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二話

「やめておけ、あの犬“憑いてる”」

「でも、危ないよ!!」

「……」

 カノンはクレンにいつも優しかった。だから退魔師を辞退することをいったら、素直に受け入れて、納得してくれたし、いやな事をする必要はないといってくれた。なのに、こんな状況が訪れるなんて。

「矛盾してるよ……」

 だが、カノンの本当に心配して見つめる姿に、なぜか笑いがこみあげてきて、苦く目をゆがませたままクレンは笑った。

「コラ!!犬!!」

「クウゥン!!?」

 脅すと犬はたじろいで、猫は、難なく道路を横切ることができた。だが犬は執拗に猫をにらみつけ、また吠え始めていた。

カノン「あの子、あの犬に目をつけられているんだ、排水溝にまでおいつめられて……かわいそう」

 “かわいそう”その言葉にトラウマをえぐられそうになりながら、けれどその言葉を発したのは兄妹のような関係の少女で、何の悪意もなく発せられたのを感じて、やんわりと言葉のトゲが消化していくのが感じた。

「不思議な奴だよなあ、まったく」

 そういいながら、クレンは車の横断が終わるのをみはからい、横断歩道へ向かおうとカノンの手を引いた。

 その頃路地裏に迷い込む野良猫のランは追いかけてきた狂暴な犬に逃げ道をふさがれていた。体はあちこち噛み傷があり、弱り切っていて、力なく後ろをふりむいた。そして全身の力をふりしぼり、毛を逆立て、つめと背筋をピンとたてて威嚇する。

「シャー!!!」

 野良犬も負け時と全身の力をこめるように喉から爆発するような威嚇の声をたてた。

「ワンッ!!ワオウンッ!!!」

 二匹はしばらくにらみあったが、力をこめるように犬が深くかがみこむと、野良猫も覚悟したように、同じくしゃがみこんで、二匹はお互いにとびかかった。

「シュンッ」

 二人は上空でお互いにとびかかり、ぶつかる瞬間、犬は確かな感触を感じて、猫のランは、なにか冷たいものが体にふれたのをかんじた。そうしてすべてを諦めて目を閉じる瞬間、ランはそれでも鼓動が続いているのに気づいて上をみあげる。

「チッ、いてえ、ちょっと爪が刺さったぞ」

 そういって、ランをかかえているクレンがそこにいた。

「レンちゃん!!」

「しょうがない、これは使いたくなかったが」

 そういって、クレンは野良犬に向かいはしり、野良犬は今度は自分が袋小路においつめられたことを後ろをむいて理解し、壁をけりあげ、クレンにとびかかる。

 その瞬間、クレンは胸元から札をとりだし、その犬の体中にはりつけた。

「秘儀!!瞬間封殺!!」

 冗談か、本気か、クレンはそんなことを叫びながら、野良犬とすれ違う。野良犬は、地面におりたつと、ふっとまるで、本当に一瞬でつきものが抜けたようにおとなしくなった。

 その様子を後ろでみていた“クノハ”が独り言をいいはなつ

「やはり、“退魔の力をお持ちで”、やはりこれは運命だわ!!100年がたっても今なお、私をこの世界にしばりつける」

 そういいながら、クレンのてをにぎり、頬にキスをした。


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