


 それは、体が動かなかったわけではない、スローモーションで回りが動き(死)を予感させる時に起る、走馬灯のように頭だけは働く状況だったからだ。


 自分の体が潰れていく事もスローモーションだった。

その後の意識も保たれていた。


救急車のサイレンが聞こえてきたのも覚えている。


そのまま体は動かないままだ・・・


 救急搬送から検査、手術・・ベッドに寝かされるまで、リアルタイムでは8時間


しかし走馬灯が止まらないまま、

生田の体感時間は52時間という時を過ごした。


その7倍近い遅い感覚は研ぎ澄まされ今でも鮮明に残されている。


今思えば、「俺の能力が身に着いたのは、あれがトリガーだったんだ」


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


事故にあうまで、生田の中では(癖)として処理されていたが、

いつからかも理由もわからない爪を噛む癖の様に、(相手の心を読む)癖があった。


生田が自覚していたのは、(相手に嫌われたくない)

人の気持ちがわかればという純粋な気持ちから生まれた癖だった。


事故の時の研ぎ澄まされた感覚の時、痛みはなく、入ってきたのは人の感情だった。


全てはあれから始まった。~~~~~


ーーーー今日も所定の駐輪場に停める。


やはり月曜は嫌いだ。













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