~~ 習慣 ~~
この作品は
今出ているエピソードで一旦休載しています
申し訳ありません!!
夕食を済ませた俺は、風呂に入り、そのまま乾燥機から、まだ熱いくらいの下着だけを取り出し履いた。
夏にやることではないが、いつもの習慣になっている事は今後も続けるだろう。
残りの洗濯物を出して今日出た洗濯物を入れ直し
1人分の洗濯物は干すのも面倒で、そのまま乾燥までのコースを今日も押す。
取り出した洗濯物をそのまま丸めて置いておく程には堕落してはいない、そのまま床に投げ
体を拭いたフェイスタオルを頭に巻いた。
無音はあまり好きではない。
音が欲しいだけでテレビを付けた。
Tシャツとズボンをたたみ、靴下を丸める時に、音だけではなく内容に目が行った。
30年以上米問屋として働いてる50歳は過ぎているであろう男性が見慣れた芸人タレントに囲まれている映像に違和感を感じて、靴下を握ったまま目に留まった。
TVからは若手アナウンサーの説明が始まった
「さぁ!では挑戦していただきましょう!まず指定されたのは3.5kgです。」
そう言われた50過ぎの男性をもう一度見直した。
七三に分けられた白髪混じりの髪
銀縁の四角い分厚いメガネ
白いポロシャツにチノパン
なんの特徴もない男性に唯一、いつも付けているのであろう酒屋の店員が付けている様な、長めの前掛けだけが腰に巻かれていた。
かなり使い込まれているその前掛けがなければ
今こうして凝視しているが
明日リアルに会っても気づかないくらいの男性だった。
茶色い袋にはどうやら米が入っているらしい
そこから銀色の丸いボウルを使って指定された四角い銀色の受け皿に米をすくって移している。
どうやら感覚だけで3.5kgを移そうとしているのだろう。
計量器は4桁表示だった。
そんなことは可能なのか?一瞬そうは思ったが
TVなのだから成功させるはずだと思いながら見守った。
予想通りピッタリと3500表示され1gの誤差もなくやってのけた。
歓声が上がる。
周囲の周囲の中の一人の芸人が、
「じゃ次は4562g‼️」
「それお前の出生時の体重やないかっ!!」
相方と思われる、事前に用意していたのであろうツッコミが入った。
「おいおい、そりゃ流石に無理だろ」
他の芸人が煽った。
芸人の煽りなどいつもどうでも良かった。
俺は、確認しておきたかった。
にやけた表情の前掛けの男。
今度は、何度か移された銀色の皿を持っては置くを繰り返し、親指と人差し指で何粒かの米を元の袋に戻し、簡単にやり遂げた。
アナウンサーが質問をする
「どうしてこんなことができるようになったのですか?」
前掛けの男は
「長年これしかやってきてませんからね」
これだけの言葉を残し歓声とともに画面から消えていった。
残されたフェイスタオルを畳み、ワイシャツはハンガーにかけてタンスに納めた。
つい独り言が漏れた
「この程度の能力か・・」
まだ映っていた新人アナウンサーを凝視した。
「この女・・・面白れぇ・・・表向きは新人アナウンサーか・・・」
エアコンが効いてきた部屋に、パジャマ代わりに使っていたTシャツを被る。
土曜の10時に目覚め、寝汗を流した昼前の事だった。




