~~ 必然 ~~
「彼女なんていたら・・茜ちゃんと二人でご飯は誘わないよ!」
「だよね・・・変な事言ってごめんね」
(良かった・・・変に思われないで済んだんだ・・彼女もいない!!)
「そんなことないよ、茜ちゃんこそ、彼氏いないの?」
鼓動の高鳴りが、タイムリミットを感じている筈なのに、質問が上回ってしまった。
「私も同じ答えだよ!・・・今度は浩太君が覚えていないかもしれないけど・・・バド部の練習と入れ違いで午後からバスケ部が練習を始める時、シャトルが散らばってる状況で片付けを手伝ってくれた事、覚えてる?」
「いや・・・ごめん・・おぼえてないかな・・・」
「バスケ部で手伝ってくれたの、浩太君だけだったんだよね」
(あの時から・・・・浩太君の事が・・・・)
「え?」
動揺しながら記憶を探るなど、もちろん人生初だ
「浩太君さえ良ければ、またこうやって会ってくれたら嬉しいな・・」
(あーーーーーーっ!言っちゃった!どうしよう・・・)
「もちんだよ!僕の方こそ!茜ちゃんの事は、バドミントン関係なく魅力を感じていたし!」
「ほんとに⁉」
(あーーーーっやった!今日はこれだけで満足!かなりの前進!)
浩太は腕時計を見た、残り3分ーーー
こういう時の時間は、なぜこうにも早いのだ!
「ごめん、ちょっとトイレ行ってくるね!」
「うん、入ってきた所にあったよ」
(良かった・・私も少し落ち着きたかった・・・)
浩太はトイレに向かう
小便器は開いていたが、大便用の個室が閉まっている、トイレでスティックを飲んでいる所を、(誰かに見られたら)と考え、トイレが空くのを時計を見ながら待つことにした。
残り1分ーーーー
めまいはない、目安とした10分、だが焦りもある。
一度だけ、ノックをした。
即答された。
あまり待たせるのも気になる・・・
出入り口に近い洗面所で、人の気配を察しながら、二本同時に口に流し込んだ。
意外に簡単に済ませれたので、もう一本流し込む。
過去最大量だ。
慌ててテーブルに戻った時は、注文していたパスタが置かれ、手を付けづに待っている茜ちゃんがスマホを弄っていた。
「ごめんごめん トイレが混んでて!」
「良かった・・調子悪いのかと思った・・・」
(私も少し落ち着いたから良かったけど)
これがきっかけになり、何度かデートと呼べる時間を過ごした。
反省を生かして、茜ちゃんと会うときは、事前に一本は飲んでから会う様にしていた。
五回目のデートの時、
「俺から、付き合って欲しいと告白した」
答えは勿論、(Yes)だった、
憧れとも言える存在の茜ちゃんと(付き合う)となっても
なぜか達成感がない・・・
これだけの情報が頭に入って来ていた生田が告白するには、ある程度の確証があったからだろう。
生田には達成感が薄い・・・ただそれだけで、茜の笑顔を眩しく感じただけだった。
やはりと言うべきか、高校生の生田はまだ若い・・・
そして・・・・・・生田の踊る心はまだ収まらない
付き合いが始まって1カ月もたたない時・・・
予想だにしていなかった訪問者が訪れた。
この訪問者をきっかけに、生田の人生は一変することになる・・・




