~~ 制御不能 ~~
茜に会って、30分待ちの、話題になっていたパスタ屋の列に並んだ
「ごめんね、迷惑変えた上に、お見舞いまで来てくれて」
「そんなことないよ、正直驚いて、パニックになったけどね」
能力は制御した。
「一人の時だったと思うと恐ろしいよ・・・茜ちゃんは、命の恩人だよ」
「そんな大袈裟だよ!」
そんなやり取りを繰り返し、能力を使わずとも気になっていた事を聞いた。
「俺なんかの誘いに応えてくれてありがとう」
「そんな・・・浩太君こそ、いつもバスケ頑張ってるよね」
「いやいや!俺なんて茜ちゃんと比べたら、万年補欠だし・・とても褒められたものじゃないよ」
「浩太君そんなこと言っちゃだめだよ・・運動神経とか体格とか、たまたま何かが一致しただけで、私の結果もたまたま・・・全国大会見に行った時、思い知らされたかな・・・私よりも才能も体格も全て上・・そして私よりも努力している・・・浩太君が未経験でバスケにチャレンジして、辞めずに続けている精神力って、私は一番の才能だと思うよ」
能力を使いたくなったが、制御した。
「ありがとう、茜ちゃんからそう言ってもらえただけで、続けてきて良かったって思えるよ!」
「良かった!私が凄いと思った人たちも、何人の人がプロになるんだろう・・・って思ったら、今やっている事って、いったい何のためにやってるんだろうって悩んでたところだったんだ・・・」
「だからあの時、ちょっと悲しそうな感じだったんだ・・・」
つい口から出てしまった。
「え?どうゆうこと?」
「あ・・・入院する前に、いつか皆で一緒に帰った時、皆が茜ちゃん(凄い凄い)って言ってた時」
「んーーーいつか忘れちゃったけど、でもたぶん・・・今そう言われるの辛いかな・・」
ーーー24番でお待ちの方!
浩太と茜は窓際のテーブルに案内された。
注文を済ませた後、
「ドリンクは先で」と答えると、早速、茜ちゃんのアイスティーと俺のウーロン茶が運ばれてきた。
茜ちゃんが、レモンを絞り、ガムシロップは入れずにストローをグラスへ差し込んだ。
ストローで氷を二周回した時
「浩太君って・・・・彼女・・・いるの?」
一気に鼓動が跳ね上がった!
それと同時に、能力が発動してしまった。
(言っちゃった・・・こんな事、聞いたら・・・)
とっさにポケットに手を入れ蜂蜜のスティックを握った!
(発動が制御できない!・・・・・10分以内に飲まなければ)
(なんで・・茜ちゃんが俺にこんな事?)
(返事しなきゃ!)
焦りのは表情に出ている事が、自分でも理解できた。
「ごめん!変な事聞いたよね!」
(やっぱり・・言わなければよかった・・・・)
「ちがうよ!ちょっとビックリしただけだよ!」
浩太のカウントダウンは進んでいく




