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退治

「ば、ばかな!!あいつは完全にのっとっていたはず!!意識は見えなかった、どこにこんな思考をする余力が……はっ」

 悪霊と男が振り返る。クノハがその正面で、力をため込んでいて、いままさに放とうとしている。

「こんな、こんな形で我恨み……消えてなるものか!!」

 悪霊はは男から上半身をとりだすと、下半身の影と上半身の影を逆側に自分でひっぱり、ついに《ブツリ》と自分で切断してしまったのだった。

「!?そんなことができるの?」

 それに驚いたクノハ、やがて、悪霊の笑い声とともに男が下半身をのっとられクレンに突撃していく。それだけならよかったが、男の手には刃物がにぎられていたのだった。

「クレン、あぶない!!」

「う……」

 クノハは急いでクレンをかばった。

「クノ……ハ?」

 意識がもうろうとするクレンの前で、クノハは、透明で赤い血をながしていた。

「霊の血……霊血」

 悪霊が叫ぶ。

「!!実体化しただと?お前……強大な力を扱えること、実体化できること、神通力をつかうこと、悪霊と大差ないじゃないか……」

「……」

 クノハが悲しい顔をすると、クレンがぼんやりとした瞳を開いて、まっすぐ前を向いたまま言う。

「違う、クノハは、クノハは……恩返し九十九霊……」

「クレン……」

 クノハはクレンの前にたち、かばった部位、腹部を出血したまま実体化をといていく、そのまま、クレンをだきしめるようにしておおいかぶさる。

「このままじゃ……どうか、クレン、私自身この数百年疑い続けてきたことだけれど、もう少しだけ、もう少しだけ信じて、あの呪文を心でとなえて、それだけで私は力をとりもどし、あなたの今日の恩をあなたに返す力がわくの……あなたがそれを“悪”だとおもったら裁いてもいい、けれどどうか、今だけは、あなたを守る力をください……」

 その前、5メートルほど前で悪霊が笑う。

「がははは!!とりついたぞ!!やはり悪霊じゃないか、我をはらおうと、我より強い悪霊がはびこる、この世の真理、ならばお前にけされても、悔いはない、お前は人を恨んでいる、我よりも強く!!」

 笑う悪霊の前で、クレンはまた強い陽の気を発し、クノハに分け与え始める。

「あの男、どこからそんな気を……これは……」

 悪霊が伸ばす手から、クレンの意識をたどる。クレンの腹部から、丹田から記憶がよみがえってくる。厳しい修行や、母親の記憶、幼馴染。

「こいつ、記憶だけを頼りに意識をたもっていたのか、強い、強い記憶、これがまた恨みに代わるのも……楽しみだ」

 次の瞬間、クノハが眉間にしわをよせ、すいこんだ陽の気をはきだした。すると悪霊は気につつまれ、悲鳴をあげる。

「ぐあああ、ぐあああああ!!!!この恨み!!忘れんぞ!!」

 徐々に影と輪郭が薄くなり、やがてそれは、クノハが放つ放射状の光によって完全に消失していくのだった。

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